2020/03/25 のログ
ご案内:「セレネルの海」にユイキスさんが現れました。
■ユイキス > (海に多量の魔力と宝物が出現――。
そんな噂を酒場で耳に致しました。研究とは資金を使うもの・・・うちの家計は常に火の車。お金はいくらあっても足りませぬ。
魔力に関しても同じ。材料を取りに採取場に行くにしても、戦闘で魔術を使用しますし、調合や研究をするにしても魔力を使用します。この身体の維持にしても同じで何をするにしても魔力を使用するこの身体・・・なんとしても、その噂の宝物と魔力・・・それを少しでも手に入れたくてその噂の場所へ。
主様に生前、遺していただいた魔力を多量に織り込んだメイド服に身を包み、自分で調合した魔法薬を手持ちに加え、数々の宝石をあしらった主様の形見の杖を手に、その場所へ・・・。
そんな噂の魔力と宝物・・・そう簡単に手に入るとは思っておりません。万全の準備を整えて、その噂の場所・・・セレネルの海へ。
その中心へといきなり踏み込む前に浜辺に茂る木の陰より様子を伺ってみましょう。
・・・確かに、噂通りの魔力をかの海より感じます。まるで見せつけるようではありますが、噂通りの宝物も。ただ、予想通り魔物がはびこっているようで主様の遺してくださった知識にも存在しない、謎の黒々とした魔物がその宝物を守るようにうろついていて。)
・・・さて、どうしましょう。
(既に無謀にも彼らに挑んだ冒険者が幾人か倒れてしまっている様子。私も戦闘経験豊富な方ではありませんから無策に挑んでは彼らと同じ末路を辿ることになるでしょう。
頭を回しなさい、ユイキス。彼らを撃滅し、目的の物を手に入れる策を。それが無理というならば、撤退する判断を。選びなさい、私・・・!)
■サタナキア > …ふむ。なるほど…これは、良い余興になりそうだ。
(男は新たな気配に気づく。ふわりと浮かべた黒々とした水晶玉が今現れたユイキスの姿をぼう…と映し出した。まるで誰かに作られたような美しい体。これは気に入った。しかしどうにも警戒されているようだ。それは、当たり前だと言えるだろう。見たことのない魔物、打倒された雑兵、警戒しないほうがどうかしている。だが、それでも彼女は興味を示した。それほどの宝がここにあると思っているからだ。)
くく、折角来てくれたんだ。
(それなら、それ程の宝を目の前に転がしてやろうではないかと、男はほくそえみ、自らの領域へと誘う。日の光のように真っ赤に輝く炎の魔石、迸る稲妻が絶えず流れる氷。未知の材質で作られた硬貨、内に魔力を秘めて金色に光る水、そんなモノを、よりよく見せつけてやる。黒々とした魔物の触手に宝を転がさせて。そして、ユイキスをめがけて何かが飛んでくる。そんな宝の山からひときわ輝く半透明のクリスタル。その小さな小さな破片を目の前に飛ばしてやる。)
くく…今日の獲物はあの雌で決まりだ。
(こんなものじゃ足りない、もっと欲しいだろう?とばかりだった。罠だと確信出来るだろうけれど、こうして目の前にモノをぶら下げられれば、果たして先ほどのように冷静な判断が出来るだろうか。…とはいえ、この男は彼女に目を付けた。例え冷静な判断が出来たとして、ここから逃げられる保証は、ない。)
■ユイキス > (――視られている。そんな事を自覚できるほどに私は経験豊富ではなく、かの魔物達の後ろ・・・黒幕として控える彼の存在に気づくことは出来ませんでした。もし、気づいたとしても私に何ができたのか。それは定かではありませんが・・・。
そして、その後しばらく。彼らの様子は変化しました。向こうの方でまだ誰かが戦っていて、それが魔物の様子に変化をもたらしたのか、それともまた別の要因か。それは私の目では判断することは出来ませんでしたが・・・それでも、はっきりと見てわかるほどに彼らの様子は変じたのです。
彼らは今の今まで宝を守るようにして蠢いておりました。で、あるのに急にそれらを自慢するかのように掲げ始めたのです。
まるで太陽のように煌めく炎の魔石。まるで嵐を封じ込めたかのように稲妻が絶えず奔る氷塊。私の知識では見たこともない硬貨。未知数の魔力を秘める金色の水・・・私の知識ではそれらが秘める力の程も、名すらも知らぬ魔力の結晶を、宝を彼らは見せびらかし始めて。
それと同時に。からん、ころん、と小さなクリスタルの破片のようなものが目の前に転がってきて。
・・・平時であれば、あからさまに怪しい、と触れなかったかもしれません。けれども今は・・・。)
これ、は・・・?
(彼らの攻略の糸口になれば、と無意識にそれを拾い上げ、それを見つめてしまったのです。じっ、と、端から端まで見逃すことなく・・・じっくり、と・・・。)
■サタナキア > (見せびらかした、その理由は…自らの力を示すとともに、お前に興味を示しているという事を知らせつつも、こちらへ誘うつもりだったのかもしれない。眺めるクリスタルに込められるのは、純粋な魔力の結晶だった。変質しやすく、扱いやすく、軽く…しかしとても脆い。使い手次第では魔力電池にもなるし、火炎放射器にもなる。治癒の魔法にも利用できるしもっと集めれば、体を一瞬で治療する霊薬だって作れるくらい。当然、よほど特殊な魔力でもない限り、彼女の体の魔力にも使えるはずだ。)
くく…。
(男はその間にも、今日の獲物と決めた女の体を品定めするように見つめまわしている。クリスタルに見入る瞳、その表情、メイド服に包まれた色白の皮膚、胸、尻。この男もまた、じっくりと見つめていたのには違いない。…しばらくしたら。)
そろそろ見るだけなのも飽きてきた。こちらへきてもらおうじゃないか。
(彼女に立ち向かうか逃げるか、その判断を強いる事にした。黒々とした靄が次々と形を持ち、棘の生えたツタとなってユイキスの体を捉えんと襲い掛かる。)
■ユイキス > (触れたそのクリスタルは未知の材質でありました。私の顔が映り込む程精巧で、透明度が高いそのクリスタルは・・・不思議とそれが持つ能力を感じ取れたのです。変質しやすい。つまり、加工がある程度容易で、それでいて扱いやすさもあって。ただし、少々脆い。そんな材質であると。多少デメリットこそあれど、このクリスタルを持ち帰り研究することができれば私の研究も、知識も多少前に進むことが叶うでしょう。そしてもし・・・かの魔物達が持つ宝石達を手に入れることができれば大きな一歩となるでしょう。
ただ・・・それは私の実力で果たして叶うものなのでしょうか。これで満足し、一旦逃げるべきか、それとも・・・。)
・・・!
(しかし、彼らはその考える時間を与えてくれる程優しい存在ではなかったようでありました。私という存在に気づいていたのか、突然こちらへ牙を向き、黒々とした靄が棘の生えた蔦・・・いえ、茨・・・なのでしょうか。そのようなものに変じて、こちらへその手を伸ばしてきたのです。
逃げるべき?いえ・・・。)
主様・・・私の、ユイキスの成長をどうか見守っていてください・・・!
(ぎゅっ、と主の遺してくださった杖を握りしめ、その手はコートに仕込んだ魔法薬へ。赤々と輝く液体が収められたそのフラスコをその靄に向けて投げつけて)
――爆ぜなさい!
(その言葉と共に形のない魔力を杖から放ち、そのフラスコに衝撃を与えてその魔法薬に封印された力を解き放つのです!
それに秘められた力は――爆発。私が丹精込めて作り上げた魔法薬の一つですから、その威力は上級にまでは届かないにしろ、中級魔術上位級の威力は持ちましょう。目が眩む程の輝きと轟音、そして、爆炎を持ってその靄を打ち払うのです。
けれど、私もそう油断は致しません。いまのですべてを打ち倒せたとは思っておりません。じっとその煙に包まれたかつて靄があった場所を見つめて、次の動きを見逃さぬように。次の策を考えつつ、その様子を伺うのです。今は亡き主に使える唯一のメイドとして、その名を、汚さぬようにここで無様な姿は見せられませんから・・・!)
■サタナキア > ほう…?
(魔法薬が迫りくる黒い靄を吹き飛ばした。轟音と爆発の光があたりを包めば、そこには散らばった宝物と生き残った魔物の気配だけがあった。爆発で吹き飛んだモノは海辺の地面に張り付いてぺちゃんこにつぶれてしまって。握りしめているその杖と、ちらりと見えた薬品…あまり見覚えのないタイプの魔法使いだ。或いは錬金術のようなものなのか…。)
…思ったより、強いようだが…これで捉えてやるか。
(残った黒靄が一点に集まると、魔力が急激に高まり…大きなスライムに幾多に分岐するウネウネした触手が生えた、見るもおぞましい魔物へと変わり。左右から彼女を包み込まんばかりにビュアァッ!と黒靄のが突き出して襲い掛かってくる。男はこれで終わらせるつもりだったようだが…、油断せずいた彼女は、万全の状態で迎撃出来るだろう。それを打倒せば、宝に群れた魔物はもういない。ただ、宝のある場に踏み入れた時、彼女を見ていた存在が初めて姿を現す事になる。)
■ユイキス > (魔力が急激に高まっているのを感じます。まだ終わってない・・・そう感じさせ、警戒するに事足りる程の急激な魔力の膨張。杖をしっかりと握りしめ、次なる行動に警戒を致しましょう・・・。)
スライム・・・!
(私の知識通りであれば、スライムは基本的に高熱、もしくは低温に弱い・・・!ならば、先程と同様に燃やしてしまうのが手っ取り早いでしょう。しかし、問題となるのは先程と違って既にもう驚異は迫っていて、何の対策もなしに燃やしてしまえば私もただではすまない、ということ。
・・・ならば。)
これなら、いかがですか!
(その場に杖を突き立てて、先程と同じ魔法薬を頭上に放り投げ・・・その魔法薬が落下してくる前に別の薬品の蓋を開けて、周囲に振りまきます。この薬品は一時的に魔法の防御幕を貼る薬・・・つまるところ、魔法に対するバリア、のようなものを得る魔法薬。それを私の周囲に振りまいて、その防御幕を内側から魔力を注いで強化を。
私の作った薬です。ある程度ならば、その扱いも慣れています・・!そうして、強化した魔法の壁に先程上に放り投げた魔法薬が カッ と壁にぶつかれば再び閃光と爆炎が周囲のすべてを吹き飛ばすでしょう。残ったのはきっと・・・魔法の壁に阻まれた私だけ、になるはずです。)
んっ・・・・!
(とはいっても、至近距離での爆破ですから私にかかる衝撃も相当なもの。バリアが割れないように。吹き飛ばされないように必死で杖にしがみつき、魔力を注ぎ・・・そして、その炎がすべてを吹き飛ばした頃・・・けほ、けほっ・・・!と軽く咳き込みながら煙を手で扇ぎながら、周囲を伺いましょう。今度こそ、やった。その自覚はありますが、油断は禁物・・・というもの。先程の事もありますから、きっかり数分程周囲を伺って・・・それでも何も残っていないことを確認すれば)
はぁぁぁぁぁ~~~~!
やった、やりましたよ主様・・・!ユイキスは、やりました・・・!
(大金星。えぇ、大金星でしょうこれは。へなへなとその場にへたりこみながら自分を褒め称えるのです。 ・・・見ている人なんて、誰もいませんからせめて自分だけは私を褒めてあげるのです。私、褒めて伸びるタイプだと主様も言っておりました。確か。
けれど、久々の全力戦闘です。緊張も致しました。一難去って気が抜けてしまえば思わず腰が抜けてしまって、しばらく動けそうにありません。
・・・私の前に再び迫る脅威には、未だ気づかずに私はこの時呑気に一息ついていたのです。)
■サタナキア > (黒靄の触手が彼女を包まんと迫り、広がる。それが彼女の姿を覆いつくした、…ように、見えた。しかし、その短い間に彼女はスライムの弱点を考えつき、爆発の魔法薬を投げ上げ、魔法のバリアを作り、更に自ら作ったバリアを内側から強化して。…爆轟がスライムを粉々にして焼き尽くして消してしまった。黒靄が吹き飛び晴れ渡ったそこには、杖を突き立ててバリアを必死に維持するメイド服の彼女の姿が残っていた。大きなスライムだったモノはその大きさを示すようにあたりに黒靄の断片をまき散らして。)
…思った以上に上物らしいなあ。
(冷静な判断力に魔法の使い方に。体力はあまりないものの、面白い知識も持っているし見た目も申し分ない、あれを自らに服従、隷属させればきっと使える。そう思えば腰を抜かした彼女の前に、その姿を現した。半裸で、醜悪に肥えた、黒ダイヤのネックレスをした男。聞いたことくらいはあるかもしれないし、全く知らないかもしれない。この男は、隷属する雌を探して回る魔王だった。見ている者は、非常に嫌な形でいたことになる。)
あれを倒すとは随分とやるじゃないか。それも、無傷でやるとはなあ。宝を餌にしていた甲斐があった、くく…気に入ったぜ、…俺のモノにしてやろう。
(へたり込んだ彼女に向けられる声は低く嘲笑う悪魔の様。傲慢で、彼女の意思など考えすらしない押しつけがましく貪欲な言葉で。指先を向ければ、その体に魔力のみを傷つける雷撃を浴びせかけ、抵抗力を奪おうと試みて。)
だが、まずは…その前に。俺が用意した魔物を殺した償いと…宝石の補填をしてもらわねばならんな。お前の体を使って生み落としてもらうとするか。ん?さぁ、楽しませてもらおうか。
(ねっとりとした視線を浴びせながらも、男は海辺の一角を誰にも見えない闇で覆う。醜悪な男だったものは、先ほどとは比べ物にならぬ魔力を含む、触手の肉塊の姿へと変わり、逃げ場のない肉壁の部屋へ彼女を幽閉しようとする。逃げられなければ、これから先彼女はここに、誰も目の付かない空間に閉じ込められることになる…)
■ユイキス > どちらさま・・・です、か。
(名前も知りません。そのお顔も存じ上げません。けれども、その声には威圧感が。その纏うオーラには圧倒的強者の風格が感じ取れました。それが・・・今私の目の前に現れた男から感じ取れました。
その見目こそは半裸で醜悪な・・・そう、噂に聞く悪徳に贅を凝らす貴族などはよく絵物語でこのような姿に描かれます。そして・・・その姿はその絵物語から出てきたような、そんな姿で。その見目通りの能力であれば撃破は容易でしょう。身体は脂肪に覆われてとても運動のできるようには思えません。頭も然程回る様にも思えません。部下も引き連れておりませんから、魔法で吹き飛ばすなり全力でこの場から逃げるなりすれば良いようにも思えました。 ・・・彼が秘める強さが、見た目通りなら。
しかし、その彼が放つオーラが。魔力がその見目通りではないことを如実に伝えてくるのです。隙を見せれば、殺される・・・そう直感で分かる程に。)
――い゛ッア゛ッ・・・!
(油断なく、その行動を見ていてはずでした。しかし、すっ、と向けられて指先から放たれた謎の電撃は私の魔法防壁も、主様が編まれたこのメイド服の魔法防御すらも突破して私の身体に至り・・・その電撃を浴びせるに至ったのです。ビリッ、ピリッ、と私の身体を内側から痺れ、焦がす・・・そんな一撃が放たれたのです。
この身体は魔力との親和性が高い身体。それは外傷に対しても同様で、彼から放たれた電撃は私に強い痛みと痺れを感じさせたのです。身体の全身を痺れと痛みが走り、思考回路すらショートする程の痛み。視界もチカチカと明滅し、その一撃は・・・私の意識を刈り取るのに十分な一撃で、ふらり、とこの身体は支えを失ってその場に崩れ落ちてしまうのでした。)
あ・・・る、じ、さ・・・ま・・・。
(最後に脳裏に浮かぶのはあの人。無愛想な、私を生み出してくださった偉大なる主様。明滅し、落ちようとしている思考が最後に口にしたのは・・・偉大なる、私の主様でした。
その最後の言葉はもしかすれば、俺のモノにしてやる、なんてのたまうその男に対し、せめてもの抵抗・・・であったのかもしれません。
痺れ、まともに動かなくなった身体をどうにか持ち上げてその手を伸ばすも、私の手を握るものはおらず・・・この身体は、男が展開する闇の中へ、呑まれていくのでした・・・。)
ご案内:「セレネルの海」からサタナキアさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」からユイキスさんが去りました。