2020/06/14 のログ
ご案内:「セレネルの海/白砂の海岸」にレヴィアさんが現れました。
レヴィア > 缶詰は怖ろしい
一箇所に篭りっぱなしは危ない
刺激の無い世界に封じる事こそ吸血鬼を滅する唯一無二の方法ではないか?等、えとせとら、えとせとら……。

思考は巡るマイナスに、巡って落ちる冥府の其処に。

今宵はそう今夜こそは数日、あるいは数ヶ月ぶりの外出である、こうして潮風を浴びて潮騒に浸ることが出来る自由な夜である。

「今度の小説こそ、バーンッと売れて、その売り上げでもう有名人になってファンがついてチヤホヤされないかしら?」

高めに結った黒色のポニーテールを歩くたびにふわふわと揺らし、吸血鬼にしては俗っぽい事を深紅の唇で紡ぎ、粉雪に負けないほどの白い砂浜を素足で歩く、その人影は吸血鬼。

声色を聞けば少女か、その麗しき見目を拝めば美少女か、残念ながら、そう見て欲しいだけの少年?青年?吸血鬼、1冊の小説を書き上げて出版社に納めて、今まさにそれからの開放を堪能している。

ずーっと閉じ込められていた。
吸血鬼狩りの人間だって此処までしやしないだろう。
エクソシストだってもう少し慈悲はあろう。

ああ、頭の中を変なテンションと文字がぐるぐるぐると、そんな感情の塊をない方しながら、素足で踏む砂の感触とキュイと鳴る楽しさに、歩みは僅か弾むが如く、弾んで刻んだ足跡からは薄らと輝く深紅の蝶が舞い上がり、潮風に紛れ夜風に囚われ消えていく――吸血鬼の性質を隠せぬほどに、本当に本当に久しぶりの自由な時間に色々と舞い上がっているのである。

レヴィア > さく、さく、さく、さく、足音は続く。
本当なら素足に砂がつくのを避けるために僅かに浮いて歩くのだが、今夜はその足に真っ白な砂がつく事すら愉しくて、さくさくさくさく、と歩き続ける。

その音の中にキュ、キュと先程から音が鳴り混じるのは余程此処の砂は綺麗なのだろう、砂同士がぶつかり合って少しおかしく、少し心地良い音がするのもまた愉しく、足は音の鳴りそうな砂の方へと進んで、足の裏で柔らかく砂を踏みしめる。

――…眠るにはまだ早い、夜を歩く者の時間の終わりにはまだ……。

「……サンドイッチ、出来ればローストビーフを挟んだモノ、それと葡萄を搾って冷やしたジュース、それにレモンを一切れ、今度来るときはもってこないとなー……。」

薄い唇で夜空に浮かぶ月みたいな半月状に唇を緩めて笑みを浮べてポツンとそんな事を零す。

吸血鬼、下級な吸血鬼や他の祖クラスの吸血鬼はどうかわからないけれど、少なくとも自分は余程餓えない限り人の食事で賄えてしまうので、今夜のこの空気と心地良さを考えて浮かんだ食事はそんなメニュー……それも予定では自分の手作りである、だって屋敷に作れる者がいないから、募集しても応募ゼロなら自分が作るしかないじゃない?

幸い不死者なので時間は腐るほどある。
仕事が無ければそんな風に何かを手探りで憶えるのも悪くないし嫌いじゃない。

なんて、色々考えながら自分のことだけを考えながら歩く時間は矢張り楽しく、浮かれた気分はスカートの裾を僅かにひるがえし、裏地を赤を見せてしまうくらい。

レヴィア > 存分に散歩を愉しんだので帰ろう。
そう思うだけで体は自然とそう動く。
先程まで鳴り響いていた足音は徐々に消え
足先からほろほろと崩れ落ちるかの如く、赤い輝きの粉となり、粉は蝶の姿をとり夜空へと吸い込まれるように聞えていく。

ご案内:「セレネルの海/白砂の海岸」からレヴィアさんが去りました。