2019/11/21 のログ
ホアジャオ > やがて、天に本格的に藍色が混ざって来る。
猫たちは夜の住人だ。
毛饅頭のうち、外側に居た黒猫がぴくりと耳を聳てると、くああ、と欠伸をして伸びをして、のっそりと饅頭から離れていく。
一匹、また一匹と。
そうして残ったのは、太った白い猫を腹巻よろしく臍の上辺りに乗せて、大の字に木箱に寝ている女がひとり。
紅い口は半開き。よだれこそ零していないものの、限りなく緩みきって居るのは明らかだ。

「――――…うぅ、有点冷(さむ)…」

ひゅうーと足元のほうを風が過ぎると、むにゃむにゃと口を動かして眉を顰める。
やがて、その睫毛が震えて、うっすらと細い目の瞼が持ち上がった。
数度、瞬きをして半身を起こすと、臍の上に居た猫がずるずると腿の上まで下がって行って、そのまま鎮座する。

ホアジャオ > 「―――……ン…もォこンな時間…」

ふわっと欠伸を漏らすと、ぽりぽりと後頭部を掻く。
昼前に波止場をうろつくゴロツキをどつきまわして追い回して、ひと汗かいた。
いい気分で昼寝していたのが、思ったより過ごしてしまったらしい。
腿の上に載ったままの猫を小脇に抱えると、ぽんと木箱から飛び降りる。
船着き場に行き交う人もまばらな様子を、目をこすりながら確認して

「晩ご飯にしよっかァ……」

呟いた言葉には、小脇に抱えたままの猫が返答する。
紅い唇でにまあと笑うとその頭をわしわしと撫でてやって
弾む足取りで、まだ人声で賑わう船着き場の出口へと

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。