2016/02/12 のログ
イニフィ > 船の行き来を眺めていたのだから、そこに沈みそうな船を見つけたら当然目をやる。
そして、そこから降りてきた一団を見て、そして興味がわいた。
鬼のような角を見る限り、ミレー族ではなさそうだし、かといってその他人間とも確実に違う。
明らかに人間ではないその人物でも、そこまで臆することはないけれども。

「そりゃね、これだけボロボロなら素人目にも沈みそうだって解るわよ。
舵がねえ、でも確か船って、竜骨とマストがあればとりあえず進むんでしょ?」

だとしたら、致命的な部分がまだ大丈夫だったと見るべきだろう。
応急処置で直されただけの船を眺めながら、周りの船と比較してみた。
重い荷物を持ってきたみたいだし、おそらくは輸送船だろう。
猟師の船とはおそらく一回りほど大きいのだろうけども、やっぱりかなり痛みが進んでいる。
これだけの船を造船するとしたら、時間も資金もかかりそうだ。

「あー、メイドさんなんだ?
そのメイドさんが、あんな男を連れて船旅……じゃないわね?」

明らかにさっきのはどこかから運んできたものだろう。
たるを見る限り、おそらく中身は醗酵酒。だとしたら売り物か、それとも。

ロト > この港に入る一寸前で既に浸水していた。沈みそうではなくほぼ沈みかけだった。
そりゃあ嵐に三回も遭遇しかけたら相当痛むし、普通の帆船と違って外洋向けではない。
応急の応急を重ねてやっとたどり着いたともいえる不屈の精神じゃないと長旅は出来ない。
角持ちだが 騎士団とか警邏に咎められたりもなく商売に勤しんで今に至る。

「正確には沈没寸前です、竜骨 痛んでますし、マストは…相当折れそうです。
この船 帆が一枚ですので、舵がある程度使えないと前後左右動く事も侭なりません。」

樽を積み込んだ和船の事を樽前廻船という。輸送船にしては防御力が相当欠落しており、
襲われれば確実に海賊に拿捕されると言うある意味単体で動くなと言われるレベルの船だ。
この大きさの船は中々ない。造船は待ってられないので 手段選ばずだったら帰還する方法は幾らでも。

「メイド長を致しております。
 メイド長の他に酒造の代表をしておりますので 船便で輸送を敢行しまして。
タダの船旅でしたら ガレオン船を選び優雅に楽しむと致しましょう?」

樽の中身は酒でしかない、その樽はもう この場にはない、先程運ばれていった。
樽の中身 気になるのでしょうか、何となく含みの部分が気になって首を小さく傾げよう。

イニフィ > 「うわぁ……、よくもまあそんな船で…。
逆にすごいわね、なんていうか……それが技術ってやつなのかしら?」

海賊に会ってしまったらそれこそ終わりだろうけど、まあ彼女は大丈夫だろう。
周りの男たちも只者ではなさそうだけれども、彼女がもっとすごそうだ。
クス、と笑みを浮かべながらローズティーで一服した。

「まあ、確かにね。今にも沈みそうな船に乗り込むなんてごめんだわ。
それに、私は結構船酔いするほうなの、だから乾いた大地のほうが似合ってるわよ」

巷では空旅を楽しむのもあるらしいが、あいにく空には興味はない。
やっぱり、風景を愉しみながらするのが旅行の醍醐味であろう。

そして、別に樽の中身が気になっているわけではない。
ただ、運ばれていった樽の色や形を見るに、酒樽だろうと推測したまでである。
第一、自分は酒を呑むといろいろと拙いのだ。

「私はお酒は苦手なの。…いろいろとね?」

ロト > 「そもそも外洋向きではないので 今回の航海は一寸冒険溢れた物でしたの。
技術かどうかは…技術にして置きますね。」

海賊?海賊如きで屈するそんな精神でもない、向かってくる困難ほぼ薙倒す、乗り越える 踏みつぶす蹴散らす。
人に化けた船員は一人一騎当千じみた事を仕出かすそんな荒くれどもだ。
…会話してて この可憐な女性 本当に 外見通りの人か?
ふと そう思ってしまったのは 何となくらしい。

「帰る手段は幾つかありますので 船は諦めて幾つか考えましてそれで帰ります。
船酔いですか、陸…馬車なりの旅でしたら 確実に陸地が続く限りゆっくりも出来ましょう?」

空旅…その手の乗り物 ある。あるが利用はあまりない。
ついでに言うのであれば 旅行の経験はあまりない。其れよりもやる事が多すぎてまともな休みが取れない。
メイド長に杜氏、そして領主 仕事は常に山積み。…旅よりもまずは休養がしたい。

「酒が苦手な方も顧客の中に居りますので ジュースも造っておりますが…超甘口の葡萄ジュースを
お子様やお酒が苦手な方々には喜ばれております、如何でしょうか、と。
そろそろ この場を辞しまして私も 税関の手続きを致しに参ろうかと思いますが」

出て来た地域とは国が違う、モノを持ち込む際には税関とかいう場所で手続きをしなければならない。
今頃だが 彼女に 場を暇乞いする事を発言をして伺う素振りを。

イニフィ > あいにくと、自分はそう簡単に正体を明かしてしまえるものではない。
そもそも、人間の世界にやってきてそうやって生活しているのだから、少々のことでばれたりはしない。
ただ―――押し隠せないものが唯一ある。それは「淫気」と呼ぶ魔力だ。
同じ魔族ならば、その力はどうしても感じ取れてしまうもの。
意図はしていないものの、ロトには香るだろう。彼女の「甘い香り」が。

「あ、帰る手段はいくつかあるんだったら安心ね、せっかくだしこの町でゆっくりしたら?
女の子なんだし、ゆっくりしないと皴になるわよ?」

この女、初対面だというのに遠慮がないのだ。
くすくすと笑いを零しながら、ぶどうジュースの件には「せっかくだし」と進められるままに。
甘いものは好きだ、だって女の子だから。
お仕事中だったらしい、お暇を提案するロトには軽く頷いた。

「あら、邪魔して悪かったわね。……あ、早々。」

だけれど、余計かもしれないが。
一言だけ、助言めいたものを残しておこう。

「…角くらい隠しなさいな、ここじゃ大丈夫だけどそういう人間もいるんだからね?」

んふ、と妖艶な笑みを浮かべながら。

ロト > 人の轍に紛れて暮らすより堂々といたほうが やって来る困難とそうでないものと
一気に解決出来ると早々に正体を明かす事を選択してしまった。
確かに一気に解決したが、こうもあっさりに終わるとは、と。大体あまり人の領域に居ないから
隠れていても問題はなかったが もうカミングアウトしてしまった。
…気のせいでも無かったらしい、淫魔と鬼のハーフだからか、どうも懐かしい気配がする、と。
その系統の魔族なのでは、と薄々思ったが口にはせず。

「暫く…過ごしてから…では 此方にご連絡を。ご連絡があり次第お届けに上がります。」

皺…外見もう成長も何もないのですが。ジュース云々は連絡があったら届ける手筈は既に出来る。
一応 輸送船の頂点は自分だ、手続きはその長がしないと不味いだろう。

「角…だけは隠せないのですが。まぁ争いは此方に来る分は 美味しく頂きます故。
お気遣いとご助言 に感謝を。 それでは ごきげんよう。」

ぱちくりと瞬きをしてから どことなく淫靡な笑みを浮かべてから 深々と淑女の礼をすると その場を辞してゆきます。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からロトさんが去りました。
イニフィ > 「ええ、えーっと……。」

ロトに差し出されたその紙に「イニフィ」と軽くサインをした。
連絡先に選んだのは今時分が利用している宿の部屋の一室。
もうすぐ別の町に行くつもりだったので、少し急いでくれると助かる。
そういう旨を書き込んでおいた。
皴に縁がないのは私も同じだけど、と隠す気があるのかないのか。
そんな言葉と笑みを浮かべて見せて。

「なるほど、貴女も”そっち”ってわけね。
んふ、お互い大変ね、降りかかる火の粉を払うのは。」

ごきげんようと軽く手を振り、妖艶な笑みを浮かべたロトに一礼。

「………ああいう暮らしも悪くはなさそうね。」

そんな一言は誰に向けたものか。
少しだけ、いつもの笑みを浮かべながらやどのほうへと足を運んでいくのだった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からイニフィさんが去りました。