2021/01/26 のログ
ご案内:「セレネルの海 海岸」にジギィさんが現れました。
■ジギィ > 海岸の天気は変わりやすい。
曇り空ではあったものの、合間から光のカーテンが波間へと降りていた昼下がり。
俄かに突風が吹き始めてからみるみるうちに雲の色が灰色から更に黒っぽくなっていき、辺りは薄闇に包まれていく。
冬にも関わらずいっそ生暖かいようにも感じられる風が海から吹く中を、ひとりのおのぼりエルフがのんびりとあるいている。
不可思議な力で以て事態を見通していたわけではない。
ただ単純に、経験不足だったもので。
―――さぁっ、と音立てて驟雨が降り始める。
「!!――ゎ…ひゃ~!」
海には変な風も吹くな、なんてぼやっと思っていたエルフ女は文字通りすこし飛び上がって驚いて、たっと傍の崖目指して走る。
手びさしをした視界の先に、丁度入り江と洞窟が交じり合った場所をみつけて、濡れそぼっていく砂を蹴ってそちらのほうへと。
「…――あー…」
何とかびしょ濡れになる前にその洞窟のなかへと駆け込んで
膝に手を付いて思わず零した安堵の声が、洞窟の中で雨音と一緒に奥の方へと響いていく。
■ジギィ > 女がぶるる、と頭を振ると紅茶色のくせ毛に絡まった雨粒が辺りに散って岩に光る染みを作る。
狼の毛皮で作ったマントを外して、ばさりと一振りするとまた辺りに水滴が散る。毛並みを撫でて満足そうに笑う様子からすると、ほとんど水気は取れたんだろう。
腰の後ろに付けていたバッグから布を引っ張り出して、顔を拭いながら外を伺う。
黒雲は所々明るい所はあって、水平線に近い所は明るくさえある。
「…少し待てば、大丈夫かな?」
首を傾げてそう結論づけると、洞窟を振り返る。
入り江は奥へ続いていて、ヒカリゴケでもあるのか、天井と思しきところがぼおっと光っているのも見える。
「―――ん――――…」
好奇心をそそられるが…取り敢えず今は届け物の最中でもある。
また今度、とため息を付くと仕方なしにそこへ座り込んで
ちゃぷちゃぷと音を立てる波を覗き込みながら、鼻歌を歌って陽が差す時を待つ…
ご案内:「セレネルの海 海岸」からジギィさんが去りました。