2020/05/15 のログ
ご案内:「セレネルの海 浜辺」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 水平線を赤く染めていた陽が沈んで、空を藍色が支配しつつある頃。

王都にほど近い浜辺は、昼間遊んでいた子供たちの姿も疾うになくなって、動くのは浜辺の生き物たちの小さな影ばかり。
打ち寄せる波音も不規則に強くなったり微かになったりしながら、それが運んでくる少しつめたい海風は近くの防風林をざわと揺らして通り過ぎていく。

その人気のない浜辺の、丁度防風林と砂浜の間に、にょっきり伸びた人の脚がある。

「――…ン 有点冷(さむ)…」

明らかな寝ぼけ声とともに、その脚はごろりと横になる。
上の方に辿っていけば、ひとつ樹の根元に頭を持たせかけて寝こけている女の姿を見つけるだろう。

「―――…ンぁ……」

その寝転がった拍子に、ぐぅ~と腹の虫の鳴き声。
目を閉じている女の眉だけが切なげに曇って、紅い唇はへの字に曲がっていく。

ホアジャオ > ぱか、と細い目が開く。
ごろんと顔を上に向けて、樹の枝の向こうに真っ暗な空を見つけると何度か瞬いて。

「ぁ―――… 寝すぎた…」

そのままふああっと大あくびをしたから、よっと声を掛けて起き上がる。
寝ぼけ眼でぽりぽりと、少し砂が纏わりついた後頭部を掻いて。

「――…かえろ」

呟くともう一発、大あくび。
立ち上がるとお尻の砂を払って、ウーンと身体に伸びをくれて。

辺りに人はいない。
景色を独り占めする気分は悪くない。
女は独り紅い唇でにんまり笑うと、跳ねるような足取りで浜辺伝い、王都の方へと。

ご案内:「セレネルの海 浜辺」からホアジャオさんが去りました。