2021/09/27 のログ
ご案内:「セレネルの海」にダリルさんが現れました。
■ダリル > 雲間から滲むような月明かりが、静かな浜辺を青白く照らす夜。
海風に晒され、ぐっと気温の低くなった夜更けの浜辺に、
ぐったりと四肢を投げ出し、俯せに倒れ伏す人影があった。
腰巻、と呼ぶのも憚られる、襤褸布を腰に巻きつけただけで、
髪も肌もずぶ濡れの――――――これが妙齢の女性であったなら、
朝を待たずに拾われて、ついでにアレコレ使われそうである。
しかし、残念ながら、倒れているのは痩せた少年だった。
意識はないが、息はしているようである。
だが、繰り返し言うけれども、少女ではなく少年である。
奇跡的な確率で、特殊な性癖の持ち主でも通りかからない限り、
朝が来るまで転がっていて、風邪を引くのが関の山のような光景だった。
■ダリル > 真夏ではないから、夜が深まるほど肌寒さは募る。
けれど幸いにして、この少年は雑草の如き、下々の生まれ育ちだった。
そんなわけで、たとえば数時間後、
夜明けの砂浜で、盛大なくしゃみを連発しながら目覚める羽目に陥ったとしても。
とりあえずは、多分、恐らく――――――挫けることなく起き上がって、
王都を目指し、歩き出すことになるのだろう。
その前に服、どこかでかっぱらわねぇと。
―――――そんな呟きが、風に紛れて零れたとか――――――――。
ご案内:「セレネルの海」からダリルさんが去りました。