2018/03/31 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にジルヴァラさんが現れました。
ジルヴァラ > 夜の港町――それは船上での過酷な仕事を終えた男たちにとって、自身を讃え慰めるための唯一の拠り所と言えるだろう。
他国からやって来た侵略船を流儀に従って厚くもてなし、巻き上げた宝を土産に、銀の海賊団一行は酒場通を揚々と闊歩していた。
数十人の男たちの先頭を行くのは、当然ながら頭領のジルヴァラの役目になる。

「――よう。邪魔するぜ」

喧騒を引き連れたまま店の戸を開き、カウンターに立つ店主に向けて軽く手を上げる。
荒くれ者たちの突然の来訪に、先客たちは気まずそうに目を逸らすと、いそいそと立ち上がり店を出て行ってしまった。
面倒事に巻き込まれたくないのだろう。すれ違いざまに不満そうな溜息が聞こえたが、こんなことにはもう慣れっこだ。

ジルヴァラ > 「いつも悪いな」

カウンターに腰掛け店主に一言詫びると、店主は含みのある笑顔を浮かべ「その分、飲んでいってくださいよ」と言ってのけた。
この店の物怖じしないところが特に気に入っている。
注文するより先に次々に酒が運ばれ、ようやくテーブル席についた部下たち全員に行き渡ったのを確かめると、男は彼らの中央に立ち、ラム酒で満ちたジョッキを大きく掲げた。

「お前ら、今日はご苦労だった。
 わかってるだろうがハメを外しすぎて喧嘩するんじゃねえぞ。
 こんないい店潰したらただじゃおかねえからな! ――乾杯!」

男たちの笑い声と歓声とが湧き立ち、店内が活気にわっと揺らぐ。
あちこちでジョッキを触れ合わせる音、互いを労う声、店員の女をからかう声が飛び交って、頭領を務める男はようやく一仕事終えた心地で酒を煽るのだった。

ジルヴァラ > 誰かが呼びつけたのか、それともお宝の匂いを感じて駆け付けたのか、次に店の扉を開いたのは胸元の開いたドレスを身に纏った女たちだった。
街娼は無遠慮に部下らの膝の上に乗り、甘えた声で酌を始めている。

カウンターに座っていた男の首にもするりと細い両腕が回され、広い背中に女の豊満な胸が押し付けられる感触が伝った。
男は軽く笑うとその腕を静かに解き、蒼海を思わせる濃色の瞳を娼婦へと向けた。

「俺はいい。今はあいつらにサービスしてやってくれ」

女は不満そうだったが、解いた手に金貨の入った袋を乗せてやるとすぐに満面の笑みを浮かべ、礼の代わりに男の頬へ二、三度口づけを残して去っていった。
男は銀色の髪をかき上げ、現金な奴めと笑ってその背を見送る。

ジルヴァラ > その後も賑やかな宴は途絶えることなく、日が昇るまで続くのだった。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からジルヴァラさんが去りました。