2021/11/21 のログ
ご案内:「セレネルの海 海岸」にリヴェラさんが現れました。
リヴェラ > 月のない中に、波の音だけが響く夜。
ごつごつとした岩を連ねた岸辺から視線を落とせば
白く砕ける波に洗われる岩礁が見えるだろう。
とろりと闇を溶かしたような夜の中でなければ、の話だが。
そんな岩のひとつに、女は腰を下ろしていた。

潮を孕んだ冷たい風が、蒼みがかった白い髪の毛を揺らす。
薄紫のドレスが、外套が濡れるのも構わずに、緩やかに組んだ足は岩に触れ
靴を海の中に落としてしまった爪先が、波に削られ滑らかになった岩肌を撫でる。
そっと、海に向かって伸ばした指先から僅かに、一滴、二滴、滴り落ちる。
それは血か、あるいは海の水か。

「――――」

『a』とも『La』ともつかない声が唇から零れる。
薄っすらと、笑みを浮かべたような淡い唇。
奏でる声は、囁くようでありながら遠く、遠くにまで届く。
まるで子守唄のようで、葬送の調べで盛るかのような。
静かな静かな歌声。誰も知らない言葉で、聞き覚えがあるようなないようなそれ。
まるで、誰かに、何かに届けるように奏でて。

リヴェラ > 子守唄は柔らかく
葬送曲は静かに
波の音にも似て、けれど波の音には混じらずに響いて、響いて
―――そして、消える。

ゆるりと、手指が握り締められる。
ゆるく握ったそこからまた、滴るものが一滴だけ。

「ああ、今夜も良い夜ですね。」

滑らかな声音が、娘の唇を割って零れ落ちて
そして立ち上がる姿が、夜の中へと消えていく――。

ご案内:「セレネルの海 海岸」からリヴェラさんが去りました。