2019/06/23 のログ
ご案内:「セレネルの海 海岸/岩場」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 陽が大分傾いた夕暮れ。
王都からほどなく辿りつける海岸の、奇岩が其処ここに聳える岩場。
その奇岩のうち、浅瀬ににょっきりと飛び出ている一つの上に、沖に向かって腰かけて、脚をぶらぶらさせている女が一人。

日中の日差しから一転、丁度気温が切り替わる頃の潮風は湿っぽく、だが確かな圧力を以て女の編んだ髪を揺らしている。
波は穏やかで、岩棚同士の合間で跳ね上がる飛沫も大人しいもの。
女の足元の方でも、規則正しく、それでも潮自体が生きているように不意に大きくばしゃんと弾け、ほんの少し女の爪先を濡らす。

腰かけている女の方は、揺れる爪先が濡れるのは頓着なく後ろ手を付いて、その細く黒い目をぼおっと水平線の方へと注いでいる。

「…………」

山育ちだったので、珍しくてつい海ではしゃぎ過ぎた。
楽しかったけど……喧嘩相手を探すには不適な場所だと言う事も分かった。

(…期待はしてなかった、ケド)

それでも紅い唇は、不服そうに尖っている。
荒くれ者の漁師とか、たまたま訓練中の水兵とか、いたらいいなー
くらいは、思っていた、らしい。

ホアジャオ > 遊びに飽きたら、喧嘩相手が見つけられそうな街中に戻ろう。

と思っていたのだけども。

何となく、ぼーっと潮風に吹かれて波の音を聞いている。
ざざぁ、と言う音はダイラスの港でとぐろを巻いていた時にも聞いていた筈だけれど
岩場の間で弾けるそれはまた、近くなったり遠くなったり。
潮だまりに注ぎ込んでは流れ出したりすれば、ごぼごぼ、とくぐもった音を立てたり。
少しだけ、日が暮れてゴロツキが這い出す時間帯くらいまでは、ここに居てもいいかなァ、なんて少し思っている。
日中日に当たりすぎて、すこーしくたびれてる、のも……ほんの少ーし、ある。
紅い唇が、思い出したようにふわっと欠伸を漏らした。

ご案内:「セレネルの海 海岸/岩場」にガリアさんが現れました。
ガリア > (潮風は遠く近く、湿った香りを運んで来る。
寄せては返す波の音、とは言え、一度足りとて同じ音が響く事は無い物
遠くで魚が跳ねれば、其の僅かなひと波が波及して、飛沫に変化を与える。

――遠くの方で、刹那、間違いなく娘の耳に、鈍い悲鳴めいた音が届く筈だ。
複数の男の声が、争い事を予感させるかに波間へと響き伝うだろう。
常々、喧嘩や騒ぎを求めている相手ならば、察知出来る筈だ。
誰かが、"喧り合って"いる、と。)

「――――……は、タァコ、威勢だけか?
此れから街を襲おうって連中が、この程度で日和ってんなら世話ネェな。」

(ひとり、ふたり、さんにん――もっと、もっと
砂浜に倒れ付している男連中を尻目に
両掌についた砂を払う様な仕草で、口悪く物を言う男を
残り少なくなった男たちが囲んでいる、何て状況
波音で、流石に遠くからでは会話の内容までは聞き取れないやも知れぬ、が

―――ほぼ一方的な状況を見れば、果たして悪人に見えるのはどちらやら)。

ホアジャオ > 波音以外の音が聞こえれば、ぴく、とその肩が反応する。
次に脳裏でそれが『喧り合い』だと判定されれば、反射的にそちらへくるりと首を巡らした。

岩場から少し距離のある、砂地の上。
複数の人影。

(喧嘩だ!!)

様子全部を確認する前に、身体のばねを使う様に身を翻して、奇岩の上からから近くの岩棚、更に、砂浜の方へとぽんぽんと毬のように跳んでいく。
どっちに加勢しようとかは思っていない。
強そうなやつが残ったら――何だったら全員纏めて喧嘩を売ってやろう―――
ざ、と砂を踏みしめるまでに、立っている人影は何人になっているだろうか。

「哎(ねえ)!アタシも混ぜてよ!」

兎にも角にも、着くなり女の口から毀れたのはそんな言葉だった。

ガリア > (砂に転がる幾人かの傍には、一寸した剣やナイフが転がっている。
囲む数人も、各々何かしらの獲物は携えている状態だが
中央に唯、佇む相手へ中々襲い掛かろうとはせず、機会を伺っている。
けれど、其れでも男たちが互いに目配せし、そして息を合わせ
同時に襲い掛かろうと漸く間合いを詰める気配を見せるなら
合わせて、さて、誰から先んじて叩き伏せるかを考えながら
ほんの少し、脚幅を開いて――)

「――――……あン?」

(――唐突に響いた其の声に、思わず反応してしまった。
其れを隙アリと判断した男達が、一斉に各々の獲物を振るうも
一人目の刃を避け、二人目の拳を払い、あっさりと包囲から抜け出した後で
近くだった一人の側頭部に、手刀を軽く撃ち込んで昏倒させ。)

「――――ンだよ、まだ居やがったのか。
親玉は最後の登場って言うつもりじゃネェだろーなァ?」

(周囲の男達は、生憎ながら女に構っている余裕は全く無さそうだが
少なくとも邪魔されれば、娘だろうが女だろうが、容赦無く手を出す類の連中なのは間違い無いだろう)。

ホアジャオ > 自分の登場のせいで状況が揺らぐ。
しまった、ややこしくしちゃったなァ――
等と思ったのも束の間。目の前で、数人を倒す男。
―――こいつだ。
紅い唇がにまあと笑う。

「生憎、親玉業は少し前に引退したよ……
哎(ねえ)、さっさと片付けちゃってよ。
そンで終わったら、アタシの相手してよね」

辿りついたその場でふんぞり返り、腕組みをして見物の姿勢。
爛々と輝く細い目が、明らかに楽しんでいることは声音にも表れているだろう。

「――どォしても、ッてえ言うなら、手伝ったげなくもないケド」

どうする?とその表情のまま、かくりと首を傾げて見せた。
目的の男がそれに反応する前、他の男が動けば
電光石火、砂地を奔った影に頸椎を打たれることになるだろう――