2021/03/05 のログ
ご案内:「セレネルの海 浜辺」にジギィさんが現れました。
ジギィ > ダイラスからほど近い場所に広がる浜辺。
夜半も過ぎた今、欠けてはいれど近く大きい月はやや赤みがかって中天にある。
昼間春の陽光に溢れ行楽に訪れる者が居たりするこの場所も、今は波音と緩く吹く風が吹くだけ。
湿った砂の上では小さな蟹やヤドカリたちが、ひそひそと囁くような音を立てて言葉を交わしているよう。

その浜辺にぽつんと腰を降ろしている人の影がひとつ。
足を投げ出して月光を正面に浴び、後ろ手を付いて髪を潮風になびかせている。

元々深い森暮らしだったエルフに、海は憧れの詰まった場所だ。
故郷を出てから、放浪を始めてからも何度も通りがかり、過ごしたが、まだまだ飽きない。

「…ずーっとぼーっとしてられるね」

誰にともなく呟くと、波音に耳を澄ませるように瞳を閉じる。
今夜は近くの防風林の中で野営と決めたから、心行くまで楽しむつもり。
次いで潮風を胸いっぱいに吸い込むと、女はぱたん、と仰向けに倒れ込んだ。

ジギィ > ざあ、と規則的なようで不規則な波音は、今の時間は特に穏やかな潮目のようで、耳を擽られるようで心地いい。
目を開いて、月明りに負けじと瞬く星の合間を星座を探すようにあちらこちらと視線を彷徨わせる。

(あれは…英雄の矢の形、だっけ?)

降るような、と言っても良いくらいの星と夜の闇を見入っていると、段々と意識の端を、睡魔が掴む感覚。

春先と言えど、夜風は段々と冷たくなってもくる。
うとうとした意識で波音を聞いていたが、このままここで寝入ってしまえば翌朝冷え切った身体で飛び起きる羽目になるだろう。

「……うう、面倒くさい……」

悲しげに呟いても、誰が毛布を掛けてくれるでもない

ジギィ > はあーとため息と共にささやかな気合ひとつ。
女エルフは身を起こすと寝ぼけまなこを擦って

しぶしぶとした足取りで、浜辺から林の方へと…

ご案内:「セレネルの海 浜辺」からジギィさんが去りました。