2020/01/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 昼間は賑わう船着き場も、夜も更ければ人気もなくなり、冷たい空気を揺らす波音だけが響く。
ぽつんぽつんと灯っている街灯に照らされるのはベンチや石畳だけで、寒さのせいか猫一匹横切らない。
真っ黒な天にぽかんと浮かんだ月も、その冴え冴えとした光がいっそ寂しいくらい。

その波音だけが響く船着き場へ、軽い足音と共にかけて来る女がひとり。
足を踏み入れては一瞬立ち止まって左右をキョロキョロと見回し、紅い唇をにんまりと三日月型にすると、また三つ編みを揺らしながら軽い足音で港の端へと走って行く。

「到达(到着)~」

港の片隅、貨物の空の木箱が積み上げられた場所まで来ると
ホップ、ステップ、ジャンプで立ち止まる。
そうして白い息を漏らしながら、抱え込むようにしていた紙袋を恭しく取り出し、木箱の上に置いた。
その紙袋からも、白いものが立ち昇っている。
女はその様子を満足げに眺めてから、ぽんと飛び上がってその隣に腰掛けた。

よふけの寒い空気の中で、あったかぁい肉まん。
女に取って、とってもとっても贅沢な時間だ。