2019/05/25 のログ
ご案内:「セレネルの海 浜辺」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 黒い夜空に欠けた月が昇った頃。
王都近くの浜辺に、揺らぐカンテラの明りが一つ。
手にしているのは黒髪に赤銅色の肌、翠の瞳の女。
サンダルを履いた足で注意深く砂を踏みしめ、時折月光に光を返す海の方を見やりながらゆるやかに足取りを進めている。

昼間、ほぼ初夏と言っていいような陽気のなか森林地帯をうろついていた。
夕刻帰ってから、風に当たろうと外へ繰り出したものの…

「…ここは少し、湿っぽいな…」

当てが外れた、と熟れた唇に苦笑を浮かべて、それでも浜辺を辿るように足を進めている。
水平線の向こう側から吹く湿った風が、ゆるく女の黒髪を乱していく。

ジナイア > ぎゅ、と鈍い砂の音を立てながら歩く。
時折、寄せて返す波打ち際と、そこから水平線までを目を細めて見遣る。
と、その先に半ばほど埋まった、流木の影。
白い木肌が剥き出しになって晒されたそれは、打ち捨てられた巨大な骨のようにも見える…

「―やあ……」

一瞬、歩みを止めてから、再び鈍い音とともに歩み寄った。
カンテラで全体を照らせば、砂の上に出ているのはごく一部で、大半が砂に埋まっているのだと分かる。

「……キミは、何処から流れ着いたのかな…」

薄く微笑むと、ぽつりと零す。
そうしてカンテラをその平らな部分に置くと、その側へ腰かけた。
少しだけ、脆く、きしむ音と、砂に沈む音。

ジナイア > 暫く、波の音に耳を傾けながら揺らぐ波間と波打ち際を眺める。
寄せて返す波の様子は同じだが、こちらの方は故郷よりすこし黒々と沈んだ色をしているような気がする…
だからなのか、弱い月明りを様々に照り返す様子は向こうより興味深いきらめきで、それが何とも良い様に思えた。

「――…」

溜息のようなものを漏らすと、空を見上げる。
出てきた時より幾分傾いて…ぬるかった風も、すこし冷たく重いものになってきたようだ。

ジナイア > すうと立ち上がると、もう一度水平線に翠の双眸を細める。
波間を揺らめく淡い月光を横目にカンテラを手にして
砂浜を更に先へと…

ご案内:「セレネルの海 浜辺」からジナイアさんが去りました。