2020/06/15 のログ
ご案内:「セレネルの海」にヒルデさんが現れました。
ヒルデ > 海辺の華やいだ宿場町の程近く、浜辺。
籠を背負った少年が波打ち際を歩いていた。

ヒルデ > 手にはパン屋などに置いてあるトングを長く大きくした物を持っている。
どこから見ても、ゴミ拾いの風体だった。
しかし、これはボランティア活動などではなく、れっきとした冒険者ギルドを請け負った仕事だ。
夏になると、この辺りで優雅に過ごす人間が増える──そうすると、必然的にゴミも増える。
それをタダで拾う奇特な人間がそうそう居るわけもなく、そこには仕事が発生するのだった。

ヒルデ > 人狼族の眼は夜に強い。昼にするのと全く変わらない効率でゴミが拾える。
となると、この季節、体力の消耗が増す昼間より、夜間のほうが仕事向きだ。
一人でひたすら夜の浜辺をうろつく虚しさと引き換えではあるが……

ヒルデ > 視界の端に、何か光るものがチラついた。

「────ん?」

そちらの方につま先を向けて、歩いていくと、砂から尖ったものが顔を出している。
割れた酒瓶の大きな破片が、鋭利な面を上に向けていた。
少年は眉をひそめて、危ないなあと呟く。トングを伸ばして、それを背負った籠に放り込む。
裸足で踏んだりしたら、大変な創傷になりかねない。確率は極低くとも、下手をすれば人死にが出るだろう。
周辺にまだ破片があるかもしれない、と砂の上をぐるぐる練り歩く。

ヒルデ > 予想通り、狭い範囲ながら瓶の破片が散乱していた。
辺りの砂を全部をひっくり返さないと全部回収出来たとは断言できないが、
とりあえず目につく危険な破片は処理出来たはずだ。
不満は無いが、地味な仕事だとは思っていたものの、存外に意義がある仕事かもしれない。
少年は胸の裡でそんなことを考え、先ほどまでよりも力の入った歩調でゴミ拾いを再開するのだった──