2020/09/11 のログ
ご案内:「セレネルの海」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 強すぎぬ潮風と波音のリズムが心地よい浜辺。
その砂浜には屋外用のテントが設置されていて、浜辺とテントをせわしなく行ったり来たりする少年薬師の姿がちらほらと見える。

今日は、街中や野原では採取できない、薬の素材になり得るものを採取しにきた、海辺キャンプの日。

「ふふーっ…大漁、たいりょう! ええと、これはお薬にできるし、
これは、干して砕けば毒にもつかえるし…」

浜辺からは、打ち上げられる貝殻やナマコやヒトデや海藻の類を選別し、それらを両手で持ちきれなくなるまで収集し、
テントの中の保存用の瓶に収納しては、また浜辺に立つ。

そこそこに希少な品々が手に入ったが、もっとレアな…あるいは未知の素材はないものかと目を光らせて。
ざぶざぶと波に太ももまで浸らせながら、じぃー…と海中の揺れる波のや砂の動きにまぎれて、面白いものがないかを探している。

はためには、子供が貝拾いでもしてあそんでいるようにしか見えないだろう。

タン・フィール > 「―――んうっ? …なんか、よさそなの、みっけ!」

ふと、足が届かなくなるあたりの深さの水面下に、ぎらりと虹めいた光を反射したなにかを、赤い瞳が捉えた。
それを見つけるやいなや、桃色のシャツをぱあ!と脱いで勢いよく砂浜に投げ、
一糸まとわぬ少女のように華奢な裸体となって、ざぶん…と海に潜り込んだ。

クロールやバタフライの類での遊泳は得意ではないが、
水中でまるで赤ちゃんのアザラシか何かのようにすいすいと潜水や浮上をすることは得意で、
2m…3m…と、虹色の正体を探りに潜る。

幼い子供が波際で遊び、波の方へふらふら歩んで自ら潜り、1分近く浮上してこない。
傍目から観ていたならば、これもまた心配にはなる光景かもしれない。

ご案内:「セレネルの海」にリチェットさんが現れました。
リチェット > 陽射しを遮るものはないけれど、潮風が気持ちいい。
もっとも照り付ける陽射しの方も、少しは和らいできているから浜辺を歩くにはちょうどいいくらい。
冒険者が出歩くには、平和すぎる光景だけれど、代わりに漁師でもいれば仕入れをしても良いかもしれない。
そんな気まぐれで王都から足を運んでやって来たのだけれど。

「お客さんになりそうな人は、あんまりいないかなぁ……」

見渡してみても、砂浜にはテントがひとつきり。
時期が悪かったのか、それとも場所が悪いのか。
やっぱり事前の聞き込みもなしに現場に足を運んだのは、行き当たりばったり過ぎたかもしれない。
お客さんがいないのならば、今日のところは散策だと割り切って。

「え……っと、これってシャツ? なんでこんなところに脱ぎ捨てて…?」

しばらく歩いていると、砂浜に脱ぎ捨てられた桃色のシャツを見つける。
海から打ち上げられたにしては、綺麗に乾いている。
風で飛んでくるにしても、町からは遠い。
となると、考えられるのはこのシャツの持ち主は海で泳いでいるということだけど。
そんな人影は見えたかな…? と、ちょっぴり冷や汗をかきながら、沖合の方へと視線を向け。

タン・フィール > 沖合への眼差しが波間を探ってから、丁度5秒ほど。
1分とそこそこというなかなかの潜水時間を記録した少年の半身が、
海面からぴょんと跳ねるように登ってくる

「―――っぷはっ…! っふう、っはぁ…!」

深く息を吸って、吐いて、新鮮な空気を取り入れながら、小さな片手には虹色に輝く大きな真珠を持っていて。
もう片方の手で器用に波を掻きながら岸まで上がる。
すると、自分が放った位置に、己の桃色のシャツを見据え、水面を探っていた人影に出くわして。

「あっ、それ、そのシャツ、ボクのですーっ」

と、落とし物や紛失物のたぐいではないと主張するように、ぺたぺた裸足で、素っ裸のまま駆け寄っていく。
その少女のような顔と性別の判別の難しい華奢なカラダの足の間には男の子証がぶら下がっていて、それも丸見えではあるが、
本人的には温泉などの延長なのか、
今は羞恥や遠慮を見せる様子もなく、挨拶するように腕を上げながらのんきに近づいて。

リチェット > 沖合の方へと視線を向けていると、水面に浮かんできた人影を発見。
溺れているなら、わざわざ服を脱ぐなんてことはないよね、と胸を撫で下ろし。
程なくして、その小柄な人影がこちらの方へとやって来たのだけれど。

「え、あ……う、うん。は、はい。どうぞ?」

自分よりも年下に見える男の子。
可愛らしい顔立ちだけれど、間違いなく男の子。
ぱちぱちと黒い瞳を瞬かせてから、若干気まずそうに視線を漁っての方向に。
そそくさと、シャツを手渡してあげながら。

「あ、それだと隠せないか……えーっと、タオルとかある? 貸してあげようか?」

濡れたままで服を着るわけにもいかないだろうと、思い当たると
視線は斜めに向けたままで、そう問いかける。
若干、顔も赤くなっているのは、指摘してもきっとはぐらかすだろう。

タン・フィール > 「あ、お服ありがとうっ!
このまんまハダカでしばらくいて、乾いた頃に着ようかなーっておもってたんだけど…
べたべたしちゃうし、もし貸してもらえるなら

…はだかで、しつれいで、ごめんねーっ…あんまり人通りの無いとこ、狙って潜ってたから」

ぺこりと頭を垂れて、お辞儀をしてシャツを受け取る。
いっそ、多少濡れていてもシャツを着てしまうという選択肢もあったが、
せっかくタオルを貸してくれるという親切に甘えようと、これも感謝を告げつつ。

視線をそらし気味に声が上ずっているのを指摘したりするのも、せっかくの親切心に水を指してしまいそうで遠慮をしつつ、
それはそれとして少年は本日の成果を片手に、見ず知らずの少女に胸を張って

「あ、ねえねえ、これ、みてみて!
いま、そこの海の中にあったんだけど、不思議な虹色の真珠!
…きっとこれ、薬や魔術役や、合成用の良い素材になるとおもうんだよねーっ」

と、みてみて、という言葉で一瞬なにやら誤解されそうだが、
少年が差し出したのはオレンジほどの大きさの、通常の真珠よりも虹の輝きの強い魔力を含んだ真珠。

おそらく硬度や薬効も、通常のものとは違うという面で、それなりに値は付きそうな一品で。

リチェット > 「あ、うん。いいよ、いいよ。そのくらいなら。」

むしろ、その格好で居られる方が落ち着かない。
と、そんなことまでは口にはしないけれど、代わりに腰のポーチからバスタオルを取り出してみせる。
どう見てもポーチには収まりそうにないサイズだったけれど、隠すにはそれくらいのサイズが必要だろうと。

「はい、どうぞ。
 って、やっぱり、ここら辺って人気が少ないんだね……
 あたし、こっちの方に来たのって初めてなの。」

いくら人気がないからと言って、海に入って拭きもせずにいたら風邪をひきかねない。
真夏ならともかく、日が暮れてくればそれなりに涼しくなってきたから、余計に。
何だか放っておけない子だなぁーと思っていたら、急にテンション高めに迫って来られ。

「ふぇっ…!?
 え、あ……そっち? ――っていうか、そんなの採ってたんだ? 凄いね!」

巨大な魚の目だと言われても、信じてしまいそうなサイズ。
色合いも不思議な虹色で。けれども、その輝きはどう見ても真珠だった。
一目見るなり、真剣な顔つきになって。

「このあたり、そんなのが採れるんだ……上手くいけば儲かるかな……」

頬に指先を添えながら、ぶつぶつと思案に暮れ。

タン・フィール > 「ありがとうっ んー、やっぱり、ふいたほうがさっぱりする…」

腰のポーチから取り出されたバスタオル、その縮尺と収納術に一瞬目を丸くして、
冒険者か、同業に近い素材などを探索する人なのかな、となんとなく目星をつけて。
小さなカラダを隅々まで拭き取り、つややかな髪もしっかり水気を拭いて、
桃色のシャツから砂を払うと、ぱさり、とハダカの上から着用する。

「タオル、あらってかえすね。
このあたりは漁場でも、釣り場でもないみたいで…ちょっとした穴場ってやつ? っふふ、だからかもしれないけど、
あんまり見かけない素材とか結構落ちてるんだーっ!

ふふ、なぁに、おねえちゃんもこういう素材とか扱う、おしごとなの? ボクは、ああいうテントでお薬屋さん、やってるんだけど。」

と、砂浜の向こう側、数百メートルほど離れた満潮干潮の影響を受けない岸に建つ、
もうもうと煙を浮かべる可愛らしいテントを指差す。
少年の住居であり、店舗でもあるテント。

リチェット > 実のところ、タオル1枚であっても、譲るのならお金を取ろうかなとか思っていたりしたのだけれど。
笑顔で素直にお礼を言われてしまうと、幼気なそんな姿に「まぁ、いいかな」と思ってしまう。
世の中、可愛いは正義とはよく言ったもので。

「んー、そんなに気にしなくてもいいよ。特別サービスで、プレゼントしちゃうから。
 うん、あたしは、そういうの買い取るお仕事ね。
 で、君みたいな薬屋さんに卸すわけ。というわけで、よろしくね?」

少年が冒険者の卵であったなら、その虹色真珠を買い取ってしまっても良かったのだろうけれど、薬屋だというなら自分で調合したいだろう。
なにせ、これだけの品質と大きさなら、素材としても装飾としても、一級品どころかそのさらに上をいくかもしれない。
なので、真珠の方はスパッと諦めて。

「リチェットっていうの。
 それで薬を作ったら、買取でも委託販売でも声かけてね?
 それはそうと、アレ……だいじょうぶ?」

代わりに、今後の商売に繋げられるようにと、名前の方を売り込んでおく。
少年が指さす先のテントは先程見えたもの。
煙の量が少し多すぎないだろうか。薬師の仕事場ならそんなものかもしれないけれど。
仮に無人だとするなら、火をかけっぱなしってことはないだろうかと、少し心配になってしまって。