2016/06/05 のログ
リーユエ > 取り敢えず、贅沢は言わないから横になれれば良い。
どちらかと問われれば、小ぢんまりとしていた方が身の丈に合ってそうで気が楽になる。
そうはいっても、矢張り限界というものはあるのだけれども。
泊まれる宿が見付かる事を願い乍、船着場を後に…

けれども、それを妨げるかのように物陰から数人の人影が現れた。
明らかに道を塞ぐ場所に立っている。
曇っているせいか、人影が皆顔を覆う様なフードを被っているのもあって、顔も表情も全く分からない。
言葉も発しない、何がしたいのかは分からないけれど、素直に通してくれる様子も伺えなかった。

仕方が無いので立ち止まる。
相手が道を空けてくれる様に退いてくれるか、何か言葉を発するか、それを待とうと。

リーユエ > (…相も変わらずの、盗賊の類といった方々でしょうか?)

内心はそう思ってはいる、それでも、そうでない可能性も在るのだから言葉には出来ない。
この時間に船を下りたのは自分一人、他の客は居なかった。
もしかしたら、誰かが乗る予定だったのかもしれない。
その誰かを目的として、こうして居るのだと…そう在って欲しいけれども、そうも都合良くはいかないのだろう。
相手は何も言わない、此方も、掛ける言葉が見付からない。
短くも無いが、長くも無い沈黙が続いている。
自ずと、相手の方の動きに集中がいってしまう。

リーユエ > 此の侭では埒があかない、それは当然の考えだったかもしれない。
もう一度だけ小さく溜息を零すと、顔を上げて相手を見る。

「…申し訳在りませんが、道を空けて頂けませんか?
私に聞きたい事や伝えたい事が在るならば、仰って頂ければ良いのです。
そのどちらも出来ないと為れば…悪いのですが、少しばかり強引になろうとも、道を空けさせて頂きます」

そこまでを相手の方々に伝えれば、如何でしょう?と首を傾けてみせる。
これで動きが在れば良し、無くとも動く理由となる。
改めて、相手の方の動きを、発言を待って。

リーユエ > そこまで伝えた相手の方々の反応は…矢張り無言だった。
身動ぎもしない、まるで人形の様に道を塞ぎ佇んでいるだけにも見える。

これ以上は待てない、そう思えば、手にした鞄を道を塞ぐ方々の一人に投げ寄せる様に放った。
次いで、地面を蹴って一気に距離を詰める。
布地に覆われていようとも、その身体の形を隠し切る事は出来ない。
放り投げた鞄が投げ寄せた方へと届く前に、その首筋辺りに手刀を叩き込む。
…不思議と、そんな動きを見せている筈なのに、相手の方々は動かぬままだった。

(…如何して…?)

そんな考えが浮かんだのは、手刀を打ち込み気絶をさせた方々に対するものではなかった。
鞄を投げ寄せられたのにそれを受け取る素振りも見せず、鞄ごと倒れてしまったのを見たからだ。
訳が分からない。只その一言。
動きが無いのならばと、倒れた方の上に在った鞄を手に取り、一気に駆け抜ける。
追ってくる様子さえも全く見られない。
其の侭、船着場を離れていった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からリーユエさんが去りました。