2018/05/05 のログ
レキ・キドー > 「――どうして興味を持った?」

 まだ顔色は悪いけれど、すっと背筋を伸ばして真っ直ぐ相手を見据える。
 ローザと名乗った魔人は一見無害に見えるけれど、例えば自分なら存在そのものが社会の敵とさえ言えるかもしれない。だから警戒するのだと、僅かに顔をしかめるのは半分自分に向けて。

「私は、キドウレキ。こっちじゃレキ・キドーかな。
 自分がこうなった事を喜んではいないし、積極的に活かそうとも思わない。
 だからローザが、私がこのザマだから興味を持ったなら、きっと当てが外れるよ。私はローザにとって楽しいやつじゃない。」

 逆にこんな自分に同族としての好意を寄せてくれるなら、それは自分にとって敵となる可能性のある相手なのだと。面倒くさい事を真面目に言って… しかし、と思う。
 詐欺師に見える詐欺師はいないが、ローザからは今のところこちらを取り込もうとか、何か思惑があるようなところを感じられない。
 本当に、ただ行ったことがある外国の装束に身を包んだ者がいたから声をかけただけなのだという雰囲気でもあり…
 ここまでハッキリ言って、それでも招いてくれると言うのなら、お屋敷持ちの好意に一晩甘えるくらい良いのではないかと、情けなく眉を八の字に。
 何しろ、足元はまだ揺れている。見知らぬ土地でこれから宿を探すのは骨が折れそうだった。

ローザ > 「東方の服で懐かしかったし、色々事情を抱えてるみたいだからかな?
それと、この国ってお姉さんみたいな真面目な人は食い物にされちゃうって聴いたからちょっと気になって。」

思ったことをすぐに口に出してしまう少女。
きょろきょろとお姉さんの表情を見つめていた。

「じゃ、レキお姉さんでいいのかな?
僕は別にお姉さんが何をなそうとしていても別に構わないんだけど。
ただ興味を持ったことに首を突っ込んでみたいだけ。
どこかの陣営に属してる分けでもないし、別に同族を探してるとかでもないよ?
あと、なんとなくだけどお姉さんがしようとしてることって一人だと大変そうだしね。
僕も昔旅をしていた時はパーティを組んでいたし、今も苦手分野は人に助けてもらってるよ。
だからお姉さんが困ったことがあれば手伝うのが当然だよね。」

お姉さんの真面目な様子から、何かしらの目的があってきていることは想像がついていた。
珍しい事や面白いことが好きな少女は子供らしい理由で声をかけたのだ。

「どう? これで僕のことを少しは信用できそう?
良かったら食事でもしながら色々教えてよ。」

レキ・キドー > 「……。」

 また、見つめる。ローザがどこまで自分の特性を理解したのか疑問に思うけれど、そこまで説明するつもりはなく、ただローザにとって今の私の発言は問題無いものだったのだろうと解釈した。
 下衆の勘繰りをしてしまったようで、気恥ずかしそうに視線を外し俯いた。

「…ろくな国じゃないな。…でも、どこも同じだよね、そういうのは。
 私は簡単に喰われるほど弱くないし…」

 大丈夫だよ、ともごもご言うけどそうではなくて。

「…あの、うん、失礼しました。
 別に手伝うの当然じゃないと思うし、信用とかも分からないけど、私の同類云々っていうのを気にしてないのは何となく分かった。
 …だから、まあ、ローザが良いなら、一晩ご厄介になれると… あ、でも、軒先で良いし… 返せるものもそんなに無いからな…」

 助け合いの大切さを学んだというのは良い事だと思うが、それを自分に当てはめるのはローザの方こそ大丈夫かと首を傾げてしまう。手伝いはいらないと首を振るけれど、人探しと物探しと神探し、一人でどうにかなるものでもなく、何か見聞きしたら教えてくれるというだけでもありがたくはある。
 身の上話くらいは構うまいと、追従する姿勢。

ローザ > 「もしもーし。」

黙ったまま見つめられてしまうと、じっとすることが出来ない少女は目の前で手を振っていた。
俯いてしまうと、不思議そうに首を傾げる。

「お姉さんが強いとして、ここの国の人が正面から力押ししてくれるとも限らないよ?
ま、こんな国だからこそ僕やお姉さんが平気にうろつけるってことだよ。」

良くも悪くも統治機構が上手く機能していない故に出入りも楽。
楽観的な少女は笑う。

「謝らないで。 いきなり声をかけた僕が悪いんだし。
僕としては面白い話が聴けたらそれで満足なんだし。
じゃ、行こうか。」

お姉さんが同行する意思を示してくれた所で少女は魔法を使う。
一瞬だけ光に包まれると、この場から二人の姿が消えていた。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からローザさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からレキ・キドーさんが去りました。