2019/05/31 のログ
ご案内:「セレネルの海」にクロさんが現れました。
クロ > 鴎が鳴き、ざぁざと揺るく波が打ち寄せては引き、太陽を反射し白く煌めく穏やかなる海。

無論完全に安全などではなく、危害を加えてくる魔物もいればこの世の常で人が一番怖いという例で海賊による蛮行も横行しているのだから、決して迂闊な真似をしたり気を抜いても良い訳では無い。

そんなセレネルの海の中で、一つ決着がついた。
突如巨影が浮上し、群れなす小魚達が慌てて逃げ出す。

ざぶん、と海面が隆起し、水柱をあげればこの海に生息する銛の如き長く鋭利な鼻を持った小型の龍にも見える大型肉食魚が空高く打ち上げられていた。

そのまま海面に落ち、また海中へと沈むかと思われたが、海面で巨体を投げ出した形でそれより沈まずゆっくり岸へ移動。

やがて浜辺に巨体を打ち上げられれば、巨大肉食魚を打ち上げ、運んでいた肉食魚に比べれば小さな一人のミレー族らしき女が肉食魚を放り出してからぶるぶるも長い黒髪、耳と尻尾にたっぷり吸った海水を飛ばすべく身震いし、それからずぶ濡れになった衣服をぎゅうと力強く搾り砂浜に黒い染みを穿ち。

「はぁー、疲れたっ。漁師さんってこんなの毎日やっているって凄いなぁ。……でも、これだけ大きかったら食いごたえありそうだし楽しみ♪」

漁師からは凶暴さと巨体から海の魔物として扱われ、舟が沈められているという被害も多く、外見は鋸鼻にぎょろりとした目玉に乱杭歯、硬い鱗に覆われた長い胴体と控えめにいって美味しそうに見えないのだがこのケダモノにはちゃんとご馳走に映っていた。

そもそも、最初は魚が食べたいからとちゃんと竿を使って魚釣りをしていたのだが三分で飽き、こんなのより直前潜って捕った方が早いと海に飛び込んで。その後、美味しそうな魚を探す途中この肉食魚にとっては小さく丸呑みに出来る体躯の己を餌と認識したのか襲ってきたところを一度は顎の餌食になりかけながらも返り討ちにした次第である。

弱肉強食。

食うか食われるかであり、今回も自分は喰う側だったということだ。

問題はどうやって食べるか。
踊り食い出来る大きさでもなければ焼くにも大き過ぎるし何より火種なんて持っていない。
持っていたとしても海に飛び込んだ時点で湿気って使えない。

生憎調理はろくに出来ないから、やはり息の根をしっかり止めてから引き裂いて肉を喰らうしかないか。等と身が詰まった胴体をぽんぽん叩くが、自分一人で食べるには少々大き過ぎて勿体ないという気持ちもあり中々解体に踏み切れず。

クロ > 悩んだ末に、このままだと魚が傷んでしまうからとこの場で捕食する事にした。

自分の体より遥かに大きな肉食魚を完食するには消化具合と相談しながらであったから苦戦したが、硬い鱗や骨、グロテスクな外見は意に返さず一刻、二刻程後には骨と鱗だけを残し肉と臓腑は余さず喰い尽くしてから満足げに膨れた腹を撫で。その後、精を付けて持て余す欲を発散すべくその場を離れることにして。

ご案内:「セレネルの海」からクロさんが去りました。