2020/09/12 のログ
タン・フィール > 「ほんと? ありがとう! なるほど、なるほど…
それじゃあ、ボクもお礼にお薬や素材が必要なときは、サービス料金にしたげる!

…ボクは、タン、 タン・フィールっていうの、よろしくね、リチェットさん!」

と、同業とはいわずとも、関わりを持てばお互いに益のある業種同士としてもよろしく、と改めてお辞儀して。
嬉しそうに虹色真珠をきゅっと抱きかかえながら

「うん!もう発見されてる素材か、新素材か、どんな効能があるのか…いろいろ調べて面白いお薬できたら、まっさきにおしえたげる!
…んぇ?ええと…お鍋をとろ火にかけてたから、火事とかにはなってない…とおもう、…けど…」

もわもわと立ち込める煙の量は確かに多めで、
焦げ臭さのたぐいは臭わないので火事や小火の類いではなさそうだが、
わずかにハーブやカラメルのようなニオイもするので、
もしかするととろ火の薬鍋の中身が煮詰まってしまっているのかもしれない。
そうかんがえると、だんだん不安になってきて…

「―――ええと、それじゃ、いったんお店、もどらなきゃ…っ!
ね、リチェットさんもどうせだから、ボクのお店にどんなモノがあるか、見に来ない?」

と、テントのように数歩歩いた後、くるりと振り返って、彼女にじぶんの薬屋を下見してみないかと訪ねてみる。

リチェット > 「どういたしまして。これくらいなら、お近づきの印ってやつだよ。
 よろしくね、タンくん!」

ダンジョンでの薬の需要は決しなくなりはしない。
どれだけ用意周到なパーティーであっても、手持ちの数には限りがあるわけで。
そんな時に、どれだけ有用な薬を提供できるかが行商人の腕の見せどころ。
言い換えれば、稼ぎどころというわけで。
なので、薬屋さんとの伝手は是非とも欲しかったところで、渡りに船で。
にこやかな笑みを浮かべて。こちらも手を振り。

「見た感じ、魔力も結構すごいっぽいから、薬にしたら強化できたりしそうだね。
 ―――やっぱり。まぁ、本業のタンくんが大丈夫だって言うなら、良いんだけど。」

情報はそれだけで価値があるから、期待して待ってるよと笑いかけ。
案の定というか、火をかけっぱなしと聞くと、呆れたようなそんな視線。
とはいえ、専門でもないので、注意をするような野暮なことはしないけれど。

「いいの? 暇だし、お邪魔しても良いなら、お邪魔しちゃうよ?
 タンくんのところの品揃えには、興味あるしね!」

見せて貰えるのならば、二つ返事で。
テントの方へと近づけば、薬屋さんというだけあって、甘いような、そんな香りも漂ってくる。

タン・フィール > 「うん、真珠の粉は、料理のスパイスやお化粧にも使えるから…魔力を乗せた料理やメイクのお仕事の人にも、役立つものがつくれるかも。
ふふ、どんなのができるか楽しみーっ!」

と、浮き浮きとした足取りでありつつも、少し速歩きなのは、
小火のたぐいでは無いにせよ少しテントの中が心配になってきたからで。
ついてくるという彼女を快く歓迎しつつ、テントまで歩み寄り、
天幕を開ければ、薄紫の煙がいっせいに外気に混ざって出てくる。

「えほ、けほっ…! …うん、だいじょうぶみたい。
えっと、これ、毒とかじゃなくて…毒消しとか体力回復のお薬の煙だから、カラダには悪い影響、ないとおもう。

お薬の余計な水分を飛ばして、煮詰めて、軽量化する実験~。」

ただ、栄養剤の類いを霧化しているようなものなので、それはそれでハイになってしまうかもしれないが。
ひとまずテントの内部の鍋を火から遠ざける。

中身はくつくつとカラメル状に、焦げる数歩手前の飴状になっていて、これはこれで成功、という様子で少年は落ち着いてテントの外に出し、冷やす。

そうして、ちょいちょいとテントの中に改めて手招きすれば。
まだ甘い香りの残る、4畳半ほどの広さの簡易テントの中に、薬瓶や薬草や動植物の干物、
ツノや羽や目玉などの怪しげな素材が酒漬けになったガラス瓶など、
いかにも薬屋といった摩訶不思議な世界が広がっている。

薬や素材に目が利けば、王都の表立った素材屋の方が、スタンダードに役立つ素材の数が揃っているが、
逆をいえば、珍しい効能や希少性のものが豊富に並んでいることがわかる、幼い店主ながら通好みの品揃えで。

ふふーんっとそれらを、大手を振って誇らしく自慢する少年店主。

リチェット > 「真珠を料理に…っていうのは、聞いたことあったけど、お化粧は知らなかったなぁ……」

そんなことをするくらいなら、装飾品として使った方が見栄えが良い。
貴族ならば、そうとも限らないのかもしれないけれど、少女が相手をする相手は冒険者がメイン。
当の本人も、お化粧には関心が薄く、初めて聞いた内容に「へぇ」と感心して見せて。

「わぁ……なんか、あれだね。魔女の釜って感じ?
 毒だったら、今頃、大変なことになってたねー
 水気を飛ばして軽量化…? ジャムみたいな感じになるのかな? それとも固めて飴にしちゃう感じ?」

天幕を開けた途端に、辺りに漏れ出してくる薄紫の煙。
それがやや薄れてくると、奥に大きな鍋が見えてくる。
これをかき回していれば、立派な魔女だろう。ちょっとばかり可愛らし過ぎるけれど。
逸れかけた思考を元に戻して、実験結果が売れそうなものか吟味する。

「それじゃあ、お邪魔しますー
 ん……薬って、苦手な匂いもあるんだけど、タンくんのところのは甘い感じで好きかも。」

スンと鼻を鳴らして。
つい先ほどまで煮詰めていた体力回復の薬の匂いなのだろうけれど、他の薬も顔を近づけても嫌な感じはしない。
匂いのキツイ動物性のものは、ちゃんと瓶に収まっているらしく。

「んー、これはなかなか。
 滅多にお目にかかれないものがたくさん。仕入れ先を訊いちゃいたくなるレベルだね。
 ぜひご贔屓にしてもらわないと……」

怪しげなトカゲがまるっと漬けられた酒瓶を覗き込んだり、天井からぶら下がっている干し草を眺めて見たり。
真剣な表情で、置いてある素材を吟味する。
これらが置いてあるということは、当然扱えるというわけだろうから、薬師としての腕も分かるというもので。

タン・フィール > 「ねーっ、ちょっともったいないかも…だけど、お薬屋さんとしては、飾っちゃうよりも粉にしちゃうほうが、馴染んじゃった。
…あ、その棚の、ぜーんぶここの海で採れたものだよ。」

くすくすと笑いながら、テントの素材棚の端に、今回の戦利品の虹色真珠を置く。
その棚の同じ列には、血のような色の巻き貝や、ガラスのような透明な海藻、海の魔物少女の粘液、幾何学模様の珊瑚など、この海で手に入れた素材が並んでいて、
めでたくコレクション・兼・成果物として陳列されることになった。

「うん、今はどろどろの蜜っぽいから、これにちょっとずつ水分を加えて煮詰めればジャムだしいー、
このままほっといたら、飴になるかな?
きょうはまず、飴でいってみようかなーって。」

鍋がテントから退散すれば、徐々にテント内の薬草や素材の本来の香りも判別できる空気に入れ替わっていき、
紅茶屋と、肉屋と、カレー屋とケーキ屋…さまざまものに例えられる香りが、
不快に思えてしまう要素を取り除いて混在するカオスな芳香の店だった。

興味深そうに店内の商品を物色する様子に、嬉しそうにほほえみながら

「仕入先は、教えてもいいよっていわれているところは、ぜんぜん教えるよー。
でも、中にはちょっと、強めであやしいお薬をお願いされたりぃ…
たのまれれば、えっちなお店に、えっちなお薬も作ったりしてるから、……ちょっと、言いにくいルートもある、かも。」

と、中性的な顔の目を細めて、ぽしょり、といたずらめいて耳打ちする。
そのからかうような、年齢にそぐわぬ魔性めいた仕草と声色は、
ただの見た目のままの、こどものおくすりやさん等ではない、王都の裏表の一端で商いをしてきた者の物腰で。

リチェット > 「あはは、まぁ、不老長寿の妙薬とか言われてもおかしくないレベルだしね。
 それなら、すっごい値段になりそう。
 へぇ……凄いね、っていうか、全部タンくんが自分で採ったの!?」

棚に並ぶ様々な素材は、扱ったことのないものばかり。
父の影響で、どちらかと言えばダンジョン専門に行商をしていたものだから、こういう海の素材は知らないものも多い。
巻貝や、海藻、珊瑚といったものなら、まだその外観から何なのかくらいは分かるのだけれど。
さすがに怪しい粘液は、用途はおろかその出自もさっぱり分からない。
しげしげと眺めてから、採れたと宣う少年の方を改めて見つめてしまい。

「飴なら、ポーションよりは持ち運びしやすくなるね。
 効果がどれくらいで出てくるかにもよるけど、買い手は付きそう。」

実際、割れて漏れたりしてしまう水薬は運搬に不便なもの。
それが体力回復だけでも飴にできるというなら、多少高くても需要はあるに違いない。
うんうん、と頷きながら、上手くできたら売ってね?と予約を入れておくことも忘れずに。

「え……あー、うん……そっか、そ、そうだよね……
 薬屋さんなら、そういうのも、あるんだ……」

正面から普通に言ってくれれば、そこまで照れたりもしなかったのだけれど。
わざとらしく耳打ちなんてしてくるものだから、思わず想像してしまって顔を赤くしてしまう。
可愛いだけに見えていた少年の、妙な色香にドキドキしてしまって。

タン・フィール > 「うん!ここの海の棚のやつは、今日みたく潜ったりして、自分で手に入れたんだよー!…あ、これとコレは、砂浜に打ち上げられてたの拾っただけだけど。」

と、武勇伝めいて自分の成果物を披露しつつ、ただ偶然散策中に拾い上げただけのものも正直に答えてしまい、
そうしてみれば、散策と游泳の途中でたまたま見つけたものが大半ということになって、
ますますここ、セレネルの海岸の一部が穴場めいたスポットであることは判然としてきた。

「うん、だから即席で体力とカロリーをとれるように、回復薬は飴にしてー…
体力の上限を上げたり、毒を無効にするような、効果を持続させるタイプは、食事といっしょに摂れそうなジャムがいいかな、とか考えてるんだけど。」

と、戦闘中に即、一粒口にするだけで体力と英気を養える工夫と、
逆に日々の食事に使うことで、慢性的に体力上昇などを狙う2通りの商品展開。
この点では、なかなかに少年少女間でお互いの利益を得るための業者トークがはじまりつつあった。

「ふふ、この粘液も、ちょっとえっちな魔物のおねえちゃんからもらったの。
…リチェットさんは、そういう商品を売ったり、買ったりっていう予定はあるの?」

と、無邪気に、けれども小悪魔めいたいたずらっぽさで尋ねる。
それこそ、窯の中の鍋はかき回してはいないが、その飄々とした妖しさはは、魔女か、魔女の弟子めいた食えない印象も与えて。

リチェット > 「タンくんって思ったよりもアクティブなんだねー
 それに、なかなかラッキー? 滅多にないよ、こんなの拾えるなんて。」

見たことのない素材ではあるけれど、自然素材なら品質が良いか悪いかくらいは目利きできる。
流通が分からないから値は付けられないにしても、打ち上げられていただけにしては程度は良さそうなもの。
これが労せず手に入ったというのだから、かなりの幸運の持ち主と言えよう。
それだけ人が来ないということかもしれないけれど。

「解毒の方は、そっちの方が良いかもね。
 食事で毒無効効果が付与できたら、すごく便利っていうか、王宮の人に売れそうなんだけどっ」

即効性の毒ならともかく、身体にじわじわと溜まっていくタイプなら、
食事と一緒に解毒剤を摂取で来た方が効率が良いだろう。
けれど、毒無効となると話は少し変わってくる。
そんなのが付与できたら、王宮のお偉い様方から山のような発注が届くことになるだろう。
今のところ、まだ王宮には伝手はないから、販路は開けない。
けれど、王宮御用達という看板は、それに伴う面倒事を差し引いても便利なものであり。
そんな薬ができるのならば、考えてみても良いのかもしれないと。

「うぅ……そ、そういうのは扱ってない、かな……
 需要はあるし、その、ちょ、ちょっとは興味もあるんだけど……あっ、商売としてだからね!?
 ただ、その……伝手もないし、襲われたら……危ないからね。」

需要の高さで言えば、ダンジョンでポーションを売るよりもよっぽど高いうえに効率的。
誤解されそうな言い方をしてしまって、大慌てで断りを入れるけれども。
扱っているのが護衛も付けていない少女ともなれば、娼館と契約するのも難しいだろう。
かと言って、露店で売るには危なっかしい代物でもあり。
真面目な話をしているはずなのに、視線はあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
えっちな魔物のおねえちゃんという内容も気にはなってしまうのだけれど、尋ねられるはずもなく。

タン・フィール > 「ふふ、でしょー? 派手なのばっかり拾ってきたらか、もしかしたらあんまり目立たないものがあったら見落としちゃってたかも…。
ね、今度いっしょに素潜りしたり、海辺の洞窟とか、たんけんしてみない?
リチェットさんなら、ボクが見落としちゃう色んなコト、気付くかもしれないし。」

と、彼女の目利きや、出来上がった薬をどう扱うかの言葉に一定の信を置いてか、
もうしばらく行うつもりの海辺での素材集めの冒険に彼女を誘ってみて。

「なるほど!たしかに!…うーん、王宮の人相手になら、たしかに…。
前に、逆に王宮での暗殺用の薬をお願いされたけど、
お断りしちゃったりし、そのあとすぐに依頼主の人は失踪しちゃったし…

もし、安心して取引できるようになったら、そうしたいね!」

と、何やら一部に王都の暗部を垣間見える会話を続けながら、
しどろもどろに、色街での色の沙汰に話が及べば、少年以上に無垢で困惑した様子を見せる少女に、にぱっと笑って。

「ぅん! っふふ、もしそういうお仕事にキョーミがあるなら…いつでも紹介できるから、
もしやってみたくなったら、いってね?…ボク、ちょっとはお薬や魔術を使って、そのへんの護衛の人よりは強ーく、リチェットさんのこと、まもれるとおもうし。」

と、これまた誤解を呼びそうな言い回しをしつつ、
もし本当にそちら方面への進出も考えているならば、おそらく少年はそれはそれで真摯に、彼女の新たな販売先を見繕い、紹介し、利益と為すだろう。
…仮に、それに付随した、快楽と堕落の道や、道程があったとしても。

リチェット > 「お、海辺の洞窟! お宝いっぱいな響きだねっ!
 タンくんのお役に立てるかどうか分からないけれど、それでも良いなら喜んで!」

父親譲りの冒険心を擽る響きに、思わず食いついてしまう。
実際、素潜りに比べれば洞窟なんて難破船でもなければお宝なんて出てくるはずもないのだけれど、そこは浪漫というもの。
利益があってもなかっても、冒険を楽しめればそれで良いだろう。

「うん、それなら寒くなっちゃう前に行った方が良いね。
 帰ったらさっそく準備しないと……!

 あー、うん。暗殺用のとかはよくあるよね。うちでも痺れ薬くらいなら扱ってるけど…」

ある程度の在庫は、常に持ち歩いているのだけれど、海の洞窟に行くとなると水着その他の準備が必要。
手持ちがなければ買い出しに行くしかないわけで。今日このままというわけにもいかず。
致死性の毒も、ある意味ではそっちの薬と同じこと。ある意味ではそれよりも危ないかもしれず。

「タンくんが頼もしく見える……
 うぅ、じゃあ、頼っちゃおうかな…? えと、その……お試しで、ちょっとだけ分けて貰えたりする…?
 あ、その……売る以上は、効果をちゃんと把握してないと……って、意味だからね!?」

本格的な販路開拓となれば、紹介してもらう必要も出てくるだろう。
けれども、売れるかどうかということならば、まずはモノを見て、その効果を試してみないことには扱えない。
決してそういうことに興味があるわけじゃないと、もにょもにょと言い訳して。

タン・フィール > 「じゃあじゃあ!いったん王都まで戻って、準備をしたらまたこようよ! ふふ、冒険先用のキャンプテント、準備しておくから!」

と、少年も少年で、意気揚々と冒険心を募らせて、
一人旅ではなく、チームを組んでの素材採取というクエストに心躍らせている。

さすがに、海辺に遊びにきた常備の装備と、素材採取の美品だけでこれから探検に出るほど、二人は無謀ではなかった様子。
後日に、冒険者用のギルドなり、用具を揃えるための冒険者用の市なりで待ち合わせるのだろう。


「はぁーい、じゃあ、リチェットさんは、どんなのがほしい?
…えっちな気分になるお薬が、こっちで~…寝ている間に、自分が想像するえっちな夢が見れるのが、これ。

…ふふ、もし、相手の男のヒトとか、女の子をその気にさせたいんなら、こういうのもあるし…
●●で★★な変態さんには、こんなものも…♪」

と、それら冒険への夢輝かせる可愛らしい少年の一面とは、最早べつの人格のように、
色街仕様の媚薬の類を紹介するときの少年は、どこかしっとりと甘みと湿度を保った妖しさで、
桃色や紫や乳白色の瓶をこつ、こつ、と並べていく。

「じゃあ、今日はお試し価格でお持ち帰り、してみる?
…猫やうさぎみたいな動物で試しちゃってもいいし…自分でためしちゃっても大丈夫だよ。」

どれもちびちび舐めたり、数滴口にするだけでも効果のある効き目は確かなもので、
そのうえ一応は、瓶まるごとを一気飲みしたり、ちゃんぽんしたとしても、命にかかわる心配もない量・濃度・薬効のものをチョイスした。
所謂「はじめてのひと」用の、導入部門の類い。

最後の一瓶は、なにやら肉体変化だの、獣化だの、下剤だのと、
確実に買い手を選ぶ単語が飛び交った気もするが。

リチェット > 「了解だよ! 洞窟って結構深い感じ?
 海の洞窟って初めてだから、わくわくするね。」

武器は使い慣れたものの方が良いだろうから、特に問題ないとして。
ただ場所柄、銛はあった方が便利かもしれない。
他には着替えも多めに。足元はしっかりとしたサンダルの方がブーツよりは良いだろう。
あれこれと準備を考えるのが楽しくて仕方がないといった感じ。
遺跡ではないから魔導機械の類は見つからないだろうけれど、それはそれ。

「うぅ……うん、それが……で、こっちが……ふぇっ……!?」

いわゆる媚薬の類は効き目の強さに違いこそあれ、スタンダードなもの。
淫夢を見られるというのも、少し変わっていて面白いかもしれない。
需要のほどは分からないけれど。
その後に続く、あれやこれやは、ちょっと刺激が強すぎてちょっと引き気味。

「う、うん。ちゃんと買い取りさせてもらうから。
 その、ちょっとだけ……やっぱり自分で試して、みないと分かんないし……
 えっと、そのえっちな気分になるやつで、お願いします…」

いろいろと並べられた怪しげな色合いの薬を前に、恥ずかしそうにしながらも、はっきりとそう告げる。
その辺りを薬師さんに曖昧にしちゃうと、危ない処方になってしまいかねないので。
とはいえ、ちょっと色香の漂う少年に、そんなことを告げるのはドキドキしてしまうわけで。
思わず何だか丁寧語になってしまい。

「はぅ……なんだか、もう変な気分に、なっちゃってるかも……」

少年が準備をしてくれている間に、ちょっとばかり深呼吸しながら、ポツリとそんなことを零してしまい。

タン・フィール > 「うん!ボクもすっごい、わくわくする!

うーん、ボクがちらっとみた感じだと、浅い階層までなら日帰りでも大丈夫そうで、もっともっと奥への道が見つかったら…どこまで深いかはわからない、かも。

もしあまり手つかずの洞窟だったら、僕たちでちょっとずつ行って戻ってを繰り返して、攻略してっちゃうのもいいかもね。」

と、少年も少年で、冒険への準備や、その深さへ思いを馳せながら、身長案も検討して。
まずは浅い階層からどのような素材があるか、どの程度手つかずか探ろうと。


「はぁーい、じゃあ、こちらを一点、お試し用とのお友達価格で、お買い上げ…と!
お代は、このくらいでえ…リチェットさんなら、物々交換でもいいよー。」

お代とされているのは、庶民派の定食屋の、おかず一品分程度の値段で。
桃の皮をとろかせたような、薄桃色の香水瓶のようなものを一つ、彼女に直接手渡した。

「ふぅん?…じゃあ、今の気分が、どこまで…もっともっと、ヘンな気分になっちゃうか…ここで、おためし…してみる?」

と、少女の片手を取って、手渡した薬瓶の蓋を、蕾をつまむような手付きでちょんとつまませる。
もし彼女がその手を拒まずに入れば、そのまま蓋を上に引き抜いて、
桃のジュースと、梅漬と、ほんの少し肉料理を混ぜ合わせたのようなオイリーな香りが瓶から漂ってくるだろう…。

それが鼻腔に触れれば、素質の差はあれ、今彼女が感じているような妖しさへの、警戒心や動揺が紛れ、
むずがゆいところを掻いてもらえるような、満たされた心地になってしまう、媚薬の香。

タン・フィール > 【継続予定】
ご案内:「セレネルの海」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」からリチェットさんが去りました。