2022/10/02 のログ
ミメシス > 月の満ち欠けと潮の満ち引き。
それがこの洞窟が現れる条件の一つ。
もうひとつは洞窟に棲む魔物の数の減少。
一定数を下回ると洞窟は獲物を招き入れるために姿を見せる。

そして、招き入れた犠牲者を洞窟に棲む魔物が襲い喰らい、そうして魔物を増やし、魔物が朽ちればその血肉が洞窟を満たす魔力となり、また一定の数まで魔物が減ると犠牲者を招き入れるために洞窟は口をあける。

その一連のサイクルはまるで生物が生きるのに必要なサイクルと何一つ変わらない、洞窟はまるで生きていると言わんばかりの行動を繰り返す。

今宵はその二つの条件が満たされ、セレネルの海の海岸線に洞窟の入り口は姿を見せている。

その中から潮風に潮の香りに混じり微かに腐った果実の香りに良く似た甘い香りが漂い広がり、近くを通るものを誘う。
アレもまたこの洞窟に巣くう魔物の1種、だから洞窟の行動を助力するように誘引に甘い香りを広げるのだった。

ミメシス > アレが微動だにしなくても、表皮から滲み溢れる粘液はとろりと糸を引き垂れて、つるりとした石の地面に落ちてぴちゃ…ぴちゃと音をたてて広がり小さな粘液溜りを大きなものへと徐々に変化させていく。

それは滑りやすく、潮の香りを上書するほどの甘い香りを放つようになるが、結局は潮満ちた時に全て流される運命にあり、アレが存在していた形跡は跡形も無く消えていく。

アレ自身はどうなったのか?
洞窟に流れ込んだ海水に圧され潰れたか洞窟の奥に流れいったか、それは次に洞窟を見つけたもののみ知る事に。

ただアレは此処だけに存在するわけではない。
無名遺跡にも自然地帯にも目撃情報はある。
今夜此処で犠牲者が出なかっただけで、どこかではまた新たな犠牲者が生まれているだろう。

波の音が聞える。
夜なのに海辺に舞う鳥の鳴声も……。

ご案内:「セレネルの海「洞窟」」からミメシスさんが去りました。