2017/09/18 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にセレスさんが現れました。
■セレス > ―――――あら、あらあらあら、ぁ……。
(歓楽街の賑わいからは幾らか外れた、倉庫街の一角。
こつりと鋭い靴音を響かせて、深い切れ込みから惜しみ無くすらりと伸びた脚を覗かせ、
胸元でゆったり腕を組んだ黒いドレスの『女』は、カジノからずっと己を尾けてきたのだろう、
見るからに狂暴そうな男二人を前に、悠然と微笑んでみせた。
今日はやけにカードの出目が良かったから、こうなると予測はついていた。
だからこそ、宿でも無く乗合馬車の発着所でも無く、こうして、ひと気の無い所へと誘い出したのだ。)
全く……、大負けしたからと云って、無粋なことね。
そんなに恥ずかしかったの、女に無様に負けたことが。
でも、ねぇ、……今の貴方たちの遣り口の方が、正直、ずうっと恥ずかしくてよ?
■セレス > (勿論態となのだが、煽る物言いに簡単に引っかかって、男たちはますます気色ばむ。
対して、己の頭はどんどん冷えてゆく、というものだ。
カード遊びの最中に嗜んだ、酒精の甘い酩酊感など、とうに霧散しており)
まぁ、ねぇ、……分からないじゃ無いわよ。
どうせ、大して稼いでやしないんでしょう?
見るからに甲斐性、無さそうですものねぇ……揃いも揃って、
底辺のお仕事でも、足、引っ張り捲りなんじゃなくって?
(こてん、と容貌に似合わぬ子供じみた仕草で首を傾げれば、
正しく挑発されたのだと理解した男の一人が、此方へ手を伸ばしてきた。
組んだ腕の下へ隠し持っていた扇を取り出しながら、ぱちり、と広げる。
ひら、り―――男の鼻先で揺れる扇が、男にどんな幻影を見せたのか、
知る由も、興味も無いけれど。
―――――次の瞬間には、男は飛び掛かる勢いの儘、見事に転倒して蹲り。
仲間の男の方は、茫然と何処か中空を見つめていた。)
■セレス > ―――――要らないわ、お金なんて。
そもそも、賭けたがったのは貴方たちの方ですものねぇ。
(余りにも無様過ぎる、同じ男として、こんな無様は決して晒したくない。
盛大な溜め息を吐いて扇を閉ざすと、先刻、男たちから巻き上げたばかりの金が詰まった革袋を、
彼らの傍らへ無造作に投げ捨てた。
―――――此の儘戻るのは何とも味気無い、何処かで軽く飲み直してから帰ろうか。
そんなことを考えながら歩き出す己の頭に、彼らの存在はもう無かった。
コツコツと響く靴音も、数瞬後には倉庫街の暗がりに紛れて消え失せ―――――。)
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からセレスさんが去りました。