2021/11/04 のログ
ご案内:「セレネルの海 海辺」にリヴェラさんが現れました。
リヴェラ > 白く、静かな砂浜に、冷たい秋の風が吹く夜だった。
真夜中の月明かりに浮かぶ海は、黒く、深く見えることだろう。
波の音以外が消え失せた静かな、静かな場所。
真っ新な砂浜に点々と刻まれた小さな足跡だけが何者かの存在を物語る。
それを追いかけていけば、波打ち際に佇む姿が見えるだろう。

月明かりを映す白い髪を片手で抑え
夜の海を思わせるような蒼い瞳は海の向こう側に向けられる。
柔らかな表情を浮かべる唇が綻べば、そっと――声が紡がれる。

「――――」

“La”とも“a”とも聞こえる声。
囁くように、けれども澄んだ声音が秋風に混じって散る。
単音は、すぐに旋律へと代わり、やがて歌を形作るだろう。

静かな、静かな曲だ。
曲を奏でる音は、あらゆる楽譜とも異なり
歌詞を紡ぐ詞は、いかなる言葉とも似ていない。
即興で出鱈目に歌っているようにも似て
あるいは永く永く受け継がれたものにも似ている。

ただ、柔らかく透き通る声が奏でる。
もしかしたらそれは、讃美歌に似ているかも知れなかった。