2019/01/21 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にミセリコルデさんが現れました。
ミセリコルデ > 最近妙に殺気立つ事が多い界隈、何か大きな事件でも有るのか、常日頃からこうなのか、人攫いに攫われたと言うべきか売られた……理由は様々だが、港湾都市ダイラスで過ごしてからまだ日は浅く慣れていない事もあるが、良く判らないあまり宜しくない空気のお陰で今夜は闘技場で試合ではなく、船着場の警備にまわされてしまった。

とは言っても、此処に停泊する船は警備なんぞ居なくても自前で警備を雇っているであろうし、権力と富の象徴に手を出す者はいる筈も無く、専ら酔っ払いの相手をするのが常であったが、今夜はそれすら居ないとあまりに暇であった。

だから、桟橋付近の船止めに腰をかけて、故郷では嗅ぐことが無かった潮の香りを胸いっぱいに吸い込んで、ふーっと吐き出してから、一緒に出そうになった欠伸を噛み締め、時間まで読書をする事にした……したい。

残念、足元に置いたオイルランタンでは光量が足りず、こっそりと持ってきた文字を覚える為に読む小さな絵本は読むことが出来ず、胸元からするりと取り出して、表紙を眺めて、読めないと判断してするりと懐に戻るだけ。

「…………ァァ……………。」

ハァ、と溜息を吐きたかったが、まるでゾンビの唸り声。

喉を潰されていればこんなもので、ただ普通に息を吐く時だけがまだ聞ける音で、意識して溜息を吐くと……矢張りゾンビ、グール、矢張りアンデットの類の唸り声となる。

その首も鎖はないが重たい金属の首輪。

奴隷、言葉の意味はハッキリと理解していないが、最下層に落とされ闘技場でモンスターと殴り合いをさせられ、こんな物をつけられる身分は碌なもんではない事は理解してる。

帰りたい、早く故郷へと………
そのためには後幾度打てば良いのか。
何もする事がないと、つい余計な事を考えてしまう。

ミセリコルデ > 潮騒の音を聞いているだけで瞼が少しずつ重たくなってくる。

だがまだ仕事を終える時間ではなく、眠気と欠伸を噛み締めながら、手持ち無沙汰な手で懐よりコインを一枚取り出すと、親指にコインを乗せて、ピンッと親指でコインを弾いて宙に飛ばして、また器用に親指の爪先で受け止め、再びピンッと弾く。

誰が見ても暇を持余している。
だが何とも出来ない空気を漂わせる。

まあ後少しすれば仕事は終わる筈であるし、その前に酔っ払いとか鎮圧対象がふらっと船着場に迷い込んできて、暇を潰させてくれる可能性もなくもなく……。

「……ァァ……。」

また一度ゾンビの唸り声。
歌うことも許されず、拳をふるう毎日。
何時になったら開放されるのだろうか?
ふと長い前髪に隠れた瞳を細めてコインを打ち上げた夜空を見上げるのだった。

ミセリコルデ > 睡魔の抱擁には勝てない。

もう良い頃合じゃないか?と思い船止めから重い腰をあげると、宿舎に戻るついでに酔っ払いを1人海に放り込んで、手をパンパンと埃を叩く真似をしてから帰路に着く。

なお酔っ払いは仲間に助けられた模様である。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からミセリコルデさんが去りました。