2022/09/16 のログ
ご案内:「セレネルの海」にマーシュさんが現れました。
マーシュ > 夜の海岸に、夜に溶けるような藍色の装束の裾を翻して訪う人陰。
月明かりに白く浮かび上がる頭布だけが朧に揺れるようにも見える。

砂浜というよりは岩場の、少しごつごつとした場所。
波打ち際からは離れている分、滑ったりはしない。
波の寄せては返す音、月明かりにうねる、暗い色。
少しべたつく潮風も、あまりなじみがなくて物珍しそうに。

流石にこんな場所を散歩する奇矯な人物はいないから、人の気配はしない。
ただ、ただ波の音が耳にこだまする。

背後を振り返ると、王都、王城の灯が煌くよう。
眩し気に目を細め、視線を転じて、手ごろな岩場に身を預けた。

「────」

つかの間、目を伏せ。
風に嬲られて、白布が背中に流れてゆく。

唇から零れるのは、読み熟した詩歌集の一節。
韻律を気にする風もない、ただ思うままに発するのはほかに誰もいないと思っている気安さから。

マーシュ > 「────」
風に混じって、女の声。
夜ということもあって海の魔女に間違えられそうだな、とは思うが。
主教の詩歌を紡ぐ海の魔女もいるのだろうかと埒もないことを考える。

暗誦できるほど慣れ親しんでいるのは修道女にとってはその詩歌集だけだ。

月明かりの下で読書というわけにもいかないだろう。
灯りを持ってくればよかったような、とも思うが、それはそれでつまらなくも思ってしまう。