2019/08/08 のログ
パンドラスムー > 砂浜に広がる白い砂だけがモンスターの存在を他者に認知させる。

それが進む為に足を動かせば砂が波紋を描き、それを波が覆い打ち消す、そして再びその軌跡が波紋を描き、再び打ち消され、と幾度もくり返されていくだろう。

常人であれば海風で砂を被れば、這いずり進むうちに砂がつくのでは?と思うがこのモンスターの小賢しいところは身体にまとう粘液が付着する砂を洗い流すのだ。

それも浸み込みやすいのか砂に浸み込んではすぅとその下まで落ちてモンスターが存在していた形跡を見せることは無い。

そのうち波が届かぬ場所まで辿り着くと、初めて砂に浮かぶ軌跡でモンスターの這いずり進む道が見えてくるだろう、今は砂浜であるが、それは海のほうではなく地上を目指して進んでいるのが見えるか。

そしてその行く先には……

ご案内:「セレネルの海」からパンドラスムーさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」にメイベルさんが現れました。
メイベル > 柔らかく差し込む月明かりが、白銀色に煌めかせる美しい砂浜。
緩やかに寄せては返す波の音以外、鼓膜を揺らすものとて無い静かな夜。

生まれ育った屋敷を出て、初めての一人歩き、街歩きに疲れ果て、
気付けば人の姿が見えなくなる方へ、街の賑わいから遠ざかる方へと向かっていた。
浜辺を歩くに靴は邪魔で、早々に脱ぎ落とした其れを鞄と共にぶら下げ、
まるで、此処で休んでお行き、とばかりに横たわる平べったい岩へ腰を降ろすと、
鞄と靴を傍らに、意識せぬ儘溜め息が零れた。

ぶらぶらしている余裕は無い、一人で生きていくのなら、
早く落ち着き先を探し、仕事を探さなければならない。
然し、―――何が出来るのか、何処へ行けば良いのか。
何ひとつ解らない癖、勢いに任せて飛び出して来た己は、
身も、心も、酷い疲労感に襲われていた。

海を渡り吹き抜ける夜風は生温かく湿って、お世辞にも心地良いとは言えず。
其れでも、屋敷に留まっているよりはずっと良い、と、其れだけははっきりしていた。

ご案内:「セレネルの海」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 夜の浜辺に灯りもなく、波音だけがさざめいて。
人気もなさそうな浜辺に人影を見出せば、それは異常だろう。
急な仕事が入ったように面倒くさそうに頭を掻きながら男は浜辺の足跡を追う。

無造作に近づけば向こうも気付くだろうか。
あまり気にしないで歩を進めるが逃げる様子もなさそうだ。
近付きつつ観察する、若い女だ……こんな場所に一人きりなにか事情はありそうだが。
何か声をかけないと不自然な距離で言葉を選んでいたが。
なんとなく声をかけずに横にまで来て海を眺めた。

メイベル > 突然、知らない人に声を掛けられたとすれば、其れは勿論驚いただろう。
瞬時に警戒し逃げ出そうとしたかも知れない、其れは確かなのだが。

だからと言って、砂を踏み締める足音が此方へ近づいて来るのを聞き、
振り返った先に恵まれた体躯の男性の姿を認めれば、
其の相手が声を放つでも無く近づいてくれば、警戒するなと言う方がどうかしている。
素足の儘ではあるが、体力にはまるで自信も無いが、―――然し。

よりによって身近な男に、恐ろしい思いをさせられたばかりの娘としては、当然、
するりと彼の傍らを離れ、月夜の浜辺を立ち去る方を選ぶ。
其の刹那にほんの僅か、目礼を向けたのだって―――己には、精一杯の勇気だったのだ。

ご案内:「セレネルの海」からメイベルさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」からグスタフさんが去りました。