2019/08/09 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にリュシーさんが現れました。
■リュシー > (夜の桟橋にゆらゆらと燈る灯りは、つい先刻、新たな船が到着したしるし。
ぞくぞくと荷下ろしが始まっている傍らをすり抜け、上陸第一歩を桟橋に刻んだ己は、
明らかに寸足らずで、ついでに胸元もいささか不用心なチュニックと、何故かやたらと大きな白衣、
それに踵の高い靴、という、我ながらまるで統一性のない服装であった。
けれど仕方ない、これは全部、慌てて掻き集めた借り物、貰い物、ぶっちゃけ盗品であったりするのだから。
「貰い物」の靴で、かつん、と一歩、夜の桟橋を踏み締めて)
―――……あつ、ぅ……。
ていうか、おなかへったぁ……。
(生ぬるい潮風に髪を乱されて、うんざり顔でため息ひとつ。
―――数か月ぶりの帰郷を、こんな格好で迎えなければならなかったのは、
つまりはそう、―――空腹であるから、だった。)
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 船というものは、交易において重要な役割をもっている。
物を、馬車よりも遠方へ、馬車よりも早く送れるのだ。
故に、船旅には危険が一杯。それは何も海上だけではなく。
例えばだが、町に着いた船を狙って襲う、何て輩も居る。
なので。
「……あいよ~。周囲の危険、な~し」
男のように。船の荷降ろしを護る冒険者も居たりするわけである。
さて、そんな男。無事に荷物が全部降りたのを確認すれば、そこで一人の少女を見つけた。
いや、少女と言うか。形容に難しい相手。
「……あれ? リュシーじゃねぇの。
なにその格好。てか久しぶりだな?」
随分前に出会った、訳アリ少女……。
いや、だから。少女じゃないって話?
まぁ、そんなことはさておき。男は相手に声をかけ。
「……腹、減ってんのか?
何か喰うか? 奢るぞ」
相手の力ない様子に、何かを察した男。
話なら、食事しながらでも聞けるしな、と。
男は奢ることを提案するが。
■リュシー > (空腹である、ということは、己の場合、なかなかに切実な問題だ。
そして―――簡単に解決できる問題では、ない。
かつん、かつん、扱いにくい靴の踵で足許を無為に蹴りつけながら、どうするべきか、と思案顔。
手っ取り早くその辺の―――などと、たいへんハタ迷惑な考えとともに巡らせた視線が、
己の名を呼ぶ声にぱちりと瞬いて)
―――あれ、ぇ……?
(くる、と振り返った先に、覚えのある男の顔。
行儀悪くその顔を差した指先を、ふらふらと何度か揺らしてから―――
あ、とひと声洩らして満面の笑みを向け)
そーだ、セイン、だったよねぇ!
ホントに久しぶり……って、いや、格好はもう、放っといてよ、うん。
(服装については多くを語りたくない、というか、ヘタに語れば両手が後ろに回る、というやつである。
かつかつん、と歩み寄って、馴れ馴れしく彼の胸元をぺちりと叩いてみたり、なぞ。)
え、と、あぁ、うん……うん、腹ペコは、腹ペコなんだけどねぇ……
(奢る、という誘いは、己がもし普通の人間ならば、本当に嬉しい提案である。
だが、しかし―――)
うん、奢ってくれるのは、すごーく、嬉しいんだけど。
そっちじゃなくて、いや、そっちも減ってはいるんだけどぉ…、
(歯切れが悪いことこの上ない、きゅっと眉根を寄せて、彼の顔を上目に見つめ―――て、しばし。
黙りこんだ後に、ほう、とため息を吐き)
ま、いっか……ご飯食べたら、マシになるかも知れないし。
ぼく、めちゃくちゃ大食らいだけど、覚悟はOK?
(―――別の空腹を訴える勇気は、ちょっと足りなかった。)