2021/10/07 のログ
■クレイグ > 陸の方から誰かの来る足音がし…少しして現れるのは中年の冒険者風の男。
少女よりかなり大きな体に肩幅もあり、気楽に歩いているように見えて、周りに気を配っている様子も見られる。
硬皮鎧に、腰にメイス、肩に竿を引っ掻けて近づいてくる。
「こんばんは、と…つれてるかい?」
そんな言葉を掛けて、少女の近くにあるタライに視線を送る。
本人は近くで釣っていたのか、腰につけた魚籠に、数匹の釣果が入っている様子。
タライの中を確認したあとは、苦笑し竿の先に視線を送る。
■タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れる。
その足音を聞き取り、反応したのだ。
正確に、こちらへと近付いて来る足音、それに対し、軽く関心を抱く。
なにせ、灯りがない月明かりだけで、己を判断したのだ、なかなかのものだろう。
「ふむ、おばんじゃな。
釣れておるかどうか、そう問われれば、難しいところじゃのぅ。
なにせ、まだ釣り始めたばかりじゃ。」
ちらり、そんな相手へと視線を向け、そう答え。
軽く、その手に握る釣竿を、挨拶代わりに振ってみせた。
まぁ、灯りがなくとも、月明かり程度でも、近くでみれば分かるだろう。
異国風と言える着物姿、狐を模した耳と、複数と尻尾。
明らかに、人ではないもの、どちらかと言えば、知識としてミレー族が近く見える事だろう。
■クレイグ > 近づいて、その姿を確認して、少し驚くがそれ自体は耳と尻尾に驚いた程度で。
見慣れない服装だなと思いつつ。
「始めたばかりか、それじゃ最終結果は判らないな
しかし、こんな時間に一人夜釣りとは、しゃれてるな」
そういいながら、隣に来て。
「少し失礼」
そういって、近くに座る。
声は届くし顔も見えるが、一応男が手を伸ばしても届かない程度の距離感で。
男なりに気を使ったのだろう、本人の倍近い体重を持つような相手が手の届く位置に座れば怖がるだろう、と。
■タマモ > 見える瞳の先で、驚く表情を浮かべる相手に、くすりと笑う。
初見ならではの反応は、見て楽しいものがあるのだ。
「うむ、その通り。
その結果が良きものも、悪きものも、その時の次第と言うものじゃ。
ふふんっ、そうじゃろう?」
男の言葉に、無駄に胸を張りながら答え。
「…うん?
構わん構わん、この場所が、妾のもの、と言う訳でもないしのぅ?」
と、ひらひらと、手を振りながら、近くに座る男へと伝えるも。
その行為が、怖がらせない為の気遣いから来るもの、とは実は気付いてなかった。
今は釣りをしている、近過ぎては糸が絡まる時があるからだ。
もっとも、隣に座られようと、怖がるような少女ではないのだが。
■クレイグ > 胸を張るのを見ながら、微苦笑しつつ、癖なのか少女を観察する。
ぱっと見た感じではミレー族に見えるが、あの種族は尻尾が複数とかはなかった気がする。
魔力、そもそも他人の魔力なんぞ判らない、自分の魔力は外に出せない体質だと昔馴染みに聞いたが。
体格は小柄だが、肉付きは普通か…釣り中なので動きが少なすぎてそれ以上判別不能と、結論付け。
「ま、釣果が運に左右されるのは確かだな…あとは魚がすれてなければいいんだが
あんまり、見せつけるようにすると気になるのが男だから気を付けろよ」
釣りに関しては運もだが、魚がすれていると餌だけ取られるとかざらだからと思いつつ。
胸を張る動きには苦笑しながら、少し注意して。
「んでは、失礼して、と」
少し離れた位置に竿を振る。
「所で、あんま見ない服装だが、旅の途中で?」
竿を持ちながら。そんなことを聞いてくる。
■タマモ > 男からの視線は感じるが、それを気にする事はない。
己を知れば、そうなる事は当然と、理解出来ているからだ。
どこに行こうと、初めての場所では、こんなもの。
「あぁ…大層なものなんぞ、使っておらん。
その点は、大丈夫じゃろう」
ひょい、と釣竿を引き上げる。
その先にあるのは、何ら細工もない、ただの釣針、そして餌に何かの虫。
それを見れば、まともに釣ろうとしていない、と分かるだろう。
釣れればめっけもの、とも言えよう、そんなものだった。
と、離れて座り、竿を振る男。
振られる問いに、軽く思案すれば。
「あー…まぁ、あれじゃ、シェンヤン?とやらの、服装っぽいようじゃのぅ?
ちなみに、妾は王都から、軽く釣りに来ただけじゃ。
散歩とかはしておるが、旅までは、しておらんなぁ」
再び釣り糸を投げ入れれば、そう返すのだが。
何とも、はっきりとしない物言い。
自覚はしているが、正しく答えるのは、面倒なのだ。
■クレイグ > 「なるほどな、釣りというよりは状況を楽しんでいるとか、そういう感じか」
針先と餌を見て頷き、何やら納得。
「あっちの方か、それで見ない感じの服装だったか
そこら辺は俺と同じ感じか、俺も王都から暇で釣りに来た感じだからな」
まぁ、その少女の恰好に目が行くのは男として当たり前というか、礼儀というかなどと内心ごまかしながら。
あまり視線の先を隠そうとはしない、隠しても女性にはばれるし隠した方が嫌がる相手の方が多いからという経験から。
「ま、結果としては、釣りに来てよかった感じかね、目の保養ができたし
他の保養もできるともっとうれしいけどな」
等と、冗談めかして言ってくる。
■タマモ > 「いやいや、釣りは釣りとしても、楽しんでおるぞ?
その状況としてもまた、楽しんでおる、と言うだけじゃ」
何事も、楽しみをもって挑む。
まぁ、つまらない事だったら、そもそもやってはいないのだが。
己の言葉に、うむ、と頷きながら。
「まぁ、ここにあるは、シェンヤンのみにあらず。
他の国もあれば、他の文化もある。
もしかしたら、どこぞの地にも、似たようなものがあるやもしれんがのぅ?」
ちなみに、少女がここに来て最初に居た地は、今は占領されたティルヒア。
シェンヤンは、と言うと、実は軽る寄っただけで、そこまで滞在した事がない、と言う。
とりあえず、服装に関しては近いものがあったらか、使っているだけで。
実際にシェンヤンの事を細かく聞かれたら、答えられない、と言うオチが待っていた。
「目の保養…目の保養、とな?
はて、そこまでのものを、見ておるとは思えんが…
ともあれ、初見の、出会うたばかりの女子に、何を言っておる?ん?」
男の言葉に、軽く思案する素振り。
己の目の保養と言うと、ただ見るだけよりも…なんて事を、考えてしまう訳だが。
まぁ、そこはあえて言葉にはしないでおこう。
そんな冗談に、はーっ…と、わざとらしい深い溜息を吐いてから。
首を傾げ、こう、小突くように言葉を投げる。
もっとも、本気で返している訳でもない、と言うのは、何となしに分かるようにだが。
■クレイグ > 「なるほどな…ま、無為に時間を潰すよりは釣りでもしてる方が建設的だしな」
釣りも楽しんでいるという言葉に軽くうなずきながら、竿を引き上げる。
どうやら餌を持っていかれたらしく、腰にある魚籠から小海老の様な物を付けなおして放る。
「そうだな、おれも色んな所にいってたが。
その国ごとで戦い方やら、重要視される兵科が違ったりしたしな」
少女の言葉に文化?なのか、なぜか戦闘、戦争関係で答えつつ。
とはいえ、こちらも何処と何処が険悪化などは知っていても文化などは知らない訳で。
「ははは、すまんすまん、酔っ払いの戯言だとでも思ってくれ」
そういいながら腰につけている水袋の片方を放る。
「まだ口付けて無い方だから、詫びだと思ってくれ」
残ったもう一個の水袋をあおれば、漏れるのは酒精の匂い。
放り投げられたものも酒なのだろう。
どうやら、夜釣りをしながら飲んでもいた様子。
■タマモ > 「無為も、そのありようによって、ともあるがな?
世の中には、ぼーっとしておるだけでも、と言う者も居るからのぅ」
釣竿を、再び軽く揺らしながら。
何かを思い出すように、そう返して。
「戦い方、とな?
確かに、お国柄によって、そうしたものの違いもあるんじゃろう。
まぁ、どこでも合わせられるのが、一番なんじゃろうが…難しい話じゃ。
………あ、妾は合わせんぞ、面倒臭い」
何事においても、その場に適したものを選択する。
どこに居ても、安定したのは、やはりそれなのだが。
そこまで言っておきながら、己の事となると、きっぱりとそれを否定するのだった。
しかも、理由も理由である。
「まぁ、そう思う気持ちは、分からんでもないがな?
おっと…ふむ、ありがたく頂こう」
とも言いながらも、その理解は示しつつ。
放られる水袋を受け取り、すんすんっ、と匂いを嗅ぐ。
…うん、酒だ。
それが分かれば、遠慮無しに、ぐいっ、と呷るのだった。
月明かりの下、静かに釣りをしながら頂く酒、と言うのも悪くは無い。
■クレイグ > 「俺なんかは、ぼーっとしてるのは苦手だからな。
その時間で、何かしらしてた方が落ち着く」
時間を見つけては装備の手入れや、小物の買いだし、釣りなんかもと言いながら。
「傭兵団の頃は合わせなかったというか、団でうごいてるから自分の役割だけこなせばよかった」
腰の裏に付けた革袋から、葉に包まれた干物の様な物を取り出して。
ぴっと半分に裂いて、片方をまた放る…どうやら、イカの干物の様子。
「つまみにでもしてくれ…団が解散してからは求められる役割が変わるときもあったからな。
ま、団にいる間に戦場で使われる武器は一通り使えるようになってたんであんまり困らなかったが」
そもそも少女は傭兵でもなさそうだし、それで問題はないのだろうと頷き。
「仕事柄戦いとは避けられなくてな、戦うと色んな意味で乾くから潤いが欲しくなる。
ある意味で、職業病なのかね」
くっくと喉奥で笑いながら、ひらひらと無駄に手を振る。
生存本能が刺激されて、繁殖欲求が出る、ある意味で自然の摂理の一部で。
その為に冒険者や傭兵が多い場所には娼館なども増える事が多いとか。
そんな事を昔馴染みの理屈屋に聞いたとか言っていたり。
■タマモ > 「あー…まぁ、妾もそう得意ではないのぅ。
その時も気分、と言うのもあるが。
………と、言うか、釣りもそれに近いもの。
そう思うのは、妾の気のせいか?」
会話を続けながら、ふと、思う事を呟いた。
釣りも、どちらかと言えば、ぼーっとしている時間が長そうだ、と思ったからだ。
まぁ、ぽんぽんと釣れてしまえるなら、そうでもないかもしれないが。
そんな事、簡単にいかないものだ、多分。
「………ふむ」
男の言葉を聞き、思案し続けながら。
それでも、放られる干し物を、はしっ、と受け取り。
酒の肴に、あむ、と一口、そして水袋に口を付ける。
「まぁ、あれじゃ…そんな職、就いた事もないから、よぅ分からんが?
何かしら、役に立っておるならば、それで良かろう。
しかし、戦いなぁ…妾としては、戦いの場において、面白い相手とも会う事はそうないし。
何とも言い難い、と言うものじゃのぅ。
…まぁ、どんな時であれ、潤いが欲しいのは、分かるぞ?うん」
男の言っている、そのものの意味では受け取ってないが。
それに近いものは、やはり共感はするものだ。
うんうんと頷き、娼館がどうこうの道理は、よく分かってないか、かくん?と首をまた傾げるのだった。
■クレイグ > 「釣りは釣りで、気にしながら気にしないっていう高度な作業だったりするからな」
気にしすぎれば竿や針に余計な動きが出て魚に気づかれ。
気にしなさ過ぎれば、寝落ちも在りうる。
そもそも、船釣りと違って海岸からの釣りは、一種の狩りなのではないかとまでのたまう始末。
それも結局は、暇つぶしの一言になるのだと気付かづに。
「そうだな、生活の糧にはなってるわけだし、それでいいか。
ちなみに、ある程度強い相手なら楽しいと思う時もあるんだが。
たまにいる、明らかに人の手に余るレベルのは戦いたいとも思わないしな」
そもそも普通の人よりも戦いに掛けている時間は長いが、おかしな才能や天凛があるでもない。
ただ長く生き残る為に強くなって来た訳で。
「ま、お嬢さんには、あんまりというか、基本関係ないか」
娼館関係で首を傾げられて苦笑を返し。
そりゃ、そういう場所を使わないな、と納得。
■タマモ > 「人によっては、そうあるじゃろうがな。
妾は、そんな深く考えたりはせん。
釣れるか釣れぬか、その経過を、結果を、楽しむだけじゃ」
それゆえに、少女がこれと決めた時は、それにしか集中しない。
まぁ、そこに何か、変化があったならば…それに惹かれるかもしれないのが、少女であるが。
だからか、そうした考え方は、持ち合わせていないのだが。
それはまた、少女だからこそ、と言うものである。
「ほどほどならば、か…まぁ、それはあるやもな。
手に余るならば…ふむ、それはそれで、面白いやもしれん」
男の言葉に、やはり賛同すべき点もあるが。
そこは少女であるか、一部、違えた回答が男へと返される。
勝つ事も、そして…負ける事も、少女にとっては、先に何があるかと、楽しみに考えられるのだ。
その高い実力あって、のものだろうが。
「………さて?」
それ自体には、確かに関係を持つ事はないが。
それ同等か、それ以上か…そんな行為にも、愉しみを見出せる。
きっと、男はそれを今は想像出来ないだろうが。
少女は、また誤魔化すように答えるのだった。
■クレイグ > 「なるほど、要するに思考がシンプルなのか」
何かに納得したのか、頷きながら。
ひょいと竿を上げると、びちびちと跳ねる小魚が一匹、針に食いついており。
「おや、気づかなかったが、針に気をやって無かった分魚も気づかなかったかね」
それを魚籠にしまい込み。
「そこは考えの違いかね、俺は使命やらがあるような立場でもないからな、ただ。
その先にどうしても欲しい物があるなら、出来る限りの準備をして挑むのはありかもな。
ん…あぁ、傭兵になったばかりの頃はあったな、だから生き急いでたのか」
言っていて思い出したのか、左手の甲を見つめる。
戦場で焼けた肌にそこだけ大きくついている×の傷跡、その下にはかつて奴隷だったことを示す紋様。
「ま、何かごまかされてるような気もするが、それも一興かね」
不思議な少女の気配に苦笑を返す。
「ちょっとした質問なんだが、お前さんて…どっちかというと試練与える側なのか?」
と、ふとそんな質問が口を突く。
■タマモ > 「言ってしまえば、そうやもしれんな、うむ」
男の納得の言葉に、賛同の頷きを示しつつも。
隣で釣れる男を横目に、少女は今だ、釣り糸を垂らしたままで。
それでも、釣れぬ事を、特に気にした様子はなく。
「欲しい物がある時か、確かに、ここぞと言う時には、そうした思いは必要じゃろう。
それに関しては、まぁ、妾にもあるからのぅ。
若気の至り、と言うのは、誰にでもあるもの、それを気にする事もない。
…あー…たまに、そんなものを感じさせぬ者も居るが、それはそれじゃ」
求める時、求めぬ時、やはりその違いは大きい。
その言葉に、己が納得しつつ、それに少々例外を出すも。
そこまで考えても仕方無い、と締め括る。
「………試練?
いやいや、妾は自由気侭、好きに生きておるだけじゃ。
何をもって試練とするか、ともあるが…面倒事は、する気もないぞ?
あー…その先に、愉しみが待っておるならば、別じゃがな!」
やろうと思い、出来ない事でもない。
だが、性格上で、そうした事を好んでやろうとはしない。
とりあえず、ないない、と手を振りながらも、そう答えてはおくのだが。
と、気が付いたように、ひょい、と釣竿を引いてみれば。
…うん、餌がない、食われたようだ。
さて、次にゆくか、ここで終えるか…釣針を引き寄せ、手にしながら、そう考える少女であった。
■クレイグ > 「シンプルなのが一番ともいうし、それでいいのかもな」
ぐいっと水袋を煽り、中身がなくなったのか、最後まで逆さにしてから、栓をして腰に戻す。
「ははは…若いころは結構無茶してたからな、今考えるとやばい場面がいくつもあった。
とはいえ、結局生き残ったしな、お前さんが言う通り気にしないでおくさ」
ふと他の傭兵が昔言っていた事を思い出す。
「生きてるだけでぼろ儲け、か…確かに真理なのかね、それも。
少なくとも俺は、例外になれるような精神構造してないしな」
くっくと喉奥で笑いながら。
「自由気侭か、それもいいな。
羨ましいし、楽しそうではある。
不便もありそうだが…さて、どうする?」
針を引き寄せて、考える様子をみて移動するのか、と訪ねてくる。
■タマモ > 「あぁ、そう言えば、そのような言葉もあったのぅ。
うむ、まさにそれなのじゃ」
もぐもぐと、時折、今だ噛んでいた干し物を、こくん、飲み込んで。
ぐいっ、と残った酒で流し込む。
そのまま、ぽいっ、と空になった水袋を投げ返し。
「生きておれば、何でも出来る。
…あ、いや、さすがに限界はあるじゃろうがな。
それでも、やろうとする事は、な?
自由に出来るのも、それは含まれておる。
っと…そうじゃな、そろそろ戻るとするか。
帰路には、一人よりは二人じゃろうて。
お主も行くか?王都から、来ていたと、言っておったしのぅ」
ぽんっ、と手元の釣竿を消し。
タライを手に、えいやっ、とタライを引っ繰り返し、ざばーっ、と魚を逃がせば。
よいせ、と立ち上がり、答えるついでに、そう誘う。
それに賛同するも、別でどこかに行くも、それは男次第。
とりあえず、二人共、この場を後にする事だろう。
■クレイグ > 「それじゃ、一緒に帰らせてもらうかね」
竿を肩に担ぎ立ち上がり。
「死んだらそこまでだからな、生きてるだけで儲けてる、確かにそうだ」
そういって、少女の後ろを歩く。
どうせ同じ方向なら、軽く会話でもしながら帰ったほうが暇ではないし。
此方としても男として嬉しい物だし、そんな風に考えながら。
ご案内:「セレネルの海」からタマモさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」からクレイグさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」にグレイスさんが現れました。
■グレイス > 王国にとってセレネルの海とは交通の要である。
王都マグ・メールから王国東部まで、
船を使えば陸路を使うよりもより速く、より大量に物が運べる。
ゆえにこの海には毎日のように交易船が行き交っている。
当然、王国政府もこの航路を使う。
国家の要人、軍の部隊、国庫の財産などを王都より送り出し、
ダイラスで荷下ろししアスピダやタナールへ。あるいはその逆。
無論、そんな任務に民間船を使う訳にはいかない。
そこでそのような輸送には海軍の艦艇が使われていた。
今、グレイスの指揮するフリゲート艦も、そのような任務で大海原にいる。
「ここまで来れば、しばらくは暇よね」
望遠鏡を覗きながら、女艦長はつぶやく。そして当直以外に休むように伝えた。
周りは見渡す限りの大海原。快晴で風も申し分ない。
陸から大分離れてしまえば、海賊や海の魔物の危険も少ないだろう。
勿論、ゼロではないだろうが…。
「さて、お客様の様子は…」
女艦長は船内を振り向く。王都からの客人達は、軍艦での旅を楽しんでいるだろうか?