2020/04/15 のログ
ご案内:「セレネルの海」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 日中は大分暖かくなってきたが、夜になれば未だ冷え込みが残る季節。特に海岸沿いともなれば、潮風に乗って一際寒さが身に染みるだろう。

「…とはいえ、偶にはこういう静かな場所も悪くはないな」

そんな夜の浜辺に、随分と不釣り合いな恰好の少年が一人。
豪奢な礼服に身を包んだ少年は、甘ったるい葉巻を燻らせながら吹き抜ける夜風に僅かに身震いしていた。

海岸線沿いに新たに建造される事になった造船所の視察に訪れ、気付けば夜更けも過ぎ去った頃合い。
今日は近場の街に宿を取る事にしたのだが、折角だからと一人のんびりと夜の海辺を散策していた。
思ったより冷え込む事を除けば、偶にはこういうのも良いかと幾分満足げ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 深夜の都市部や王城も良いものだが、人工物の欠片も無い自然というのも一興である。
人の手の及ばぬ大自然と、それを踏みしめて築き上げる大都市や工場群のイメージは年若い己の心を掻き立たせるには十分な未来図であった。

「……何れは、此の海岸も。あの崖も。平原も。全て全て、巨大な都市にしてしまいたいものだな」

実現には程遠いかも知れないが。
誰の目も無い此の場所でなら、己の妄言を言葉にするくらいは許されるだろう。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > しかして、やはり夜風の冷たさは身に染みる。
体調を崩す前に、と少年は帰路を急ぐのであった。

ご案内:「セレネルの海」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。