2020/05/04 のログ
ご案内:「セレネルの海」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (王都の生まれ、街育ちの身であっても、ときには自然が恋しくなる。
自然がどうこうというよりも、己の場合、ひと目のない場所が恋しい、というやつだけれど。
特に、そろそろおなかが減りそうで、もしかすると変化してしまうかも知れない身、ともなれば、
――――人前で姿を変えてしまうのは、いろんな意味で避けたい、ので。)

は――――……風、気持ちいいなぁ。

(砂浜の上を歩くにあたり、靴は早々に脱いで、両手にそれぞれぶら下げている。
人っ子ひとり見当たらないのだから、ワンピースの裾を気遣う必要もなく、
子供のように裾を跳ね上げて歩を進め。
波打ち際、目についた流木に腰を下ろして、ひたひたと打ち寄せる波に素足を浸し)

………けど、アレだね。
おなか減ったとか、呑気な悩みごとだよなぁ、今のご時世じゃあ。

(昔の己であったなら、もしかするとうっかり、巻き込まれていたかも知れない。
一応は貴族であるし、嫡男であったし、――――あまりにもきな臭くなってくれば、あるいは。
父親が放蕩息子に出番を拵えてくれる事態も起こりえただろう、
そう思えば、今の身分たるや――――思わず、小さなため息が零れる。)

……ま、ぼくみたいなバカの出番なんか、ないに越したことはないよねぇ。

(呟く声音に、ほんの少し、罪悪感の苦味が混じった。)

リュシー > ―――――……と、……と。

(不意に、ぐらりと視界が揺らぐ。

指先に引っかけていた靴を取り落とし、蹲るようにして、しばし。
眩暈が治まるのを待って顔を上げ、洩らした吐息には熱がこもっていた。)

………や、っば。

(呟き落として緩くかぶりを振ると、足許に転がった靴を拾いあげる。
わずかばかりのふらつきを示しながらも立ちあがり、ひたりと一歩、もう一歩。
ゆらゆらふらふら歩く小柄な人影は、いつの間にか夜の闇に紛れて――――。)

ご案内:「セレネルの海」からリュシーさんが去りました。