2020/12/14 のログ
■ロブーム > 夜の闇から突如溶け出すように、その男は現れた。
先程確実にシルニアが見た方向から現れた、丸々と太ったその男は、しかし彼女を見るとくくくと笑い
「おや。随分と可愛らしい仔猫ではないか」
そう言う男の手には、何時の間にかシルニアが先程脱ぎ捨てた水着が握られている。
男はそれを、これ見よがしに広げて見せて。
「しかし、ミレーの身でありながら随分と無防備であるな。
自分の唯一着ていたものを、こうしてほっぽりだすとは」
そう言って、男は彼女の水着を懐に仕舞ってしまう。
突然現れた謎の男。だが、唯一はっきりしているのは、このままだと彼女は、全裸で帰宅しなければならないという事だけである――
■シルニア > 「〜♪...へっ!?」
髪を手櫛でほぐそうと軽く振り向けば、視界の隅に男の姿が映る。
さっきまで確かに誰もいなかった筈なのに、と。確認するように身体ごと振り向けば、確かに男は私の目の前に居る。
「いつの間にそこに...って!!それ、返すですっ!」
驚き、集中が切れれば複数展開されていた魔法は、体温の保護のための熱魔法以外全て消え失せ、水球もびちゃ、と音を立てて消える。
慌てて、左手で股を、右手と右腕で真っ平らな胸を隠して。
彼が私の水着を手にしているのをみれば、それを指差し、しかし指差しの動作を取れば隠されていた裸体が晒されることに気付いてあわてて再び身体を隠す。
男の返事を待つ事も無い。身体を隠しているゆえに機敏さは失われているけれど、彼へと飛び掛って無理やり水着を取り戻そうとするのだ。
■ロブーム > 両手を自分の体を隠すために使い、その上で飛びかかる――詰まるところ、体当たりをしかけてきた彼女。
しかし、男はそれを避けようともしない。そして、その上で動じることもなかった――彼女の体当たりを自分の蓄えた脂肪で受けた男は、呻きもせずにただ、彼女の身体を抱き寄せる。
「自ら駆け寄ってくるとは、人懐っこいな。どれ、私が少し遊んでやろう」
そう言うと、彼女の尻尾を優しく掴み、ふにふにと弄び始める。
もう一方の手で、よしよしと頭を撫でて、顎を擽る。
まるで、本物の仔猫にそうするかの様に。
「ほれほれ、此処が良いのかね……?」
バカにしたように、或いは愛玩するように猫なで声で問いかける男だった。
■シルニア > 「うみゃっ!?違っ、そんなつもりじゃないのですっ!!このっ!」
私の軽い体当たりを受けても、彼は全く動じずに、どころか顎や頭を撫でてくる始末。彼の持つ水着を追って手を振り回す様は飼い主にじゃれる猫に見えるかもしれない。
相手をただの男だと思っている故に、彼を傷付けかねない魔法も使わない。でも。
「そろそろ辞めないと痛い目にあうです──ふにぃぃぃ...」
そう言って威嚇するのだけれど、尻尾を掴まれた途端に力が抜けて、腑抜けた声を漏らしてしまう始末で。
彼の足元に高速で紡がれ、輝き始めていた魔法陣も霧散してしまう。
■ロブーム > 「ほう、そんなに脱力して、どの様にして痛い目に合わせるというのかね?」
そう言っている間にも、尻尾をくにくにと指で弄り、反対の手でお腹を撫でている。
完全に猫扱いの手付き――だが、それは少しすると止まり。
それどころか、男はその見た目からは想像できぬ機敏な動きで、後ろにステップして離れてしまう。
「とはいえ、流石に身体を隠しながら戦わせるのはアンフェアか――ほれ」
そう言って、ぱちん、と指を鳴らすと、彼女の胸と股の所に黒い靄の様なものがかかり、性器を隠す。
特に、何かを感じたりすることもない――本当にただ"隠す為だけの魔法"と言った所で。
「これで、戦いやすくなったろう?尤も、私から離れるとその靄は消えてしまう――私に"痛い目"を合わせなければ、何時まで経っても君はおうちに帰れないぞ?」
勿論、これは罠。
彼女に敢えて全力を出させ、その上で翻弄し屈辱を味あわせる為の。
元より、力の差は絶大――だからこそ、それをギリギリまで隠して彼女が健気に立ち向かうのを愛でるのである。
■シルニア > 脱力の合間を縫って私が男から前方へ離れるのと、男が後方へ離れるのはほぼ同時。
彼の見かけによらない俊敏さに驚いて、彼がただの痴漢ではないのかもと思い始める。
「え、アンフェアって...や、やるき、なのですね...!
誰なのですっ?何のためにこんなことするのです?」
続けざまの、黒い靄のような魔法を見ればその予想は確信へと変わり。
目的の見えない彼にそんな疑問の言葉を投げかける。
私の問いかけに対する彼の返事を聞けても聞けなくても、やることは変わらないけれも。
彼の魔法のお陰で体を隠す必要が無くなり、両手は自由に。これで魔法にも集中出来るし、いつも通りに動ける。
痛い目に合わせる、とはいったものの目的はあくまで彼を痛めつけるのではなく、水着の奪還だ。
それなら、と。私は屈みこみ、と思えば全身をバネに跳躍。同時に私の足元に展開されていた緑色の魔法陣からの風魔法で更に加速。狙いは男...ではなく、男の斜め後方の水色の魔法陣に展開された氷の壁だ。
1度目の跳躍はフェイントで、男のすぐ横を通り抜けた後、氷の壁に足をつき、今度は本命の跳躍。
彼の握る水着を掠め取ろうと。
■ロブーム > 「誰か、については今は秘密だ。だが、何のためにと言われれば――君を愛でる為、だよ」
にちゃり、と生理的に嫌悪感を感じるような笑みを浮かべて。
そして、彼女が向かってくるのを待ち受ける。
流石はミレー族と言った所か。自分の行動に合わせて魔法陣を展開し、こちらを翻弄してくるが……
「おっと……」
彼女の眼の前で、水着の持った手は振り下ろされ、彼女の手を掻い潜る。
そのまま、掠め取ろうと延ばした手を掴み、その脇の窪みにぬろぉ……とゆっくり舌を這わせ、更にもう一方の手で、黒い靄越しに乳首をくにくにと指で摘んで弄ぶ。
だが、それも一瞬。男が、乳首を触れた手で、ぽん、と胸を押すと、そのまま彼女の身体は吹っ飛ぶ――尤も、その勢いは弱く、彼女の身体能力ならば容易に着地できる程度だが。
「さて、今度は私の番か――そうだな、この"玩具"が良いか」
そう言うと、男の目の前に二つの魔法陣が現れ、その中からふさふさとした猫じゃらしを持った手が二つ現れる。
それらは、機敏な速度で彼女に向かうと、彼女を取り囲む様にぐるぐると回り始める。
■シルニア > 「っ!?」
私の強襲を避けられたのは想定内。男はあれだけ素早く動けていたのだ。私の素早い動きに反応出来るかもとは考えてはいた。
でも、腕を掴まれる程までに動けるのは予想外だ。すぐさま離れようと手を引っ張るけれど、ビクともしない。
「う、ひぃ...!愛でるためって...やっぱり痴漢の変態さんなのですっ!?ひんっ!♡?」
腋をいやらしく舐められれば、男の言葉とも併せて凄まじい嫌悪感。だけれど、乳首を触られれば嫌がる声に少し甘い色を帯びてしまう。
急な快感に怯む隙すらなく。私は空中に吹き飛ばされて着地体勢を余儀なくされる。
これまで風魔法で何百何千回と宙を舞ったのだ。これくらい、ひょいと着地してみせる。
が、着地し、バランスをとっている間に彼に反撃の隙を与えてしまったのも確か。すぐさま身構える、けれど...。
「...むぅ?」
警戒していた魔法陣から現れたのは、ふさふさとした何か。危険そうな様子は少しもないそれが私に近付き...
それが動き回れば、本能的にそれを追いかけ、捕まえたくなるような衝動に襲われる。
なんとか理性でその衝動を抑えつけているものの、視線で追ってしまうのは抑えられなくて、目を爛々と輝かせながら視線をあちらこちらへ。
手も無意識にあげられて、その猫じゃらしに伸ばしそうになってしまう。
ご案内:「セレネルの海」からシルニアさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」からロブームさんが去りました。