2020/04/05 のログ
ご案内:「セレネルの海 浜辺」にスミさんが現れました。
■スミ > 今夜の波は穏やかで、浮かんだ少し欠けた月も黒い夜空から波間に冴え冴えと光を降ろしている。
ざざぁ、と打ち寄せるたびに緩い海風。
それは海流にも依るのか、ほんの少し冷たい。
そのとっぷり日の暮れた浜辺に、ぱちんと弾ける薪の灯りがひとつ。
照らされるのは、海風に赤毛の巻き毛を揺らされながら、砂浜に座り込んで薪にあたっている人影。
その人物、でかい眼鏡を掛けた緑色の瞳の女は
首すじを浚っていった風にほんの少し首をすくめて薪から視線を巡らせて、波打ち際から水平線の方へと辿らせていく。
「……うう、ちょっと野宿は早計だったかなあ……」
膝を抱えて、紅玉色の唇からそんな言葉を漏らす。
昼間、つい夢中になって海岸の石やら植物やら生き物を調べていたら、あっという間に日暮れ。
もう春だし、ここはひとつ野宿でも…と思いきってみたものの、案外寒い。
寝袋は常備しているけれども、テントは無い。
どうにか風を遮る所を見つけるかしないと、野宿は諦めた方が良いかもしれない……
■スミ > ツナギの下はシャツと下着だけだ。
寝袋は暖かいけれど、風に対してだけはどうも心許ない。
「…………」
街に帰ることはしたくない。
ぬくぬくのベッドよりも、うすら寒い硬い岩場の上のほうが楽しい。
……かといって、風邪をひくのは。
「―――…よし!」
せーので立ち上がって、焚火からダッシュでちょっとした岩陰へと駆けていく。
運よく寝そべって風が届かない場所なら、今宵の寝床を決めてしまおう。
そうやって何度か焚火と物陰とを往復して
漸く防風林のとある木の根元で眠りに落ちたのは、月も中点に昇る頃だったとか――――
ご案内:「セレネルの海 浜辺」からスミさんが去りました。