2018/05/04 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にレキ・キドーさんが現れました。
レキ・キドー >  冴えない外国船が接舷され、積み荷や人を吐き出していく。船種が多少特異でも老朽化した様は荒んだ雰囲気の港によく馴染んでおり、船着き場の背景にすっかり埋没していた。日常の一コマ。
 そんな中、文字通り『身の丈に合わない』刀を掲げ持った黒ずくめのチビが覚束ない足取りで上陸しても、一見した限りでは目立つ程の事は無い。見る者が見ればヒト一人分のスペースに異様な数の魂が凝集されている そういうもの なので、警備の厳しい港であればそれだけで見咎められたかもしれないが。

「――。」

 見知らぬ国の大地を踏んだ感動もそこそこに、軌道礫は辺りを見回して、ひとまず神職らしき者が飛んで来たりしない事にほっとする。これから入国審査のような事があるのかもしれないが―― 即座に対応しなければならない状況が展開されるわけでないのなら、今はそれどころではなかった。

「――ぅえッ…」

 周りからサッと人が引きそうな、危険な声を上げて桟橋の端に屈み込む。刀を杖にしたいところだがそれはせず、執念で掲げ持ったまま、水面を見つめ、揺れるものを見ないように目を閉じた。ら、更に嘔吐感が押し寄せてきて、青い顔で倉庫街を見つめる。
 まだ船上にいるような感覚はすぐに抜けてくれるものと思ったが、遊びや訓練でぐるぐる回された時のものとは違う。地下が波打っているような感覚は消えなくて、あるいはこの土地がそういう特性を持っているのではないかとあらぬ疑いなど抱きながら、しばらくはじっとしていた。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にローザさんが現れました。
ローザ > この国のことを勉強中の少女は来たことのない場所へとやってきた。
船が多数出入りする大きな港。
いかつい船員達がうろつく中、小柄な少女は能天気に歩き回っていた。
途中、荷を運ぶ邪魔になるからと追い払われたりもしていた。

東方の服…ハカマ? を着た女性を目にする。
かつてはそういう国にも居たことのある少女は懐かしくなり、馴れ馴れしくも声をかけた。

「おねーさん♪ ようこそマグメールへ~~。」

己も着たばかりだが、袴姿の女性の背後から声をかける。
両手を後ろに回し、下から覗き込む少女。
相手が込みあげる物と葛藤しているとは露知らず。

レキ・キドー >  やがて降り立った人々は散り散りに。積み荷の搬出は続いているが、このままポツンと取り残されていては人目を引いてしまうかもしれない。まずはとっとと街中に紛れなければと重い腰を上げると、何か妙に陽気な… そんな気がする声がかけられた。
 その声は自分に向けられたような気がしたが、おねーさん、という呼びかけだったので、思わず自分以外の対象者を探してしまうのが少し哀しい。

「――あ… ああ、どうも。」

 振り返り、ドーモと会釈する。カーペンターファッションの少女… に見えるが、その異常性は感じられるものだろうか。マグメールはそういう国だと聞き及んでいるので、自分と似たような者だと知覚してもそれだけで大きく態度を変える事は無いが。

「客引きかな? 安い宿を教えてもらえると助かるけど。」

 荷役には見えないが、声をかけられる当ても無くてそんな事を言う。口元と胸元の間でどっちを押さえようかと手をさ迷わせる、危険な姿勢で。

ローザ > 「お姉さん、珍しい恰好だね。 東方の人?
僕も昔居たことがあるんだ。 でも、こっちと色々違うから最初は戸惑うかもね。」

頭を下げてくれたお姉さんを見つめる少女。
着ている服はそこらの庶民が着ているような飾り気のない服装。
ただし、巫女ともなれば少女の能力には気付くかもしれない。
少女は己の力を隠すこともなくダダ漏れであった。

「僕は客引きじゃないよ。 珍しい恰好してるから他所から来たのかと思って声をかけただけ。
この辺は危ない人もいるらしいからお姉さんも気を付けてね。
えっと、泊まる所をお探し? 僕も最近着た所でこの辺は詳しくないんだ。
近くに屋敷を持ってるから、良かったら泊まっていく?」

初対面の相手にお勧めできるような宿の情報は少女にはない。
眉を下げた少女は己の屋敷に泊まることを提案する。
少女の異質さに気が付けば、そこが普通の場所でないと推測できるかもしれないが。

レキ・キドー > 「……。」

 愛想の無い顔で、じっと少女を見た。人の事は言えないが、要注意人物とみとめて、距離を取るべきかと考える。刀が重いとでも言うように、掲げ持っていたものを肩に担ぎながら。

「ああ、話が早くて助かる。シェンヤンの端っこね、島で、シェンヤンでもないんだけど。北側からこっちへ入るの大変そうだから船にしたんだけど、止めておけばよかったな… 船旅、長いとこんなにクるとは思わなかった。」

 そうそう東の、と頷きながら、全く目を離さないのは不自然に映るだろうか。
 危ない人がいると忠告してくれるのが何だか可笑しくて、浅く息をついて肩をすくめた。

「ありがとう。だけど、私とあなたの間でこんな話をするのも可笑しいな。マグメールには、私達みたいなのも多いって聞いてるけど、ゴロツキまでそういう水準なわけでもないんでしょ?
 あと最近越して来て屋敷とか―― …は、別におかしい事じゃないのか。」

 お金持ちはどこへ行ってもお金持ちだ。船旅で路銀はすっかり寂しくなっており、屋敷へのお誘いは正直ありがたかったが、タダより怖いものは無いと首を振った。

ローザ > 少女はこの手の視線には慣れていた。
恐らく、警戒されている。
普段はあまり己の素性を曝け出すことはしないのだが、このままだと隠すと余計に警戒されてしまいそう。
能天気な顔を曝け出しているが、頭の中では多少は考えていた。

「あまり船に載った事ない人にはきついかもね。
僕が昔乗った時も海に向かって吐いてた人が居たね。」

こちらを視界に捉えた状態をキープする女性。
すっかり要注意人物になった少女は頬を掻いていた。

「ひょっとしなくても、僕のことを警戒しているよね?
僕はローザ。 お姉さんと同じちょっと変わった体質の人間だよ。
まあ、屋敷はこことは別の場所にあるんだけどね。
お姉さんに興味を持ったから色々お話ししてみたかったんだけど、お姉さんが僕のことを信用できないなら
僕はこのまま帰るよ。 襲われでもしたら怖いもんね。」

自分の異常さを多少なりとも自覚している少女はそれ以上無理強いもせず、隠すこともせず。
あけっぴろげに思っていることを口に出す。
相手が断るようなら、すんなりと離れるつもりではいるようだ。