2020/08/19 のログ
ご案内:「セレネルの海」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 湾岸都市の浜辺は、海水浴客たちで賑わっている。
広い砂浜にパラソルを立てて日陰に寝そべったり、弱い冷気魔法のかかった箱にて冷たい氷菓子を持ち込んだり。
ひたすら、人に声をかけたり。
暑さもあいまって、ひととき降嫁騒ぎや魔族侵攻、謀反に王位継承権争いとは無縁の長閑な夏の朝となっていた。
砂浜から少し離れた海面を勢いよく泳ぐ小さな人影が居る。
足がつく程度の場所まで進むと、泳ぎをやめて海から顔を出す。
「えへ……!冷たくて気持ちいいー。
海ってほんとに広いや。
次は砂浜で貝殻探ししようかなー」
短い銀髪かきあげながら、海に肩まで浸かる快さを堪能して。冒険者ギルドの依頼の合間、私的な夏休みの遊泳を楽しんでいるところだ。海遊びをやり尽くすべく、歩いて波打ち際へ戻ろうとした、……その時。
「あ、……あれ……っ……!?
水着、……どこかに流された……?」
自分の胸先に外気が触れる事に気づいて慌てて自分の両腕で抱きしめる。
人目も多いなか、俯きながらあたりを見回し。
いつの間にか、きっと泳いでいる途中に結び目が解けてしまったであろうビキニのトップスを探し。心細そうに、おへそから上あたりに海面が来る場所のあたりで波の間をうろついている。
■タピオカ > 海に落とした指輪を見つける話を聞いた事がある。
一定の範囲を決めてポールを4つずつ立て、囲まれた四角形をくまなく探していく。
でもこの方法は水の底に沈む指輪だからこそ出来る方法で、波間を身軽に漂う水着探しにはとうてい使えない。
半ば混乱しながらしばらく海を右往左往。
見つからない、胸の慎みを覆う布地。
少しずつ太陽が登っていくのを感じる。
いつまでもこうしているわけにはいかない。
着替えは浜辺、海の家の中。
「……っ……!」
覚悟を決めて、砂浜へ。
両手で胸を抱いて、脱兎のごとく走り抜けていく。
褐色肌の小さな影が、下を向きながら――。
ご案内:「セレネルの海」からタピオカさんが去りました。