2018/04/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にリタさんが現れました。
■リタ > 今日のお店は臨時休業。店員はこの場所で、たった今出航したばかりの船を見ていた。
夜間便であろうその船はさほど大きくなく、黒く深い海へその姿を消し去るのは容易だった。
黒に紛れあっという間に見えなくなった船。店員は欄干に乗り出し、目を凝らすが…その存在を捉える事が出来なかった。
大分暖かくなった強めの海風。それが店員の頬を擽り、乾かす。
■リタ > ゆっくりと閉じられた瞼が瞳を撫でた。押されて溢れるそれを、また海風が拭う。
――他人の心なんて解らない、だから店員は自分の内を伝えられる様に声にし、表現した。
それを重いと拒否するのならば…
「…私の心を知り尽くしているのか…私の心を知りたくないのか、どっちかだよね…」
恐らく後者なのだろう。前者ならば店員はこんな愚痴を発していない筈。
「はぁ…こーゆー事考えてる自分がヤになってきた…」
ずる、と鼻水をすする店員。
■リタ > ――悩んでいても仕方がない。さて、明日は何を作ろうか。
あの酔っ払いが好きなポトフでも用意しよう。ああ、そういえば白ワインが無くなっていたっけ。
そうだ、荒い桶の新しいのも買って扉のガラス掃除しないと。結構曇ってたから。
もうすぐ夜が明ける。そうすればまた忙しい日常が戻ってくる。
辛いけど、面倒だけど、…少なくとも泣かずに済む。
「――よし、がんばる。」
貧民区に存在するとあるバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めはポトフ、ザワークラウトと一般大衆向け。
そんな店に帰っていく店員。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からリタさんが去りました。