2019/07/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 初夏の日差しがまばゆい午後。
ダイラスに面した海は穏やかで、波に陽光がきらめき、その上をゆるい潮風に乗って海鳥がかしましく過ぎっていく。
港には大小色とりどりさまざまな船が寄港していて、今日も今日とて送る人、来る人とで大賑わいの船着き場――
の、ほんの少し奥まった場所にある、倉庫街。
密集するように背の高い、窓の少ないぶっきらぼうな建物が立ち並んでいるそこの間を走る路地。
日差しがほんの少し傾いてしまえば影に沈んでしまうそこを、呑気な足取りでぶらぶらと歩いている女がひとりいる。
シェンヤン特有の服装に特徴的なツリ目の女は、周囲の建物を見上げてふうん、と声を漏らしたり
まるで退屈、とまでは言わないが、あまり楽しそうでもない。

歩む路地が分かれ道に差し掛かれば、くきりと首を傾げて。

「啐(ちぇっ)……ひとっこひとり、見かけないや……」

とうとう、明らかに不満そうに口を尖らせた。
人目に付きづらい場所だ。
あわよくば、どこかにどついてもよさそうな破落戸がいるんじゃないかと、期待していたのに…