2021/08/14 のログ
ご案内:「セレネルの海 浜辺」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 水平線に触れていた太陽が最後の光を波間に散らして、名残は赤く空だけに残っている。
湿気を含んだ風はまだ暖かいが、逆巻くものには少し冷たいものも混じる。

夏本番の浜辺は昼間はそれはそれは賑わって居たが、暮れてくればそれこそ波が引くように居なくなっていった。
そうしてすっかり暮れた今、砂浜に影を落としているのは一人の女。
砂地に足を投げ出して座って、ややぼんやりとした瞳で水平線を眺めている。

「哎(あー)……」

山育ちで海が珍しいので、近くに来るとついつい遊んでしまう。
水着は持っていないので泳がない(というか、泳げない)が
岩場を伝ってどれだけ沖の方まで行けるか
とか
吹き溜まりになっている所のイソギンチャクをしばらく眺めて居たり
とか
砂地を端から端まで走ってどれくらい早くなれるか
とか。
あとは子供たちに混じってフラッグレースもした(流石に手加減した)。大人にとってはよい子供の遊び相手と化していたかもしれない。

此処辺りは王都から少し遠い。
そろそろ自分も帰った方が良いのだろうが、段々と黒くなっていく景色は潮風に頬を撫でられながらぼんやり眺めるには最適で
急ぐ用事がある訳でも無し、細いツリ目がやや下がって見えるくらいにとろんとした表情で、女は水平線の辺りを眺めていた。

ホアジャオ > やがてとっぷり日も暮れて、存在の薄かった月が煌々と夜空で光り出す。
その白い影に黒く鳥が過ぎるのをまたぼんやりと見上げて、女の赤い唇がにまあ、と弧を描いた。

美味しそう、と思った訳ではなく、良い日だったなと。

(喧嘩は無かったケド)

その気になれば、今から王都に戻って酒場で適当に見つかるかもしれない。
ざああ、と穏やかに打ち寄せる波がゆらゆらと月光を弾いているのを見ながら立ち上がって、爪先だって全身に伸びをくれる。

「ン―…」

おしりがちょっと痛い。
次に膝と足首と、順繰りに軽く柔軟をして
ぱっと海に背を向けて王都の方へと踵を返すと、軽い足音が浜辺から、更に陸へと

ご案内:「セレネルの海 浜辺」からホアジャオさんが去りました。