2019/09/27 のログ
ご案内:「セレネルの海 青の洞窟」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > 海の穏やかな良く晴れた日。
王都から続く海岸線に存在する崖下にひっそりと、海面に半没した洞窟がある。
薄暗いだけの筈のその中は今、不思議に青く光る海面で満たされて、残暑の陽光が差す外とはまるで別世界だ。
その洞窟の中、端に沿うように僅かにある岸に、腰を降ろしている女がひとり。洞窟の入口から時折吹いて来る穏やかな風に黒髪を靡かせながら、青い光に翠の双眸を細めている。
黒い岩壁で囲われた中、目の前に広がる海面はまるで発光して揺らぐ道のよう。
正午を過ぎた辺りに此処へ来た筈だが、そうやって青を眺めて過ごして、果たしてどれ程の時間が過ぎたんだろう……
■ジナイア > 潮風と共にざぶん、と岸辺に波が跳ねる。
女は翠の視線を海中に注ぎながら、ぼんやりと思考を巡らせる。
もしも泳げたら、この海中を透き通る不思議な光を十分に味わうことが出来るんだろう。
生憎そんな用意もないし泳げもしないので、只眺めるに留まるわけだが。
(こういう時は少し、後悔するな…)
苦笑いを熟れた唇に浮かべると、陽光溢れる海原が覗く洞窟の入口を見遣る。
今いる僅かな岸辺から青い海面までは未だ高さがあるものの、入口の方は更に狭く、低くなって海面すれすれだ。長居をすれば没してしまうことは容易に想像できる。
少しくらい濡れるのは構わないが、歓迎することでもない。
■ジナイア > 名残惜しげな溜息と共に立ち上がる。
それでも暫く波音に耳を傾けてから、再度目の前に広がる青い光景に目を細めて笑みを浮かべた。
鼻腔を擽る香りは、只の潮風のものではない様にさえ思えて。
「場所を、忘れないようにしないとな…」
ぽつり、呟いてからは潔く踵を返す。
入口に向かって低く下がって行く天井に腰まで屈めながら、青く揺らぐ光景を後にする
ご案内:「セレネルの海 青の洞窟」からジナイアさんが去りました。