2018/03/29 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にリタさんが現れました。
リタ > 夜間になると結構怖い港湾施設。今夜は曇っており、月明かりも星明りも殆どない。怖さに拍車を掛けている、そんな天気。
店員はその中にある浮桟橋の一つに居る。そして停泊している小型船を見つめていた。

「――いち…に…――さん…」

小型船には三人の見張らしき人影があった。恐らく鉄製の鎧、腰には剣らしきもの、辛うじてそれを確認できる距離。
恐らくキャビンの奥にはまだ居そうなのだが、店員にはそんな事は関係ない。あの三人を倒すのが今の店員の仕事だからだ。
今は船首に固まって談笑している三人。
店員はクロスボウのクォレルを2本、唇に挟むと、その中の一人が離れるのをじっと、じっと待つ。

リタ > ――1時間ほど経っただろうか。店員は未だ、微動だにせず船を見つめている。
とその時、内の一人が船尾へと歩き始めた。おそらく海へ向かって用を足す為なのだろう。残る二人のからかい声が聞こえる。
その一人が最船尾で歩みを止めるまで、全く動かなかった店員の指だけが動く。

空気を切り裂く小さな音が店員の耳元を掠め、離れていく。そしてそれは当然の様に最船尾の人物へ当たり、その姿を海の中へと消し去った。
店員は視線を船尾に向けたまま、橋の欄干にクロスボウのレバーを引っ掛ける。
そして足を欄干に乗せ、思い切りそれを蹴り出した。
ガリガリと何かが巻かれる摩擦音が終われば、いつの間にか店員の口に咥えられていたクォレルが1本減っている。
それは丁度、海に落ちた一人が発した水音に反応し、残りの二人が船尾に向かって走っている頃。
船尾を見据えている店員の視界の中にその二人が入り込む。

またもや空気を切り裂く音。ほぼ同時に鳴る摩擦音。船の上の人物が残り一人になる頃には、
もうすでに店員の視線はキャビンの入り口、その扉に向かっていた。

リタ > 残された一人は慌てふためき、声を上げながら船上を走る。
するとその時、海の中から数名の賊らしき人間が、その船へとロープをかけ昇り始めた。
大きな水音に依って見張りが減った事を察したのだろう、船を荒らし始めるそれら。

さて、その姿が再度店員の視界に入ってきた。思惑通り、応援を呼ぶ為にキャビンに戻ってきた残りの一人。
それは扉を開けようと歩みを止める。――当然の様にそれは開かれる事がなく、その一人はあっという間に力なく倒れこんでいた。

矢を撃ち終わり、フリーになった店員の唇が開かれる。

「…後はよろしく。」

どこに隠れていたのか、店員の後ろから数名の賊が湧き出して、小型船へと走っていく。
キャビンの扉は開かれぬまま、海と陸両方から攻め入る賊に制圧されてしまった小型船。
店員はそれを背にして、自分の店に戻っていった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からリタさんが去りました。