2019/02/23 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 青空に白く霞む雲。すっかり春めいて、暖かな陽の光が差す昼下がりの船着き場。
日差しの暖かさもさながら海風もゆるやかで少し暖かく、船乗りも船客も、行き交う人々は気のせいかのんびりとした足取りだ。

そんなすこしのどかな雰囲気の船着き場の片隅、空の貨物用木箱が山と積まれた上に、のんべんだらりと寝転がる女がひとり。遠く近くで海鳥が鳴くのを聞きながら、細い目を今にも閉じそうにうつらうつらしている。傍らには少し太った白い猫が、両足を畳んで丸い身体を更に丸くして、これまたうとうと………

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にアクラさんが現れました。
ホアジャオ > 木箱から放り出された、黒いカンフーパンツを履いた女の足はぴくりともしない。
下から見上げれば、足だけのお化けに見えなくもない…
時折スズメがすうーと舞い降りては踊りを踊って飛び立っていく…

アクラ > 船着き場の裏手
貨物が並ぶだけの場所で少女は怒っていた

「もう一回言うぞ、王都に帰らせるんだぞ。」

大の男をまた一人海に放り投げる
周りを囲む男達…奴隷商とその部下達はそれぞれ武器を握っている
王都から攫われ暇だし良いかと思っていれば訳も分からずこんな場所まで連れてこられてしまった
目が覚めた時飯をよこせと言ったら奴隷が生意気だと断られたのでこんな事になってしまったのが少し前の事

「黙ってても仕方ないだろ。早く私を帰せ、このケチ共。」

最初は少女を少々可愛らしい子供と思っていただけの奴隷商も今ではアクラの利用価値に気付き何とか捕まえようと必死である
逃がしてなるものかと襲い掛かる男達と早く帰りたい空腹の少女
このままで争いが激化するのは明らかだ

ホアジャオ > 人声にぴくりと反応したのは白猫のほうだった。
ぱちりと黄色い瞳を一度開けて…それでも自分が動く気は無いようで、また目を閉じるとぶなぁ~と面倒そうな唸り声を上げた。
女の方は女の方で、寝言でも言いそうに紅い唇をむにゃむにゃ動かしながら猫を構った後…争いの声に気付けばぴくんと反応してぴょこんと半身を持ち上げた。

(なァんだろ……)

空き箱の上をすすすと動いて、木箱の上から裏手の方を覗いてみる。
男に囲まれた少女。…争いの匂いだ……
自然笑みを浮かべながら頬をみるみる内に紅潮させると、身を翻して木箱から飛び降りる。そうしてすとんと軽い音を響かせて少女を囲む男達の背後側へ着地して

「ちょッと!何おいたしてンのさ!」

明らかに楽しむ表情は隠せないまま、男たちの背後から怒鳴りつけた。

アクラ > 「ん、何か増えた。」

男達の後ろから聞こえた声の方を見れば1人女が増えていた
周りの男達よりも気が強そうで…なんだかニヤニヤしているのは分かる

「ご飯もくれないし帰してくれないから怒ってるだけだぞ。
お前もケチの仲間か?」

男達は動揺しているようだが女の方へ攻撃する様子もないのでそう聞いてみた
奴隷商だけは女を見て顔を青くしてる?
もしかして周りの奴等よりも強いボスかと警戒する

ホアジャオ > 港で喧嘩を売りまくっている。もしかしたら顔を知っている者もいるかもしれない…
顔を青くしている男を見てもそんな事は考えもせず、男たちを睨みながらにやにやが隠せない。

「アタシ、悪いケド懐は広い方だよ。お金ないからおごったりは出来ないケドね…!」

少女に言い返すが早いか
構えもせずにた、と地を蹴って瞬きの次の瞬間には少女を囲む男の一人の懐へ。

「女の子口説くンならね…正々堂々、一人でおいで!」

驚いた男の顎をがっ、と音立てて掌底で突き上げ、そのまま身体を低くしながらぐるりと身体を回して残った男たちの足元を強烈に払う。
見事すっころばせた暁には、さも楽しげにその上にジャンプして飛び乗って回ってやる

アクラ > 現れた女の言葉を聞けば少し考える
女の言葉からその意味を理解しようとして…

「お金ない……そか、貧乏か。」

勘違いと共に納得だと頷く
短い悲鳴と共に空に舞い上がった男とバタバタ倒れ腹や背中を踏みつけられる男達
どうやら仲間ではなかったらしい、それどころか味方かもしれない

「よくわかんないけど、運がいいな私。良い子にしてるからだな。」

女の乱入のお陰でほぼ自由に動ける
護衛についていた2人を壁に叩きつけ昏倒させる
そしてそのまま奴隷商の男にの顔を掴んだ

「お前より強そうな奴はもう居ないぞ。負けたんだから言う事聞くんだな。」

な?と顔を握る指に力を籠める
メリメリと頭蓋を締め上げる男が思い出すのは少女の怪力
従わなければこのまま……そう思い至れば男が音を上げるのはすぐだった
雇い主が落ちれば周りの者達が意地を張って歯向かう理由はない
それに何人かは既に乱入者の女にトラウマが有るようでその後は驚く程大人しかった

ホアジャオ > ジャンプして回りながら、少女が護衛を倒し奴隷商を締め上げるのを見てへえーという顔をする。最後の男はご丁寧に頭を踏みつけて

「ねえ……成り行きで助けちまったケド…もしかして楽しみ取っちまった?」

男の頭の上に片足を乗っけたまま、締め上げられる男には何の感慨も見せず、少し済まなそうに少女の方へ首を傾げて見せた。

アクラ > 「助けてくれたんだろう?何で楽しみをとる事になるんだ?」

はて?と首をかしげる
女の乱入によって自分は最低限の労力で帰りの足を手に入れたのだ
礼を言っても怒る様な事ではない

「あれか、お前は戦闘狂だな?」

戦闘行為を楽しみと呼ぶ輩の事は聞いた事があった
戦闘の結果ではなく過程を楽しむヤバい奴、らしい
聞いた話では男ばかりだったが成程女も居るのかと見上げ…

「私はアクラだ。ありがとな……お前、名前は何だ?」

ホアジャオ > 「だッて、ぶちのめすのって楽しいでしょ?」

首を傾げる少女の鏡のように、女の方もまた首を傾げた。
そうしてくすくすと笑って

「ただの喧嘩好きだよ…ひと殺す趣味はないしね。
アタシは『ホアジャオ』ってェの」

見上げる少女を見返す。
改めて見るとかなりの美少女で、数度細い目を瞬くと少し顔を赤くして目を逸らした。

「えッと…アクラ?こいつら何なンだい?」
逸らした目を、そのまま周りの男どもへ走らせる。

アクラ > 「別に?」

ヤバい奴だ、と心の中で格付けした
あくまで相手を倒すのは手段なのだ

「喧嘩好き…暴れるのが好きなんだなホアジャオ。」

顔を赤くして目を逸らされてしまった
どうした?と思いつつ続く問いを聞けば今までの経緯を話す

王都にて男達に攫われここまで運ばれお前は奴隷だと言われたので暴れた
鎖は千切り建物の窓を破りここまでやって来た、と

「これが奴隷狩りってやつなんだな。初体験だったが楽しくはなかったぞ、ご飯もくれないしな。」

自身の腹を擦りながら周りの男達をホアジャオと同じように見つめる
少し違うのは男達を見る目が空腹時の獣に近い事だろう
だがそんな事は余程勘の良い者か目敏い者くらいしか分からない
先程までとは別の意味で顔を青くする奴隷商の男位しか…

ホアジャオ > 「そ。暴れられればアタシは幸せ。
今日はアクラのお陰で幸せってえとこ」

ちょいと手ごたえ無さすぎだったけど、と鼻息を漏らす。
当然、少女の獣じみた視線には気付かない。

「アクラは『奴隷狩り』狩りしたってとこだね。…お腹、空いてンの?」

その、まだ赤いままの頬をゆっくりと少女の方へ向ける。本当に手持ちがないのでご飯は奢ってあげられないなあ…と考えてから、そうだ、と首領格らしき男の傍にしゃがみ込んで

「アンタ、幾らか持ってンでしょ?」

カツアゲにかかった

アクラ > 「ふーん…良かったな。私も楽出来て幸せだぞ。」

狩りをしたい訳ではなかった
ただ暇だったのでどうなるのか昼寝がてら放置してたらこんな事になったのだ
まさか別の街に運ばれるとは思ってもなかったのだが

「腹は空いてるぞ、もうそろそろ我慢できなくなる。」

コクコク頷きカツアゲ現場を後ろから見ている
男はホアジャオに自身の財布ごと急いで差し出した
ホアジャオに対しての恐怖、そして先程のアクラの目と我慢できなくなるという言葉に商人としての勘が働いたのだ

「勝ったらお金も貰えるのか…成程。」

そしてアクラはと言えばカツアゲを便利なお金稼ぎとして覚えていた
お金が有れば美味しい物が食べられる、もっと単純な事しか考えていなかったアクラにとっては驚きの発想だった

ホアジャオ > 「中々素直だねえ」

ごほうび、とにっこり笑うと男の脳天に空手チョップを振り落とした。
崩れ落ちる男を背後に、なかなかの膨らみの財布をぽんぽんと片手でお手玉しながら、にこにことアクラを振り返る。

「懐もあったかいやつで丁度良かったねえ?アクラは何か食べたいものあるかい?」

立ち上がって少女に近づきながら、くるりと目を回す。

「ご飯の間くらい、こいつら縛って転がしておいても大丈夫だろし」

何だったら、全員から巻き上げてみたら豪華客船で帰れるかもよ?なんてけらっと笑った

アクラ > 意識を失った男はかなり幸運だろう
怪我もなく手持ちの財布が無くなっただけなのだ
無事にこの場をやり過ごせたのは幸運以外の何物でもない

「肉、肉が食べたい。
……豪華客船?」

ふと考え…豪華客船というものの事を思い出す
とても豪華な食事が出る船だと、そして目を輝かせ起きている男達全員から所持金を奪っていく
逆らえばホアジャオの真似をして殴って寝かせていく
後半はホアジャオと違い技術無しの暴力で気絶させられる
仲間の姿に恐怖した男達が所持金を全て素直に渡してきた

「これで豪華なご飯の出る船に乗れるのか!?」

集めた金をホアジャオに見せて尋ねる
その目は期待に満ちていた

ホアジャオ > 「お肉?」

言われて美味しいお肉について考えを巡らせている間に、あれよあれよとアクラは男たちから所持金を巻き上げていく。
そうして目を輝かせて金を差し出す美少女。

(…まぶしい)

細い目を瞬かせてまた顔を赤くして、慌てて差し出された手のひらの金を目で勘定する。

「うゥん…たぶん、アクラひとりぶんだったら大丈夫じゃないかなァ?」

言いながら、もし載せてやるときに断られたら…いや、断らせない。その算段をする。勿論、腕に物を言わせてだ…

「お肉、串焼きの屋台が近いし美味しいケド…王都で待ってる人に、先に連絡とったりした方が良いンじゃァないの?」

きらきらした少女が眩しすぎて、何となくアクラの頭の向こうを見ながら訪ねる。

アクラ > 「そうか。私一人分か…ホアジャオも乗せてやりたいけど仕方ないな。」

ない物はない
それかもっと多くカツアゲすればどうにかなるだろう
機会が有れば後でもう一稼ぎだ

「ならそこに行くぞ。
暇だから出掛けるって言ったから大丈夫だ、約束も守ってるしな。」

今は空腹も交じって串焼きで頭がいっぱいである
帰る目途が立った今は余裕もある
なので早く早くとホアジャオの服の裾を引っ張り催促する

ホアジャオ > 「あはは、ありがと」

紅い唇で微笑んで、思わず服のすそを引くアクラの頭をきゅっと抱きしめる。良い匂いが鼻腔を掠めて、また顔を赤くするとぱっと手を放して、その手で今度は自分の後ろ頭を掻いた。

「そッか、心配してないならいいよ…」

おいで、と手を差し伸べる。顔を見てしまったらまた頬を赤くしそうなので、そっぽを向きながら。

アクラ > 「むっ、どうした?」

抵抗なく抱きしめられたので何となくそのまま抱きしめ返した
すぐ離れたので何なのだ?と不思議そうにするがそれはそれ

「ん、連れてってくれ。」

差し出された手を握る
妙に目を合わせてくれないのは気にしない事にする
美味しい串焼き、それを求め歩き出す

「どんな味なんだ…甘いのか?辛いのか?」

独り言で串焼きへの期待は高まる
傍から見れば仲良くお出かけ、な光景に見えるだろう

ホアジャオ > ううん、可愛い、と心の中で唸る。
少女も、暴力女にそう思われていたら少し怖い思いをするだろう…そうして目を合わせないまま少女の手を引いていく。

「甘いふうにも辛いようにもできるよ。胡椒だけでお肉の味だけってェのもできるし…」

気に入るといいケド、と言いながら仲良くその場を立ち去っていく。
その後、日暮れ過ぎに女が木箱の上の白猫を引き取りに来るまで放置された男たちは、もう一度ご丁寧に女に腫れるほどしばかれつくした後、酷い風邪をひき…幸運にもそれだけで済んだらしい…

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からアクラさんが去りました。