2022/06/11 のログ
ご案内:「セレネルの海 浜」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > 夜。
静かに打ち寄せる波打ち際は、月光に白く光を返して寄せては黒く跡を残すことを繰り返している。
小さく動くのは蟹かヤドカリか、今は海鳥も見当たらず、潮騒だけが辺りを満たしている。

その浜辺をぽつねんと行く人影がひとつ。
時に足元を波に洗われ、時によろめきながら歩く、月光に照らされたその姿はずぶ濡れの女だ。
顔は忌々しげに歪んではいるが、酷くくたびれたふうでもある。

浜辺は長く続いて、女は当て所もなく歩いているように見える。
事実、当て所はなかった。

何処かで負傷して海に落ちたらしい。
女はヒトではない。
死ぬことは無かったが、打ち上げられた場所に覚えもなく、糧を得られる気配もない。

(…長い夜になりそうだ)

回復には随分かかるだろう。
もう2度と船旅が絡むことには関わらないようにしようと思い定めつつ、歩みを水際からすこし陸へ登った方へと移す。
どうにも、砂地と言うものは歩きづらい。水際ならば地面も固まっているであろうと思えば今度は波に足を攫われる。

心底からの溜息をついて、慣れない足取りで浜を辿って行く。
その姿は遠くから見れば只の遭難者か、或いは海辺を彷徨う幽鬼か妖そのものだ。

グァイ・シァ > やがて夜も明ける。
その頃にはヒトの気配ひとつくらいは追えるようになっているだろう。
かの方向へいけば、糧を得られる場所は己が手を下さずとも不思議とみつかる。

―――その晩、沿岸から彷徨う女の姿を見止めたものがあって
しばらくの間、一帯の漁師の間では幽鬼の噂でもちきりになったとか―――

ご案内:「セレネルの海 浜」からグァイ・シァさんが去りました。