2018/04/06 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にジルヴァラさんが現れました。
■ジルヴァラ > 夜闇の隙間をそっと縫うように、穏やかな潮騒だけが耳に届く。
高低差のある街並みの中、石造りの階段を上った先にある高台で、男は眼下に広がる海を眺めていた。
先ほどまでたまたま居合わせた知人と酒場で飲んでいたのだが、次第に管を巻き始めた相手に辟易し、適当な理由をつけて店を抜け出してきたところだ。
酒精を帯び、火照った体に冷えた夜風が心地いい。
水平線にぽかりと浮かぶ小さな光は誰かの船のものだろう。
闇の中を泳ぐように揺蕩う姿は、以前異国の地で見た蛍という虫に似ている気がする。
ぼんやりとそんなことを考えながら、男は色のない風景を瞳に映した。