2019/09/29 のログ
ホアジャオ > 近付いて来る人影には気付いていたが、何しろ怪しい輩もごまんと行き来する船着き場だ。ちらりと一瞥しただけでまた水平線へと視線を戻そうとして……何やらまた只の怪しい奴とはまた違った気配にすいと戻した所で声を掛けられる。

「什么(なに)?……あァ、ここ?」

俄然喧嘩を吹っ掛けてやる算段を脳内で始めていたせいで、低い声と言葉に一瞬きょとんと瞬いてから隣を目線で示す。
その視線をまた黒づくめに戻して、上から下、下から上へ視線をたっぷり時間をかけて眺めてから、紅い唇をにいっと笑ませる。

「いいよ。
 但し、アタシと喧嘩してくれンならね?
 それか、腕相撲でもいいケド」

こういう割と『一般市民』に唐突に喧嘩を吹っ掛けると断られる事が多いと学習している。
逃げられたら再戦だって難しい…それで妙な2択を男へと突きつけた。

黒須 > (自分の体を上から下からと見て来る少女の様子を気にするように片眉を上げる。
確かに、ここまで真っ黒な男と言うのも、ここら辺の業界じゃ珍しいと思った。
その後、少女からの二択を聞くと、片眉を上げた顔から少し曇りを持った顔へと変える。)

「あぁ?めんどくせぇな…どっちもよ…。
…まぁ、良い…。コイントスで決めるか…。」

(そう言う問い、ポケットから取り出したコインを弾く。
静かな空間の中でなり響く、心地の良い金属音の元は高く高くと空へと飛び、黒須の手の甲に着地し、隠すようにもう片方で覆う。)

「…チッ、あーめんどくせぇ…。
…こいよ、喧嘩だ。」

(どちらかをどうするかには決めていなかったが、とりあえず結果は「喧嘩」ということになったようだ。
少女に背を向けて歩き、途中で振り返り、地面に足を付けて待ってみる)

ホアジャオ > 曇り顔を見て、もしどこかへ去ろうとするものなら追いかけようと木箱から身を乗り出して、男がコイントスをする様を熱心に見つめる。
結果的に放たれたのは一番欲しかった答え。

「太好了(やった)!ありがと!」

にいーと満面の笑みを浮かべると、ぶらつかせていた脚を一振りすると同時、箱の上からぽんと飛び降りる。
すとん、と降り立った場所は男から女の足で5歩ほどの距離。

「降参か、一発キレイに入ったら負けね」

ぶらぶら、両手両足をほぐしてから、振り返って『待ち』の様子の男にまたにいーと笑いかける。次にはす、と腰を少し落として

「じゃァ…アタシからっ!」

たん、と響いた足音はごく軽いもの。
次にはふ、と男の腰辺りを疾風が一度通り過ぎて
その背面へ回り込むためにざり、と軸足がその場を踏み切る勢いを乗せ、男の膝裏へ低い蹴りが放たれる!

黒須 > (どこか陽気にする少女にさらにめんどくさそうな顔は広がる。
こちらとしては無意味な喧嘩はしたくなかったが、腕相撲で買って席を譲られても大人げない気がした。
かといって、大の大人が子供相手に喧嘩とはっと思っていた。)

「へいへい、さっさと始めろ…。
こっちは喉が渇いてんだよ…。」

(ボリボリと長く、獣のような紙を掻いてその場に立つ。
構えもなければ、喧嘩をする様子もなかった。
その瞬間に、自分の背面に気配を感じた。そのまま、膝裏に低い蹴りが来ると、膝カックンと思えば可愛らしいが、音からして鈍すぎる音が鳴る。
そのまま、スローモーションかの様に倒れる、上体を先に倒して手を付く。
そのまま、あり得ない行動へ。
半場さかさまの状態になりながら、ブレイクダンスを踊るかのように上体を回し、少女の横顔へと鋭い蹴りを放とうとしたのであった)

ホアジャオ > 当たった!
感触は上々…だが男が倒れ込む様子がどこか打撃に寄るものと違う。
警戒心は解かずに視線を男に向けたまま、身体が男に向き直るまで蹴りの回転に身体を任せる。
細い目で見守る中で男は器用に手を付き――側頭部へ迫る風圧に、躱す暇はなく反射的に庇う腕を上げて

がっ!
「ンぐ……!」

堅い音が響く。
そのまま留まらず女はごろりと横に一回転してすとんと体制を立て直し、立ったその足で次の瞬間には男に向かって踏み込んでいく

「ィヤあっ!」

至近の最後の一歩。
男の体制がと乗っていようがいまいが、その身体の中心目掛けて突き上げ気味の掌底を放とうと

黒須 > (少女を吹き飛ばした後、そのままぐるぐると周り立ち上がる。
脱げそうになる帽子を押さえながら平常心を保つような仕草をして立ち上がり、様子を見ることにした。)

「ん、ちと強すぎたか?」

(呑気な事を言っていると、また相手からの一撃が来る。
今度は中心に来る掌底。
内臓が揺れる様な振動が黒須の体を通り、背中からその衝撃が通り抜けるようになり、半場、少女の手に体が乗るように折れる)

ホアジャオ > 男から放たれる呑気な声。

(さては……)

女の脳裏にすこーし嫌な思い出。
『堅い』相手は手が掛かるのだ…!
故に、掌底が見事に入って男をその掌で突き上げても、一切気を抜けず――寧ろ、愉しげに笑みを浮かべて

「もういっちょッ!!」

突きあがったその身体目掛けてバネのように跳ね上げる回し蹴りを放つ!

――キレイに入ったら、おしまいなんじゃなかったっけ?

と思い出すのは、脚を跳ね上げてしまった後。

黒須 > (静かに立っているだけの男。
楽し気に笑みを浮かべ、跳ね上がりながらも蹴りを放つその姿を見る。
前髪のせいで目元は見えなかったが、その眼は…しっかりと見ていた。)

(蹴りが自分の来る瞬間に自分と足との間に手を出して止める。
止めた風圧により、被っていた帽子は飛び、頭の上から二つの尖った犬耳が露わになる。)

「おっと…出ちまった…。
真ぁ、良いか…。」

(強烈な掌底を食らったにも関わらずにいつも通りと言った雰囲気をする男。
腰からも大きくふかふかとしてそうな尻尾を生やして態勢を整える。
掴んだ手を自分の頭の上の方へと上げ、少女が自分の上に居るかのように投げる)

「さっきの技は中々良さげだったな…。
少し、応用させてもらうか…。」

(そう言うと、ゆっくり、そっと少女の体に拳を置く。
すると、その拳は赤く炎を纏ったかのような赤いオーラを纏っていた。)

「…ラァ!!!」

(大声と共に、その拳からは砲撃化のような強い衝撃が出る。
それは、さっきまでやった掌底の応用に魔術を咥えた、ある意味の強い衝撃はであった。
小さな体に来るのは少女が自分にやって来た膝裏の蹴り、掌底、そして回し蹴り。
そのすべてのダメージを合わせ、倍にした攻撃をそのまま返そうとしていた。)

ホアジャオ > 矢張り、と言うべきだろう。
先の蹴りの上に掌底を受け、そのうえで今度の跳ね上げた脚を受け止めた男は平然とした雰囲気のまま。
ふわ、と風圧で飛んで現れた耳には一瞬視線をやるが……嗚呼!フサフサとした尻尾まで出たけども!
誘惑を振り切って目線を離さない様にしていると、いつの間にやら掴まれた手を振り切ることは無く、投げるに任せ――

「?!ッ」

投げられたところで身を守る術を持っている
が、故の油断だったかもしれない。
ひたりと当てられた男の拳、嫌な予感。
慌ててだん、とその場を踏み切ってぐるりと宙へ身体を逃そうとして―――

「!!ッぁ……!!」

すんでの所で直撃ではなかったものの、当てられた拳からはひどい衝撃が腹部、背筋へと抜けていく。
足に力が入らない。
ほぼ物言わず膝を折り、けふ、とその場で餌付くだけで済んだのは、昼食を食べ損ねていたお陰かも知れない……

黒須 > (そのまま、音をあまり立てずにゆっくりと着地する。
落ちた帽子を回収しては、軽く誇りを払うようにして、手でくるくると回して少女に近づく。)

「降参か、一発キレイに入ったら負け…だったよな?」

(餌付く少女の近くでしゃがむと帽子を再度被り直す。
先ほどの掌底、かなりの威力であったために、直撃ではなくとも、なかなかいい一撃だったのではと思い、確認の様に聞く)

ホアジャオ > 「ぅ……你好狡猾(ズルい…)」

膝着いたまま地面を見つめ、暫くじんじんと響く背骨に動けないでいると近寄ってきた男の影が目の前に落ちる。
非常に非常に癪だが、相手の拳だってキレイに入ったわけではないが、これ以上やり合える気はしない。
男がしゃがむ気配を感じながら再度、げふっと咳き込んで
細い目を涙目にして顔を上げると、こくり、と頷いて見せた。
表情はこの期に及んでかなり、完璧に不満を表している。

「ちょッと…何さっきの」

呼吸が整えばぬう、と男の服へと手を伸ばして掴み、先の拳の正体を問いただそうと

黒須 > 「…何言ってるんだ?おまえ…。」

(聞いたことない言葉を言われるとまた眉を動かす。
自分達が使う言葉とは違うようなその言葉遣いによくわからない反応を示している。)

「あ?どれのことだ?
俺の魔術か?それとも耳と尻尾か?
…ま、とりあえず…めんどうだが…少し休息だな?」

(そう言うと、少女を肩に乗せて木箱の上に運んでいく。
その後、自分は勝ち取った席に座り、腰から生やした尻尾を枕変わりにさせようと少女の近くに置き、ウィスキーロックを作って夕日酒を楽しもうとする)

ホアジャオ > 膝着いたまま、痛みに痺れる身体をまだ自分から動かせないでいると、男にひょいと抱え上げられる。

「……両方」

喧嘩を吹っ掛けた場合、大概相手は不機嫌になっているものだ。
ひどい目、とまでは言わないまでも、ぐったりしてたって放って置かれるのが関の山。
正反対の状況に細い眼を白黒させながらも、男の言葉に返答して、休憩、の言葉にはまた頷きを返す。
木箱の上へ降ろされ、枕代わりと傍に置かれた尻尾。
ぐったりしながらも細い目を輝かせてしばらくフサフサと無遠慮に撫でまわしてから、遠慮なくぽすんと頭を乗せた。

「―――休憩したら、もいっかい相手してくれる?」

夕日に染まる男の影を見ながら、凝りてない発言を。

黒須 > 「ま、バレた所でどうにもならないけどな…?
さっき俺が拳に宿したオーラ…あれは魔術…「反撃」の魔術だ。
俺は攻撃が来ることを知っている内なら、魔術でも物理でもなんでも受けることができ、それを倍にして返す。
更に…攻撃を受け続ければ貯めて、それを一気に開放してぶつけれる。
俺がお前にやったのは二つ目のやつだ。」

(護身術の進化版と言ったような魔術。
攻撃を全て無効にしながら、相手に返す。または貯めて一気に放出することができるかなり使い勝手のいい魔術である。)

「そして…耳だかについては言う必要はねぇ…。
生まれつきこういうのが付いていた…だが、俺はミレー族だかではねぇ。」

(昔から人間と言い張って生きていた世の中。
親から受け継いだ時には獣人であり、事情故にこのような姿にも慣れたのだった。
そのまま、好き勝手に尻尾を撫でられ、頭を乗せられる。
相手から再戦の話をされて振り向くも、水平線へと顔を向けてめんどくさそうに頭を掻く。
その後、少女の腹にピーナッツの袋詰めを軽く投げ置く。)

「まずは腹ごしらえでもして休んでろ…。
俺がめんどくさくてやらねぇなら…ま、良いけどよ?」

ホアジャオ > 「哎呀(なにそれ)………魔術かァー」

男の尻尾に寝転がったまま、你好狡猾(ズルい)とまた一つこぼして、はぁーと溜息を付く。
ソッチ方面の才能はからきしなので、正体を知ったところで体得しようがない。
まあ、次に男に相手をしてもらえる時に参考に……やっぱ、ならないかも。
ぶつくさ言いながら、枕代わりの男の尻尾の毛を指でくるくると掬って弄ぶ。耳と尻尾は生まれつき、と言われれば、特に追及もせずふうん、と声を漏らして。
やがて、面倒くさそうな声の後にぽすんと投げられるピーナツの袋。
香ばしい香りに思わず手を伸ばしながらも、再戦を了承してくれるような言葉が返ってくれば痛みはどこへやら、ぴょんと身体を撥ね起こす。

「真的(本当)?ありがと!
 えと……アンタ、名前は?アタシは『ホアジャオ』てえの!」

貌には喧嘩を売った時最初に向けたものよりも満面の笑み。
ピーナッツの袋片手、もう片手は名残惜しげというか未練げに、男の尻尾をフサフサしつつ。

黒須 > 「知らねぇよ…。
酔っ払って女に話しかけたら、なぜか魔術を受けたって話だ…。」

(何があったのかは当時の自分でもわからなかった。
酒のせいで記憶も曖昧であったが故に、思い出せず、気が付いていたらこんな能力を手に入れていたのであった。)

「ん…。
…黒須だ。それで覚えて置け…。」

(めんどくさそうに名前を言うと、煮干しとウィスキーロックを食べ飲みし、尻尾を好きに弄られる。)

ホアジャオ > 男が力を手に入れた成り行きを聞くと、更に憮然と眉を寄せて首を傾げる。
「何ソレ……アタシ、酔っぱらってカラんだら、大概相手をぶちのめして終わりだケド……」
やっぱりズルい、と口の中で零してから、貰ったピーナツをひょいと口に放り込む。
もぐもぐと頬を動かしながら、またピーナツを口に放った手で男の尻尾をフサフサとしつつ。
名前を教えもらえるとうんと頷いて、またにいーと満面の笑み。

「くろず?変わった名前だねえ…拜托了(よろしく)!」

ごくんと飲み込めばまた一時尻尾から手を放し、ピーナツを口に放ってからまたフサフサと。触っている最中の女の方にも尻尾があれば、上機嫌に揺れて居た事だろう。

「ンで、普段なにしてンの?今日どうしてココきたの?」

夕焼け空が徐々に紺色になって行く中、どう考えても面倒くさそうな様子の男に、矢継ぎ早の質問を投げかける。

黒須 > 「くろずじゃねぇ…くろ「す」だ。」

(忙しそうに尻尾とピーナッツを行き来させながら離し、笑う少女になんだかめんどくさくなってきてしまっていた。
しかし、見捨てるなどのような雰囲気はなく、受け入れるだけ受け入れるようにしていた。)

「んなとこまで聞くのかよ…。
…まぁ、普段は第七師団って言う所で戦闘員兼偵察役をしてて…。
今日は、ただ酒がうまくなるだろうかって思って着て見ただけだ。」

(どしどし来る質問にもめんどくさそうだがちゃんと答えていく。
そこだけは面倒見がよいのであった。)

ホアジャオ > 「ゴメンごめん、くろす、ね。
 是吗(ふーん)……兵士なンだ?」
訂正されてもあはは、と悪びれなく笑う。
面倒そうにされているのに、ピーナツ片手に図々しく質問を重ねて、師団、と訊くと口を尖らせつつ一瞬、手を尻尾から離して頬を掻く。
それから何事か考えるようにくるり、と目を回して。またにま、と笑って不機嫌の間に居る様子の男へと懲りずに話しかける。

「じゃァ普段は王都に住んでンだね?アタシも最近は王都住まいなンだよ。
 ねえ、お家教えといてよ、喧嘩売りに行くから!」

黒須 > 「ま、訳アリだったがな?
そん時は副団長だったのと魔族の追い払いをして、金貸しより儲かりそうだったからそっちに職を移したって話だ。」

(思い出せば懐かしく感じれるあの時。
それがきっかけで、今は師団員となり、タナールでの偵察を行う日々であった。)

「あ?お断りだ…。
いくら俺でもそこは教えれねぇな?
喧嘩を売りに来るんだったら、御免だ…。」

(なぜかそこだけは本気で嫌そうな顔をして断った。
何があるのか、喧嘩を売られるのは良くとも、家を教えて喧嘩を売るのは嫌がった。)

ホアジャオ > 「フーン……本職は金貸しなンだね…」

何故だかこういう時だけ聡い。
男の返した返答に細い目がすうーと細くなって、ぼそ、と呟きを漏らす。
王都で『金貸し』『くろす』で訊いてまわれば、きっと巡り合うはずだ…
そう考えながら本当に嫌そうな様子に数度、不思議そうに瞬きをすると、けらっと笑ってぽんぽんと傍の尻尾を叩く。

「大丈夫だよ!家壊したりしないからサ。果たし状を投げどくくらいにするよ」

そう言って最後のピーナッツを口に放り込む。
もぐもぐ口を動かし、ぽんぽんと平らなままの腹を撫でてからごくん、と飲み込む。

「ごちそうさま!
 色々ありがと。アタシ明日バイトでサ、これから王都に走って帰るから、再戦はまた今度お願いするよ」

言ってから、永久の別れとでもいうように名残惜しげに男尻尾をフサフサとやって。
ふうーと何だか切なげに溜息をついた後、すっかりダメージから回復した様子で立ち上がると、男の傍らからぽんと下へ飛び降りる。
とん、と着地するとくるりと振り返って男を見上げて

「再见(またね)!」

手をぶんぶんと振って見せてから、軽くたん、と弾みをつけて走り出す。
そうして暮れ行く港から、女の姿が遠ざかって行く……

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」から黒須さんが去りました。