2022/05/07 のログ
ご案内:「セレネルの海 定期連絡船内」にキキョウさんが現れました。
■キキョウ > ゆらゆらとセレネルの海の上を浮かぶ大きな船。
王都から出港したそれはオークションへ出品される希少な品から観光へ向かう要人、タナール砦への支援物資と言った様々な人と物を載せ、王都最大の港湾都市ダイラスへの航路を進んでいた。
キキョウは懇意の王族から積荷の護衛を任され、乗客の一人に混じり波に揺られている。
「暇ね、流石に……」
依頼に際して充てがわれた一人用の個室。そのベッドに腰掛けながら思わず愚痴が溢れる。
護衛を任された荷物の保管庫には予め結界を貼っており、異変があればすぐ知らせる様になっている。また、自ら以外にボディガードとしてこの船へと乗っているのは複数人おり、手練が常に監視していると周知されているこの船をわざわざ襲おうとする恐れ知らずの盗人は滅多にいなかった。
最初のうちは船内の見取図や監視に神経を尖らせていたキキョウも数日経てば流石に時間を持て余すようになっていた。
「甲板…は雨が降ってるわね…」
ならいっそラウンジバーやカジノコーナーに顔を出して見ようかなど考えながら、キキョウは個室から出てふらりと通路を歩いていく。
ご案内:「セレネルの海 定期連絡船内」にルヴィエラさんが現れました。
■ルヴィエラ > (――船、と言う物を使う事は滅多に無い。
けれど、全く無い訳ではない。 其れは気まぐれでの場合も在れば
何かしら、船で無ければならない理由がある時も在る
少なくとも今回は、ただ、前者でしか無い
のんびりとした船旅は、決して悪い物ではない。)
「――――――……。」
(ふらり、散策がてらに何処かへと出向いて居たのだろう
通路を歩み、宛がわれた自室へと戻る其の途中
きっと、偶々居合わせた一人の女と、すれ違う事と為ろうか
刹那、僅かに其の瞳が女へと向き――ふ、と微笑を象る
挨拶代わり、と思えば大した事は無い、ただ其れだけの事
されど、或いは女にならば――人ならざる者の気配が、気取れるやも知れぬ)。
■キキョウ > (目的も無くとりあえずラウンジへと歩を進めるキキョウが感じたのは僅かな“匂い”であった。嗅覚を封じる面頬越しでも伝わる微かなそれが妖魔、魔族の類のそれであることは長年の経験から感じ取る事が出来た)
「(結界への反応は無し――ただこれは…!)」
「ごめんなさい、ラウンジまでの行き方を教えて貰えないかしら?こういう船に慣れてなくて…」
(感じ取った違和感を深く探る為に自室へ戻ろうとする男性に咄嗟に話し掛ける。何度も乗り慣れた船故に何処に何があるかなど既に分かりきっているが敢えてマグメールに来たばかりの東洋人を演じてみせる
■ルヴィエラ > (其の儘、何事も無かったかに通り過ぎて行く…そんな後姿が、足を止める
掛けられた声に再び振り向けば、他でもない、自分に投げられた物だと確かめてから
僅かに首を傾け、また、先と変わらぬ微笑を向けた。)
「ラウンジかな? それなら、彼方だね。
言葉で説明するのは少しややこしいが…案内は必要かな、御婦人?」
(船の中、全く何も知らぬのであれば、言葉で説明されたとて難しかろう
方向だけ指し示せば、さり気無く案内を申し出る、が
――示された方向が、ラウンジとは全く異なる場所だと、船内に通じていれば直ぐ判ろうか
其の先に在るのは唯の空き部屋、宿泊客の居なかった客室が並ぶ場所
もし、相手がそれを望むのならば、エスコートと共に其方へと案内し始めるだろう
遠い訳でも無い、一つの扉の前まで誘うのは、とても船に乗り慣れた客の様に)。
■キキョウ > (悪意や邪さが感じられない微笑みを向けて男は検討違いな方向を指差す。平気で嘘を付いているにも係わらずそれを感じさせない表情や振る舞いは男の異常さをより掻き立てていた)
「そうね……せっかくのご縁、案内してもらえるかしら?」
張り付いた笑みを顔に浮かべそう言うとそのまま男の少し後ろを付いていく様に歩く。
2〜3区画程進んだ先、乗客のいない空室が続くその区画への扉を潜り、ゆっくりとその扉を締めた瞬間、キキョウは先を歩く男の背中に拳を構えた。
「……それでミスター、乗船理由を聞かせて貰えるかしら?」
■ルヴィエラ > (扉を開けば、ラウンジとは真逆、静寂に包まれた客室の光景
見ればそうと判る筈の其の区画の中に、けれど、先んじて歩みを進めれば
後ろで閉まる扉の音と共に、背後へと突き付けられた――これは、"警告"か、其れとも。)
「―――――……気楽な船旅を求めて、ではご納得頂けないかな?」
(後ろを振り向く事無く、先刻と、何ら変わらぬ声音の儘で言葉を返す
軽く両掌を掲げて見せるのは、一応は無抵抗を示す物であろう、が
其れが何の意味も持たない事は、きっと、拳を構えて居る女自身が良く感じ取れる筈
――動揺も恐れも、微塵も感じられぬ、目の前の男が
"判って居て"自らを、此処へと誘い込んだのだ、と。)
「ところで…、……こんなにも警戒されてしまうとは、意外も意外。
……何処かで、お会いしたことがあるかな、御婦人?」
(――そして、其れが紛う事無き、戯言である、事も。
肩越しに、僅か振り返って見せた口元は、何処か愉快そうに弧を描き
そして掌が、ゆっくりと被って居たシルクハットを外して――其の横顔を、晒すのだ)。
■キキョウ > (男の返答に対してキキョウは拳を引く事は無かった。微笑みながらだまし欺く事を行えるそれをその言葉だけで信用する事は出来無い、背筋に一筋の汗を掻きながら構えを解くことはなく。)
「……なるほど。じゃあこの船で何かを行うつもりは最初からないと」
(両手を上げたままゆっくりとシルクハットに手を掛け見せられた横顔はキキョウの記憶にある魔族とは違っていた。しかし、同時に目の前の男が平気で騙し、欺き人間を食い物にする事に何の躊躇もない存在で有ることは容易に感じ取ることが出来て)
「……ッ、私はあくまで依頼で船に乗っているだけ。貴方が本当に何もしないのであれば少なくともこの船でどうこうしようとは思ってないわ」
■ルヴィエラ > 「―――――……少なくとも、この船で。 ……ねぇ?
……では、私がこの船を降りたら、御婦人は如何する心算なのかな。」
(まるで、船を降りたら話は別だとでも言いたげではないか、と。
拳を突き付けられている側ながら、まるで言葉遊びを愉しむ様。
シルクハットは、片掌の上で、くるくると手遊びの様に揺れている
構えを解かぬままで、己が言葉が信用されている等とは思う筈も無く。
ならば、己の言葉を信用せぬ女の、その言葉もまた、信用には値せぬ。)
「―――……少なくとも、何もする心算は無かった。
本当に只の船旅で在ったよ。 ……今、この瞬間まではね。」
(――シルクハットが刹那、僅かな一瞬だけ、女の視界を遮る様に、ふわりと放られた。
反射的に、女が拳を突き出そうとしても、その時には既に、女へと振り向いて居る男の姿が
其の顔が、視界の端に見える筈だ
手が、伸ばされる。 指が、女の顎先を捉え、上向かせると共に
気配無く近づいた男の唇が、女の唇に重なり、奪い去るかに舌を絡めた、其の刹那
――感じ取れる筈だ。 女の、其の舌に未だ刻まれた儘の、呪いの刻印が
本来の引き鉄を経ずに、強引に――起動させられた、と)。
ご案内:「セレネルの海 定期連絡船内」からキキョウさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海 定期連絡船内」からルヴィエラさんが去りました。