2021/07/03 のログ
ご案内:「セレネルの海/定期船」にエウロペさんが現れました。
エウロペ > セレネルの海にて、諸外国との間を航行する定期船。
長い船旅の後にようやくマグメール王国領内に入った船だが、まだまだ目的地の港までには時間が掛かる。
そんな船の甲板にてまだ見えない陸地の方を眺めながら女が一人潮風を浴びてゆったりしている。

「あっちは涼しかったけど…こっちはやっぱり暑いなぁ」

気候の穏やかな外国を漫遊していたらしい女は、この時期特有の蒸し暑さに苦笑いしつつ、少しでも涼もうと風を浴びている。
旅行客や商人、冒険者や兵士など、様々な人々の乗り込むこの船では、同じように甲板に出ている人も少なくない。

ご案内:「セレネルの海/定期船」にエズラさんが現れました。
エズラ > 同じく、所用で定期船に乗り込んでいた男が、客室から甲板に姿を現す。
吹き抜ける潮風を浴びて伸びをすると、深呼吸――

「~~、ハァァァ……――」

貨物船に護衛の傭兵として乗り込み、港で積み卸し作業にも従事。
そこでまとめて賃金を与えられ、今は帰路、というわけであった。

「今回は長旅だったぜ……おお?」

ふと、見覚えのある後ろ姿に気付いて、傍へ歩み寄る――

「もしかして――エウロペか?」

エウロペ > もちろんこれだけの長旅だ、航海中にモノ好きな乗客に声を掛けられることもそれなりにあり…
なので唐突に声を掛けられても普段通りに変わらず、ゆっくりと顔を剥ける。

「あら、エズラじゃないの…一緒だったなんて気づかなかった」

今までと変わらない笑顔を向けながら、ずっと今まで同じ船に乗っていたのに気づかなかったことを可笑しそうに笑う。

エズラ > こちらを振り向いた相手の笑顔を見て、男もつられて笑みを浮かべる。
前に会ってから随分と経っているが、優しく温かな雰囲気は相変わらずだ。

「こっちも驚いたぜ――仕事の帰りだったんだがよ」

この船に乗ることになった経緯を簡単に話しながら、隣に並ぶ。

「しばらくぶりだが、どうしてたんだ――」

彼女とは因縁浅からぬ仲であったが、しかしよくよく思えばその素性については知らない部分の方が圧倒的に多かった。
しかし「知っている部分」に関しては……不意にムフフ、と、男もいつもの助平心を隠そうともしない笑みを浮かべるのである。

エウロペ > 「あなたもいろんな仕事してるのね」

仕事で船に乗っていたという彼。
傭兵とか冒険者だと思っているので、そんな彼が遠い外国行きの定期船にまで乗せられてしまうのかと考えると、大変そうだ。

「うーん…ふふ、ヒミツ?」

どうしてたかという質問に対し、女は少し考える仕草をしてからいたずらっぽい笑みを浮かべてそう返す。
何か意味を含んでのことか、それともただ単に話すほどのこともないのか、本人のみぞ知るところ。
いつものすけべそうな顔になる彼を見ては、笑顔のまま眉をぴくりと動かす。

「ここで手を出したら叫んじゃう…かも?」

エズラ > にゅ、と相手の腰に腕を伸ばそうとしていた男が、ぴたりと動きを止めて両手を挙げる。

「おおっと……そりゃーこええ」

優しくおおらかでいて、厳しいところもある。
きっと誰も彼も、彼女の前に来ると、その「母性」に逆らえないのだ。

「じゃ……ここじゃなきゃ、いいのか?」

むっふっふ、と笑みは崩さないままに、ちら、と客室の方へ目を向ける。
オレの部屋に来てくれよ――と。

エウロペ > 「そうそう、おりこうさま」

まるで大きな犬でも躾けているかのように褒めて。
母性というよりも慣れ親しんだ相手だからこそのからかいの方が大きいか。

「んー、どうしようかなぁ…もう少し気の利いた誘い文句言えたらなぁ」

なんてわざとらしく彼を焦らす。
もちろん行く気はあるけれど、たまには彼の誘い文句でも聞いてみたいと。

エズラ > 両手は「降参」という風に挙げたまま、そろりと彼女の周りをめぐる。
自身の体格に比しても遜色のない、それでいて明らかに「女」と分かる肢体。
わざとらしく焦らされて、男はますます楽しげになる――

「じゃ、聞いてくれよ――」

彼女の後ろから、その体には触れぬままに、耳元へ囁いて。

「――長旅で、一度も船を下りてねぇんだがよ――エウロペに会うためだったのかもしれねぇな?」

それはつまり――男の肉体と、体内に――彼女への「捧げ物」がたっぷりと溜まっているという意味で。

エウロペ > 焦らされ、楽し気に自分の周りを巡る彼のじっとりとした視線。
相変わらず物好きだなぁと呆れたような嬉しいような。
聞いてくれと言う彼にうんと頷けば、ちょっとは期待して。

「…ん?……んふふっ、それ…誘い文句?ふふっ」

てっきりナンパめいたセリフでも言われるのかと思っていれば、ベッドへの誘い文句を言われてしまい、思わず吹き出しくすくすと笑いが止まらなくなる。

「私への誘い文句ってそういう感じなのかぁ……ふふっ、うんうん…まぁいいよ、お部屋行こうか」

おかしな誘い文句自体はお気に召したらしいので、ご希望通りに彼の部屋にお邪魔することに。
もちろん部屋につくまでの間に、もっと気の利いたセリフはなかったのかといじられることになるのだが。

ご案内:「セレネルの海/定期船」からエズラさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海/定期船」からエウロペさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」にティエフェルさんが現れました。
ティエフェル >  早朝の蒼穹にカモメが高い声で喚くように鳴き散らしながら飛び交う。
 
 そろそろ暑気を感じる気候ではあるが、朝の海風はまだ爽やかで心地よく海を陸を渡っていた。
 
 一見穏やかな波打ち際には、昨夜の嵐で僅かに濁った波間から浜辺へと打ち上げられる流木や貝殻、沈没船の残骸に――人間。
 水死体にしては膨張もしておらず、顔色も良いとは云えないが多少の血色は見られ、何より浅く胸が上下しているところからそれはまだ、息があるのが判る。
 昨晩乗っていた船が嵐に巻き込まれ、沈没こそしなかったものの何人かは暗い海の中に投げ出された。
 運の悪いその何人かのうちの一人になってしまった女は必死で浮かんでいた木切れに取り縋って荒れ狂う真っ黒な波間を漂い、辛うじて溺れずに砂浜へ打ち上げられたものの、意識を失ってしまい朝を迎えている。
 下半身を海水に浸してうつ伏せで寄せては返し、奏でられる潮騒の中、波打ち際でぐったりと意識不明で横たわる女の濡れた横顔をきらきらと眩しい朝の光が照らしだしていた。

ご案内:「セレネルの海」にタマモさんが現れました。
タマモ > 今日も晴天、良い天気。
この季節、夏の海も良いだろう。
そんな事を考える者は、それなりに居るはずだ。

ざんっ、砂浜を踏み締め現れる少女。
この少女もまた、その内の一人だった。
まぁ、その内容が、悪戯とか何とか、そればかりなのがあれだが。

「………」

さぁ、いざ出陣。
そう考え、やって来たのは良いのだが。
そんな少女の目の前、波打ち際に居る、その存在に足は止まった。
うん、見覚えのある少女だ。
しかし、それにしても…

「いやはや、こんな時間なのに、いつまでも海水に浸かるとはのぅ。
昨晩は、そんなに暑かったじゃろうか?
………あぁ、いや、暑かったか?」

そんな呟きと共に、よいせ、と屈み込む。
うつ伏せのままの、その少女。
すぐ目を覚ますだろうか?とか思いながら、のんびり眺めてみよう。

まぁ、すぐ目を覚まさなかった場合。
飽きた、の一言と共に、ぺちん、と尻でも引っ叩く訳だが。
…ちゃんと起こせ?気にするな。

ティエフェル >  カモメの歌と潮騒の音色が重なり合う、あれ荒んでいた昨夜とは打って変わって穏やかな顔を見せる、涼しい早朝の海辺。

 流れ着いた漂流物たちに混ざって静かに横たわっていた、というか気絶している様相ははっきりいって通常の視界で見ると多少異様ではあったし、まあ、飽くまでも一般的な思考の持ち主であれば何らかの異常を案じるであろう。
 人間の発想、では。

 第一発見者はそんな常人ならざらぬ思考の持ち主であれば、受け取る感想も対処も斜め上であり、浜辺の漂流者はすぐれない顔色で今しばらくぐったりと海水に濡れていた。

 寝ているレベルではないのだから、多少刺激を受けたぐらいではびくともせずに、そのまま細く浅い呼吸をどこか苦し気に繰り返すばかりで、僅かに眉間にしわが寄せられているくらいのもの。

タマモ > 眺めていた、起きない。
叩いてみた、起きない。
状態が状態なのだ、それは当然のものである。

「ふむ…こんな時期とは言え、こんな場所にずっと浸かっておれば、そうなるか。
まったく、物事の限度も知らぬとは、意外じゃったのぅ。
困った女子じゃ…よいせ、と」

いや、いい加減に、それが異常事態の現われと気付け。
そう突っ込まれそうだ、第三者が居れば。
しかし今は早朝、人気は…無さそう?可哀想に。

あらぬ誤解を持ったまま、うつ伏せの少女に手を伸ばし。
ぐいっ、と引き上げれば、肩の上に担ぎ上げる。

普通に起きるのは、時間が掛かりそうだ。
しかし、あっさりと目覚めさせるのも、何か癪だ。
どうするか、頭の中に浮かぶのは、三つの選択肢。
素直に起こすか、目覚めるまで待つか、悪戯するか。
この少女からすれば、言いたい事も多かろうが、これも運命。

ティエフェル >  堅く閉じられた瞼はちょっとやそっとでは覚醒する気配もなく。
 指先もぴくりとも動かない。
 呼吸が確認できなければ水死体と見紛うばかりの様相を呈していた。

 通りすがりの妖狐が覚醒を促してみるも現状は変化もないままだったが、さすがに肩に担ぎあげられればやや衝撃が意識にも伝わったか、眉間の皺が深まり、睫毛が僅かに揺れるが、反応と云えばそれくらいのもので、やはり頑なに意識不明状態は続行していた。

 小さなカニがぽこぽこと小さな泡を吹きながらそれを見ているばかりで相変わらず波打ち際は静かなものである。

タマモ > 「ふむ…」

ちらり、周囲を見渡す。
二人と、蟹が一匹。
…うん、悪戯しても、つまらなさそうだ。
選択肢が一つ消えた。

目覚めるまで待つか、問題外だ。
選択肢がまた消えた。

はふん、軽く溜息を吐く。
まぁ、理由が理由なら、文句ならば、この少女に言おう。
そんな事を、考えたのならば。

抱えている手、それはそのままに。
空いた手が、ひた、と少女の額に触れる。
ぽぉっ、と薄く輝く、その手元。
それがゆっくりと、ゆっくりと、消えていけば…
失われていた、少女の意識は、引き戻される事だろう。

とは言え、ちゃんと力は働いているか?
それは、この少女が目覚める事で、確認出来る訳で。
すぐ目を覚ますだろうが、のんびりと、肩に担ぐ少女を見遣る。

ティエフェル >  肩に担がれた身体はぐったり、だらり、と力なくぶら下がるように身を預けた状態であり、海水に長時間遣っていた為、かなりふやけて冷え切っていた。
 血の気のない、とまではいかないがかなり顔色も悪い。
 ずぶぬれだったため、相手の衣服もぐっしょりと濡れてしまっただろう。

 そんな状況が少しの間なんの介入もなく続いていたが、やがて痺れを切らしたように肩にひとり担いだまま器用に額へ翳すその手が、朝の光の中で淡く光る。

「…………ん……」

 その光が収まった所で、ようやくぴくりと固く閉ざされていた瞼が震えた。
 事情はよく分からないが意識を引き戻されて、ぼんやりと霞む視界に映るのは砂浜。誰かの足先から腰元までの断片的な肢体。

「……?」

 どういう状況なんだかさっぱり判らなくてぼーっと緩慢に瞬きを繰り返し、徐にくしゅんっ、と身体の冷えを自覚して身を震わせくしゃみを零した。

ご案内:「セレネルの海」にティアフェルさんが現れました。
ご案内:「セレネルの海」からティエフェルさんが去りました。