2020/01/30 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にシルクさんが現れました。
■シルク > シーッ、シーッ、と、金属が固いものに擦れる音が鳴り響く。
港の隅っこに座る私が短剣を研いでいる音だ。
そんな音に交じって、きゅるる、と私のお腹の音も大きく鳴り。
「はあ、お腹空いたなぁ...」
有り金はほぼゼロ。真夜中では狩りにも行けないし、ダンジョン探索なんて以ての外。故に、こうして暇潰しとばかりに仕事道具の手入れをしているのだ。
何故こんな所でしているかというと...。
「あ、あのっ...!」
通りすがりの男の人に、精一杯の弱々しい声で声を掛ける、が、無視された。心の中で舌打ちをしつつ。作業に戻る。
こんな夜中に小さな女の子が1人。運が良ければ、何か恵んで貰えるかもしれない。そうでなくとも、注意散漫な酔っ払いの1人でもいればスリが出来る。そう考えての事だ。
街中でこんな乞食のような事をするのは初めてだけれど、どうせ私には名誉もプライドも何も無いし。それに、少なくとも街の外よりは余程安全だろう。...たぶん。
...ともあれ、誰かが来ないことには食事には...もとい、お金にはありつけない。だれか、都合の良い人が来ないものか。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」に黒須さんが現れました。
■黒須 > (師団からの休息を貰い、またしてもこの船着き場にやって来た。
よくうまそうな酒を見つけ、つまみと一緒に買っては海が見える所に座って一人酒をするのが、ある意味楽しみとなっていた。
今日は酒と一緒につまみと色んな食べ物を買い込んでいた。)
「かなりいい具合に買えたな…。ん…?」
(顔は変わらずとも、口調は上機嫌そうな黒須。
黒一式の服装に帽子をかぶり、獣の耳を隠しながら帰宅している途中に匂いに気付く。
普段なら気にしなくとも、発している所に気になり、そちらを見れば、短剣を研ぐ少女の姿。
そちらに近づけば、聞こえた腹の虫にピクリと帽子の中で耳を立てて、後ろ髪を掻く。)
「…嬢ちゃん、腹、減ってんのか…?」
(目の前にしゃがみ込み、聞いてみる。
しゃがんでもかなりの巨体である黒須の体。
距離はあれど、少々威圧するかもしれないが、聞いてしまっては見捨てておけずにかかわった。)
■シルク > 「はぁ...」
またもお腹が鳴り、ため息をつく。何度目の溜息だろう。なども考えていると、こちらに近付く1人の影。
闇夜に溶けてしまいそうな、文字通り影のような男。そんな第一印象。
「ひっ?え、は、はい...っ」
気弱を演じることはよくあるが、今のは素だ。男がしゃがみ込んだ事で彼の顔がよく見えるようにはなったが、一言で言えば強面。思わず、研いでいた短剣を握りしめてしまう。
「えっと、もしかして...?」
食べ物を恵んで貰えるの?言葉の続きを飲み込む。大柄で、強面な彼にそんな優しさがあるのかな、と観察しつつ。
■黒須 > 「・・・。」
(構える少女の姿を目で見る。
かなり痩せているようにも見え、幼い。
隅っこで研いでいるのは、野良の仕事か何かかと思うが、ともかく、食えていないと言う事だ。)
「…はぁ。俺も耳が良いし、お前の腹の音を聞いちまった…。
めんどくせぇが…ほら。」
(ため息をつきながらも渋々と喋り、手に持っていた物の入った紙袋を漁ると、ドライフルーツの入った袋を渡す。
様々な物が入っており、かなり良い値段で売っていたものを少女に渡す。)
■シルク > 「...っ!ありがとう、ございます...!」
...こうなる事を狙っていた訳ではあるが、いざ食べ物を貰うとなると、緊張する。緊張というより、気恥しいような。そういえば、ありがとう、なんて今まで言ったことあったっけ。
ともあれ、差し出された袋を両手で受け取り、短剣で袋を切り開き、中身を覗く。
「わぁ、これ、干した...えーと、ドライフルーツ?初めて食べるよ。」
興奮から緊張も解れて、段々と素の口調に。保存食なんて、その場しのぎで生きている私には縁のないもの。とても甘い香りがするし、質も良いものだろう。
「...ほんとに、くれるの?食べてもいいの?」
ふと視線を食べ物から男へと移すと、強面。緩んだ背筋が再びピンッと真っ直ぐに。なにか裏があるのでは、と失礼ながら警戒してしまうが、その際にもきゅるる、とお腹がなってしまい、目を逸らし。
■黒須 > 「あ?何確認してんだよ…。
一度上げたんだ、今更返せなんざふざけた事言わねぇよ…。」
(確認する彼女に対して頭を掻いて言う黒須。
二言は無く、腹が減っているのであるならば分け与えるだけだった。
貧民地区でも、腹の減っている時、少なくとも分け与える習慣はあった。)
「そら、さっさと食っちまえ…。
俺が居なくなりゃ、すぐに襲われるだろうし…終わるまで居てやるよ…。」
(船着き場では時折、スリなどの面倒事が起きる。
少女一人になれば、おそらくそれに出くわすことはあるだろうと思い、隣に座る様に腰を落として座った。)