2018/05/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にレキ・キドーさんが現れました。
レキ・キドー >  小柄な和装が体格に合わぬ刀を掲げ持ち、倉庫街を歩く。
 柄を上にした持ち方はまるで従者のようだけれど、主人と思しき人影は見当たらない。
 上陸して数日、ようやく異国の街にも多少慣れ、目当ての物を探して倉庫兼店舗みたいな店を巡り歩いていた。
 主人のお使いで何か探しているように見えれば年若くとも待遇は悪くない。
 訪ねた店では概ねよく案内してもらえたが、物が極めて限定的なだけにそう巡り合えるものでもなく、何より――

「…たっかいなあ…」

 当たり前の事だが、珍品とは値の張るものなのだ。
 見つけたとして合法的な手段で引き取るのは困難に思えて、最前の店からしばらく離れたところで、夜空にぽつりと呟いた。
 路銀さえすっかり寂しくなってしまって、何かで稼がなければという所なのに。

レキ・キドー >  それでも次の店はと探しながら、倉庫の飾り気が無い外壁にベタベタ張られたポスターに目をやった。
 ローザがそこで対戦しようと言い出した、闘技場のものもある。
 紹介されるまで気に留めていなかったけれど、どうもダイラスの名所らしい。

「…やっぱりこれかな…」

 治外法権の趣さえあるほど地下感満載だが、
意外な事に殺生は禁止されているというか、少なくとも推奨はされていないもよう。
 出場しても魂は取り込めない・取り込み難いとなると魅力が減るように思えるけれど、
考えてみれば衆人環視の前でそんな事をすればそれこそ神職が飛んで来そうだし、
逆にローザ級の化け物―― 勘違いの可能性もあるが今のところそう評価している ――に当たったとして、
この身の不死性が露見して厄介な事態に発展する可能性が減ると見れば、悪くはないのかもしれないとも思う。
 つい意識がいってしまうけれど、魂の収集がいかに甘美といえ、
基本的にはそれを求めてはいない… 少なくとも、求めるのは良くない事だと思っているし。
 何より、いささか超人たる自分にとってはギャンブルより分の良い挑戦に思えた。
 お手軽に稼げる手段なんてそう転がってやしない。
 あるいは自分がこうしてウロウロしているように、闘技場のレベルはとんでもなく高いのかもしれないけれど。