2019/09/01 のログ
ご案内:「セレネルの海 海岸」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > ざざーん、ざーん…
穏やかな波が打ち寄せる、夕暮れの浜辺。
海から吹く風は少し冷たさを含んで、夏の終わりを匂わせている。
陽光は夕暮れ特有の赤さを含んだものになってきて、白い砂の浜辺も岩礁に砕ける白波も、仄かな橙色に染められている。
そうやって茜に暮れ行く浜辺の、沖の方へと続く岩礁の棚。
その先にひとつ、一際大きく聳え立つ奇岩。
普段は海鳥が羽を休めるだけのそこの、今はその上に、瞳を水平線に向けてぼんやりしている女がひとり。
岩に腰掛けてぶらぶらさせている足の、爪先が時折砕けた波に洗われそうになりなるが、お構いなし。
後ろ手に付いた両腕に身を預けながら細い目を更に細めて、ゆるりと吹く海風にその三つ編みを揺らされている。
山育ちで、海がまだ珍しい。
季節季節、時間に依っても変わる景色を眺めるのは、結構気に入っている。
そうやってぼんやり過ごして、海の匂いで身体がしょっぱくなるのも、まだまだ楽しめるお年頃だ。
■ホアジャオ > 女の目の前から水平線までは、何処までも海。
時折波間に魚たちが銀の鱗をちらつかせ、または波間に跳ねる。
海鳥が、海面すれすれを横切ってまた空へと昇って行く。
「―――…」
風が頬をなぶって行く。
ともすれば冷たいとも感じるそれに目を瞑って、風の香りを密かに吸い込む。
――――と
ばしゃん!と一際大きく跳ねた波が、女の足首に飛沫を散らす。
「嗯(おやま)…」
足元を覗き込めば、大分近くなったように思う海面。
くるりと背後を振り向いて、浜へと続く岩礁が波間に没しようとしているのを確認すると、慌ててひょいと立ち上がった。
「はぁ――……気持ち良かったァ」
ぐうと身体に伸びをくれて、最後に水平線を一瞥すると、にまーと紅い唇が笑う。
そうしてぽんと奇岩の面を蹴ると、ぽんぽんと毬のように波間に顔を出している岩礁を伝って、浜へ
その弾む足取りはそのまま、街へと辿る路へと
ご案内:「セレネルの海 海岸」からホアジャオさんが去りました。