2018/11/18 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 夕暮れに差し掛かった船着き場は、客船の出入りがほぼ落ち着いたせいもあって人出もまばらになりつつある。
船乗りたち、倉庫で働く者たち、それぞれも帰途に就くものが多い中、貨物の空の木箱に腰掛けて、ぼんやり夕暮れに照らされている女がひとり。

(唉………また、はずれ……)

ダイラスの港をうろつくようになって、船乗りの顔見知りもいるようになった最近、使い走りみたいな事をするようになった。
駄賃もそうだが
『喧嘩相手してくれそうな人が居たら、教えてくれ』
とお願いしてある。
この街には闘技場がある。それに出場するような人物が目当てだったが…まあ、私闘をしてもいいと答える者は中々、いない。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にざくろさんが現れました。
ざくろ > 働いている東国料理店で使う、小魚や海藻に関しての話し合いでこの街に来ていたざくろ。
今ではそれも終わり、予定されていたものより早くなったため、2日ほどのオフタイム。
普段余り見ることのない海。港町という文化そのものが珍しい。
だから、こうやって夕暮れ時になっても歩き回っている。

パット見は「ヤマトナデシコ」とかいう東国の淑女だが
心得のあるものからすれば、重心や身体そのものの運びが素人のそれではない、十分すぎるほどの訓練を受けた人間のものと解るだろう。

「潮風。あんまり浴びすぎるとベタつくけど、わるくないですねー……
あら? お姉さん、そろそろ日が暮れて危なくなりますよ?」

何の気なしに、異国風の女性に声を掛ける。

ホアジャオ > 声を掛けられると目線だけすいとそちらへ。見慣れない服装の女性が眼に入ると、細い目を軽く瞬く。

「唉唉…ありがと、ねェさん。…ちょいと少し、考え事してて…」

少し笑って言下に心配ない、と伝えると、目線はすぐにまた水平線へ移り、膝に頬杖をつく

「……喧嘩好きって、あンま居ないモンなんだね…」

誰ともなしに呟きが漏れる。

ざくろ > 「ふむふむ?」

こてん、と小首をかしげて。笑顔。心配への感謝。ならば、この女性は日が落ちてからの治安にも対応できる業前。
これでも一応は「冒険者内で腕が立つ」レベルには研鑽を積んでいる身。
己と同じく、暴漢程度はちぎって投げる人か。
そして、聞こえるつぶやき。
喧嘩。 けんか。  ケンカ……。
そう言えば暴漢の制圧と依頼対象の制圧以外では、此処最近腕を振るっていない。
私生活も忙しくなってきているし。

「あのー……。 ケンカというと、どのくらいのレベルまでするんでしょう……?」

人によって基準は違う。当てない試し合いから、当たって骨が折れても文句の言えない試し合い。

果てはケンカと言う名の殺し合いまで。

この人のケンカはどこだろうと、少し気になった。

ホアジャオ > とおに去ってしまったと思っていた相手から声が掛かって、頬杖したままきょとんと振り返る。異国の服装が珍しいこともあり、そのまましげしげと相手を見つめながら

「…えと……相手が『参った』、ってェ言うまで…かなァ?それか、どっちか動けなくなったら」

ざくろ > 「ほうほう……なるほど解りやすい……」

明快で、なんていうか気持ち良く「ケンカ」である。

「武器や魔法の仕様はどのくらい? 刃物は潰しておいたほうがいいですよねえ……さすがに……」

こちらも、異国の格闘衣をみるのが珍しいので、結構じっとみてしまう。

ホアジャオ > まさか女の人から問い詰められるとは思っていなかった。『向こう』の国の女の人は随分積極的なのかなァ?などと思いながら戸惑って頬を掻く。

「アタシはどっちも無いほうが好みだケド…まァ、お互い文句無けりゃァ、どのくらい何を使ってもいいンじゃァないかなァ?」

相手が好奇心だけで訊いてきていると思っている。なるべく偏らないような意見を提供しようと四苦八苦。

ざくろ > 実態はれっきとした男性であり、出身国も向こうではなく此処であるという『全身これ詐欺』なこの男。
なんだかワクワクして聞いてしまう。

「ふんふん。素手の打ち合い。それもまた気持ちいいケンカらしいケンカ」

自分が手に持っている番傘に目を落とす。
総鋼鉄製。重量10kg。当たれば普通に死にかねない。ケンカの域ではない。

「ふむふむ……じゃあこれはダメですねえ」

女性からの「ケンカ」の情報を色々自分なりに噛み砕く。
なら、コレはダメだ。と、ぽいっと番傘を後ろへ放る。
ゴッ!!! と音を立てて、石造りの足場にヒビを作る。

ホアジャオ > 「啊!?」
何気なく放り出された番傘の方から、凄い音が聞こえて思わずびくっと座ったまま飛び上がる。
細い目を何度も瞬かせて、自分より少し背の高いくらいの女性をさらにしげしげと見上げて

「えっと…ねェさん、何者…?」

流石に怪しみはじめた…

ざくろ > 「うふふ♪ 腕の立つ料理人ですっ」

びっくりしてくれたのが嬉しいようで、テンションがちょっと上がっている。
怪しむ視線も、どこか気持ちがいい。

そして、着物を襷でくくって、上体を動きやすく。
ややはしたないが、下半身も着付けを緩めて動きやすく。
草履を、足袋を外して動きやすく。

「さっ。宜しければ、一手お願いしますっ。お姉さんっ」

ぱっと花のさく笑顔で、あそびましょうという子供のように。

ホアジャオ > 料理人だと返された挙句、手合わせを願い出られると目を丸くして更に瞬いて

「…えと……構やしないケド……」
やる気満々の様子の相手に対し、毒気を抜かれたように立ち上がる。
(世の中、色ンな国があるねえ…)
向こうの国では、料理人は喧嘩するもんなんだろうと納得しようとひとつ、頷いて

「獲物は、無しで良いンだね?」

それでもいまいち釈然としない様子で、軽く手首、足首を回しながら間合いを取る。

ざくろ > こうなった答えは簡単。
「オフだー」と緩んでいた気持ちに「ケンカ」という男の子ワードが火を付けた。
最近荒事もなかったし、この人の腕くらべなら気持ち良くできる!
そんな、なんというか、能天気な理由である。

「はいっ。嬉しいですっ。当然、獲物なしで」

ぴょん、ぴょん、その場で跳ねて手首足首をほぐす。
そうしながら間合いをとって。5mほどか。通常なら、一足飛びとは行かない所へ。

なんだかこの詐欺男のせいで東国の料理人の色々が、女性のなかで転落していっていることは、きっと後で東に向かって土下座をしたほうがいい。

ホアジャオ > 間合いを取る『女性』の動きを目で追う。

(…東国ッて、料理人も結構鍛錬してるんだね…)

戸惑う気持ちから、段々と期待が膨らんで紅い唇に笑みが浮かぶ。軽く手を握って、半身に低く構えて…

「…いくよ?」

ざくろ > 拳の握り、中心を見せない構え。
ああ。見たことのない流派。
――楽しそう。

「ええ。いつでも」

頷く。

両腕を軽くあげて、胴と顎を守るように。利き足である右を後ろに。
軽く、軽く、動けるように。

ホアジャオ > 相手の構えを見て更に笑みが深くなる。
「じゃァ…遠慮なくッ!」

およそ一足飛び、電光石火一気に相手の懐まで飛び込んで
「ィヤァッ!」
相手の顎目掛けて掌底を放つ!

ざくろ > 共に、笑顔。
そして、宣言。

日常に鈍った視界では追いきれないほどの爆発力。
ステップではたどり着けない領域。
これが異国の組討。

「っ!!」

間一髪。本当に間一髪。経験からくる危険察知が少しだけ働いてくれたから
なんとかガードの手を閉じることができた。
そうでなければ、一撃で脳を揺らされて終わっていたろう。

「速い、はやい……っ!!」

ゾクゾクして、歪んでいるがれっきとした笑みだ。
この速度。守りに徹すれば、たちまち対応しきれなくなって落とされる。

だから。踏み込む。関節を取ったり、投げをする余裕はない。
相手が許すのなら、両手で首を掴むように。其処から狙うのは、腹部への膝。

ホアジャオ > (間に合わせたね…!)
ガードがあるのは解っていた。おそらく空いた自分の腹部へ攻撃が来るだろうことも―――
打ち上げた腕の勢いのまま身体を回転させて膝を躱し

「ェヤァッ!」

その回転の勢いを乗せて相手の頭部へ後回し蹴りを放つ

ざくろ > (この距離に対応……!柔らかい……!)

相応の手練の読みあいなら、これが読まれていても当然ではある。
が、この柔軟性はこちらは読みきれなかった。
回転の力。全身の回転が末端へ集約される。
クリーンヒット。
側頭部から抜ける衝撃。
いい一撃。効いた。倒れていい一撃。
でも。
(まだ続けたい!)
訓練生であったころから、タフネスは抜けていた。
だから、一撃でノックアウトのような蹴りを受けてなお。

「まだ、まだですよ!」

膝が帰るそれまでに、足を両手で掴もうと。

それが上手く行ったのなら、身体を反転させ肩に足を背負って、そのまま石造りの地面へと叩きつける心算。

ホアジャオ > まだ立ってる相手を見止め、蹴りを放った足で更に踏み込もうとするが、一手間に合わずに相手の両手に捕まる。

「呦…!」

投げ飛ばす手が離れるその瞬間、もう片方の足で相手の肩を蹴り付けて身体を引きはがし、少し跳んでごろごろと地面を数度転がって相手に向き直る。

(速さには慣れていないみたいだね…)

間髪入れず再度地面を蹴って相手に肉薄して、足元に回し蹴りを放つ

ざくろ > (器用に動くなあこのお姉さん!!)

自分の体の上を曲芸のように蹴り飛んで、投げを回避されるのをみて、ゾクゾクがもう止まらない。
そして、再度の肉薄からの回し蹴り。
確かに、このレベルの速度に、鈍った身体は完全対応はできない。

しかし。

(穴は突いてこそ。なら、私の見せた穴へと加撃がある!)

肉薄に更に肉薄。打点をずらして回し蹴りの真価を殺す。
そしてこの距離と肉薄の体重で、脇腹へ肘打ちを放つ。頭部なら確実にかわされると。

ホアジャオ > (!合わせてきた…ッ)
空いた脇腹への肘打ち。咄嗟に勢いを殺すために身体反らすが、それでもそこそこの重量で身体の中へ響く

「く…ッ」

身体を崩す…と見せて体勢を更に低くして、足元へ蹴りを放つ。
内心面白くなってきて、口元には笑みが浮かんだままだ

ざくろ > (末端への加撃。基本だけあって、やっぱりキツい……!)

だが、その痛みすらゾクゾクする。
肘はそれなりの手応えがあったのだ。速いし鋭い。
しかし、手が届かない位置にはいないという実感が、感触が肘にある。

低い低い姿勢、笑う顔が見合う。
面白い。

(そんな場所に居ちゃあ、危ないですよっ!!)

足元は腫れ上がるほどに痛い。が、此処で止まると永遠に止まる。
だから、低い頭への膝蹴りを狙った踏み込み。かわされても、そのまま上方優位から腹部を思い切り踏み込もうと。
このまま終わるのは少し足りないのだ。

ホアジャオ > (哎…頑丈なねェさんだね!)
蹴りを受けて未だなお立ち続ける相手、その足が踏み込むのを見る前、素早く手を着いて後ろへ宙返りして体勢を立て直す。

流石に数度、直撃で当てている。
「…どォ、ねェさん…降参する?」
軽く息を荒げながら、試すように問いかける…

ざくろ > (やっぱり速いなー! 拳足だけのリーチじゃやっぱり本職さんにはだめなのかなあ?)
やはり曲芸じみた動きで回避を続けるその軽さ。
一撃一撃が腫れ上がるほどのこの重さ。
剣士と拳士では、領分が違うことを実感させてくれる。

「ううーん…………そうですねえ…………
あちこち痛いですし、お姉さんすごく速いですし、勝てないかもーって思います。

でも

そう言われたら、もう一回だけでも挑戦したくなるじゃないですか♪」

ゾクゾクからくる笑みではなく、自分自身、ざくろという人のもつ、花の咲く満開の笑顔。

ホアジャオ > 笑みを浮かべる相手を慎重に見遣る。どうやらやけくそという訳でも無いようだ。

「そォ来なくっちゃ…ってェ言いたいとこだけど、流石にアタシも、料理人さんを本職が出来ないほど叩きのめす気にはなンないからサ…」

自分は明日、動けなくたって平気だが、料理人の身体を壊すようなことはしたくない…

「…じゃァ、次ので、ねェさんが当てたらねェさんの勝ち。
駄目だったらアタシの勝ち、ってェのは?」

ざくろ > 「あ。 あー…… その、えっと…… ふ、ふっかけておいて、お気遣いありがとうございます……」

すごくすごく楽しくて熱くなって。でも、そう、料理人だと名乗ったから。
ケンカが大好きなのに、ちゃんと相手を気遣えるお姉さんに、ぺこ、ぺこ、と何度も頭を下げて。

「そう、ですね。次が当たれば。わかりやすくって、とってもいいとおもいます!」

ホアジャオ > 相手が了承すれば、半ばほっとした様に笑う。

「アタシも楽しいから、ホントはどっちかぶっ倒れるまでやりたいンだケドね」

悪戯っぽく笑いながら額を袖で拭って、シャツの襟もとをくつろげる。
再度、半身に構えて
「……今度はねェさんから、どうぞ?」

ざくろ > お姉さんの安堵の笑顔に、こちらも笑顔。

「ううー。惜しいですよね。でも、ええ。力いっぱい、全力なので!」

笑顔で両手で気合いっぱいなポーズ。

「では…… 参ります」

そして、右手を握りしめて。
利き足を後ろ、踏みしめて。
10kgの番傘を日常的にくるくると振り回せる腕力。
毎日持っているからという理合はある。
しかしそれも基礎的な腕力がなければ成り立たない。
細腕にみえて、両腕の筋力は非常に高いレベルだ。
だからこそ、一番信頼できるのは、右腕。

お姉さんの足には敵わないが、思い切り踏み込む。
半身。的は小さい。だが、速く当てればそれで済む。
足では敵わない。絶対に。だが、この腕はどうだ。
この体躯から発される拳打の伸びとはレベルが違う。
そう、足の速度は常識的な爆発。腕の速度が、槍の如き伸び。

乾坤一擲。
要するに単なる右ストレートだが、だからこその信頼。

当たろうとも、当たらずとも、無手の自分が出せる最速の一撃だ。

ホアジャオ > 相手の打ち込みが届く距離まで待っていた所、速さと伸びで繰り出された拳。

「!うわッ…」
――――正直拳は見えなかった。風音だけで反応して皮一枚で横に躱し、拳が過ぎた圧で頬が風を感じる。

「ッとっ!」

間を与えず伸びきった相手の腕に軽く手を添え、肘の内側に手刀を打ち込もうと右手が風を切る――

ざくろ > 「――――ッッ!!」

聞いて躱された。異国の格闘技の高等技術と伝え聞く。
悔しいっ!悔しい悔しい!!
でも。

「ありがとう、優しいお姉さん」

すべて出し切ったから、気持ち良くて。
最後の攻撃も、壊すためのものではないから。
手刀をうたれたところを支点に、どさりと地に身体を倒す。
本当は、大の字になりたい。でも、着物よごしちゃうからできなくて。

「ああ――  いい勉強を、させていただきました」

お姉さんを見上げて。ちょっとだけ涙目だけど、笑顔。
楽しかったから。

ホアジャオ > 相手が地に身を倒したのを確認すると、ふうーっと大きく息を吐いて再び額を拭う。
倒れている相手の傍にゆっくりとしゃがみこんで

「哎哟……アタシも楽しかったよ、ありがと。
…料理人さんでもこンだけ動けるンだから、東国の武人ってえのはよッぽどすごいね?」

相手が起き上がれるよう手を差し出しながら、眼が少し、爛々と輝いている。
このままだと、東国衣装を着ている人間誰かれ構わず喧嘩を吹っ掛けそうだ…

ざくろ > しゃがみ込み、視線を合わせてくれる。
勝ったということよりも、やりあったことがきっと大事なんだろう。
ああ。嬉しいな。

「はい。本当に楽しかった。
んー、武人さんはそりゃあすごいですけど、私は「腕の立つ」料理人ですからねっ」

くすりと、いたずらな笑顔。ごめんなさい本当の東国の人。
一応、一応、限定するための文言は挟んでおきましたので何卒。

「ああ、もう、夜……」

楽しかった時間が、宵を闇に。子供の頃のように楽しかった。

ホアジャオ > 「唉唉…たしかに、腕は立つね…獲物があったら、また違ったかも知ンないねえ?」
少し首を傾げて、くすっと笑う。

言われて、ようやく夜の帳に気付く。おや、おやと目を瞬いて「ねェさん、こンな遅くなって大丈夫なの?良ければ、送ってくよ?

ざくろ > 「ふふふ。 そうですねえ。でも私、剣とかつかいますから、それはあぶないですよー」

比べあいに、命のやり取りは不要だ。次に比べる機会がなくなるのだから。
楽しくない。

お姉さんの手を取って、立ち上がる。
うん。あったかい。

「あら。そうですねえ……。 じゃあ、お願いしてもよろしいですか?」

そりゃあ、そんじょそこらの暴漢に負けたりする気はないけれど
それなりに貰っているので、万全ではないのだし。
ありがたく、ご厚意を頂いておこう。

……うう、ごめんなさい、男の子なのに女の子に送らせて

ホアジャオ > 矢張りというか、相手は通常は(料理人兼)剣士のようだ。
「大丈夫…アタシも獲物、使うから」
また今度、次の機会にね…と紅い唇がにっと笑う。

送る、という言葉が受け入れられれば少し柔らかい笑みを浮かべる。取り敢えず、港の出口へを足を向けて歩き始めて

ざくろ > 「ああ。武芸百般ってかんじですねえ。ふふ、比べるよりも、動きをずっとみていたいかも」
はい、また今度に。魅力的な唇を、強く優しいありかたをしっかり覚える。

番傘を拾い。ふたり、笑い合って。港の出口へと、2人で。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からざくろさんが去りました。