2017/12/30 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にイーリスさんが現れました。
イーリス > 冬の太陽はずいぶんと柔らかく、海はそれに照らされ、きらりきらりと眩く輝いている。
船着き場近くの倉庫群。
昼を過ぎた時間帯ということもあって、近くには酒場や食堂もあるし、賑やかで人通りも多かったが、
倉庫群の辺りまでくれば、人通りもすくなく、その喧噪も遠くに聞こえていた。
代わりに、海鳥たちの鳴く声や波の音、それに、どこからかおこぼれの魚を咥えてやってきた猫たちが、
倉庫の日陰で昼食の最中、と言った長閑な風景が広がっている。
倉庫群の一角にある空の酒樽が並ぶその一つに腰を下ろし、聊か長閑すぎる景色に息を吐く。

年の瀬となれば、客船も商船も、大海原を行ったり来たりの大賑わい。
それこそより取り見取り、海賊稼業は商売繁盛、大繁盛。
今頃配下の連中は方々で品々を捌いているだろうから、おかげで懐温かく年を越せるというもの。

船を出す夜までまだ少し時間があるから、彼らの帰りを待つ間、この倉庫群の日向で寛ぐのも悪くはない。
幸いにして辺りに人はいないが、足元には、昼食中の猫たちが数匹。
時に気まぐれな1匹が足元へとやってきて、その可愛らしい面を足首辺りに擦り付ける様に表情を綻ばせ、長閑な時間を過ごしている。

イーリス > 船にも猫を乗せてはいるが、おおよそ彼らの住処は船底近くの穀物庫。
そこで鼠退治の重要任務を仰せつかって、時に甲板で日向ぼっこをしている姿を見かけるが、
こうして足元で寛ぐ姿を見かけるのは、陸だからか、船だと寄ってきたためしがない。

それもあって、その動きやら毛色やらは、個体差がよく表れていて、暇つぶしに観察するのはなかなか面白い。
ただ、一様に日向に居るのは、この時期の快適な場所を知っている、というところだろう。

「………おい」

不意に、小さくも低く、鋭さのある声を発してしまったのは、足元で寛いでいた三毛の猫の動きを察してからだった。
しなやかな足取りでこちらへとやってきたと思えば、ちらと顔を上げてこちらを見る。
否、正確には、己の膝を、であろう。
そして、目測し終わったかのように、ぐ、とその小さな身体が僅かに縮まり、次の瞬間、バネが弾むように身体が伸び。
…―――案の定。

小さな前足のくにっとした肉球と僅かに伸ばした爪が腿に当たる感触のあと、
素知らぬ顔で、膝の上に座り、そのまま寛ぐように身を横たえては、
その前足の上に小さな顎先を乗せてしまう。

「………お前、ほかのヤツより利口なのかもしれんな。ヒトサマの脚の上は温かいだろう?」

ため息交じりなれど、日向の地面より膝の上のほうが幾分温かであろうし、
それを知ってか知らずか、厚顔無恥なこの三毛猫は図らずも特等席を手に入れたことになる。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にエズラさんが現れました。