2016/09/14 のログ
エクシオ > 腕を組み、よっぽどひまなのか落ち着く様子なく何度も足踏みしたり持ち場を離れない程度にうろうろほっつき歩いては時間を潰す。

暗がりの中で、待つのが泥棒や悪漢ならまだしも、後を託すハズの同胞を時間が過ぎてなお待ち続ける男はだんだん退屈と苛立ちを増していく。

「……、腹…減ってきたな…」

腹を擦りながら、舌打ちしつつ周囲を見渡せば、誰もいない事をちゃっかり確認して、閉じた倉庫の扉をじっと眺め

「……寒いわ腹減ったわ交代来ないわでロクな事ねえな。…貰う金以上の働きしてんだから、ちょっとくらい罰は当たらんさきっと…」

そういうと、懐からゴソゴソと怪しげな道具を取り出し、しっかりと施錠された倉庫の扉と向かい合えば扉に対して何かし始める。

「倉庫ん中でちょいと食い物かじったり休む程度だからな」

立派な契約違反にあたる行為、むしろ自分が取り締まるべき存在に自分がなっている事を自覚していながらそんな事を口にしつつ、粘る事数分。

「お……結構難産……いやぁモノによっちゃ結構ムズイんだよなこれ…やべーぞ…」

開錠の技術はあれど、専門家の域には至らなかった故に手間取っていた。今ここにいる倉庫番は彼のみだが、……行動はどう見ても倉庫荒らしのそれである。

エクシオ > 奮闘する事数十分。こんなに頑張ってるのに来る筈の後任はやって来ない。潮風が、一人むなしく頑張る彼の背中を冷やすだけである。 

「オッケー、オッケー…もう少しで開き……。……へっくし!!」

『ぐにゃ…』

夜風に吹かれ、思わずくしゃみをした拍子に鍵穴へと突っ込んでいたピッキングツールが、出鱈目にひん曲がってしまう。ガーン!!! という音が聞こえてきそうな勢いで血の気を引かせ、白目を剥く男。

「……あ……」

ピッキングツールは、とてもじゃないがもうまともに使う事は出来ない。そして、その使用不能になったピッキングツールが突っ込まれたままの錠前も素人ではどうする事も出来なくなってしまった。


……しばし、沈黙する男。……はぁ~~~ と大きなため息をつけば……

「……だぁああああーーーーーーー!!!やってられっかぁーーーーーー!!!!」

半分理不尽で、半分自業自得ながら、男は今まで待ちぼうけを食らい続けたうっ憤と自滅による自棄から立派な錠前のついた扉をとんでもない脚力で構わず蹴破った。

「OK開錠完了だ…。……んじゃ休憩入りますわ。話が違うんだからちょいとばかし金目のもん貰ってってバックレてもお互いさまだよな??」

己が蹴破った扉はひしゃげていたが、倉庫内へ足を踏み入れれば力ずくで開く前と近い開き具合まで直す。

そうして、倉庫内の小さな明かりに照らされて見える大量の積荷の数々を見れば

「……おおぉ!すげぇ量…。…こいつら全部交易品か?もしくは保存食か?…こんだけありゃ1つや2つ無くなろうが関係ねえよな。へへ、早速物色と…」

本来の任を忘れ、物欲に目が眩んで倉庫内の積荷を物色し始める男。違約もいいところだが、契約通りの時間で交代をよこさぬあちらもあちらだと悪びれる様子は無い。

エクシオ > 「……さてと、こんだけ貰えばまあ十分だろ。しかし、とうとう来なかったな…交代。バックレたのは俺だけじゃなかったのか?」

目ぼしいものを一通り漁り、持て余さぬ程度に回収すれば今度は食料となるものを探し回り、一人きりの倉庫をしばし物色し続けた。

その後、いくらか時間が経過して海の向こうから太陽が顔を出す頃には、積荷が勝手に開けられた形跡を残して倉庫は無人になっていたとか。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からエクシオさんが去りました。